テストエンジニアとなるために役立つ資格をご紹介します。
基本情報技術者試験
基本情報技術者試験(FE)は、ITエンジニアに求められる基礎知識を幅広く習得することができる資格です。ハードウェアやネットワークの仕組み、ソフトウェア開発手法、テスト技法などが範囲に含まれており、テストエンジニアに求められる基礎知識を身につけることができます。
この試験は、独立行政法人情報処理推進機構(IPA)が実施する国家試験であり、ITエンジニアの登竜門的な資格として広く認知されています。テストエンジニアに限らず、どのような職種のエンジニアも取得しておきたい資格と言えるでしょう。
JSTQB認定テスト技術者資格
JSTQB認定テスト技術者資格は、テストエンジニアにとって最も直接的に役立つ専門資格の一つです。JSTQB(Japan Software Testing Qualifications Board)は、国際的なソフトウェアテスト資格認定制度であるISTQB(International Software Testing Qualifications Board)と連携しており、この資格は国際的にも通用します。
JSTQB認定テスト技術者資格には、以下のようなレベルが設けられています。
- Foundation Level(FL):テストの基礎知識を証明するレベルです。テストの基本概念、テスト設計技法、テストマネジメントなどの基礎的な内容が問われます。
- Advanced Level(AL):より高度なテスト技術者としての知識を問うレベルです。「テストマネージャ」「テストアナリスト」「テクニカルテストアナリスト」の3つの役割に分かれています。
- Expert Level(EL):テストの特定分野における専門家としての知識を認定するレベルです。「テスト自動化エンジニア」「テスト改善」「テスト管理」などの専門分野があります。
この資格の大きな特徴は、ソフトウェアテストに特化した専門知識を体系的に学べる点です。テストの計画、設計、実行、報告といったテストライフサイクル全体をカバーしており、テストエンジニアとしての専門性をアピールする強力な武器となります。
ソフトウェア品質技術者資格認定
ソフトウェア品質技術者資格認定は、一般財団法人日本科学技術連盟(JUSE)が認定する資格で、ソフトウェアの品質向上技術に関する知識を習得することができます。この資格は「ソフトウェア品質 知識体系ガイド(SQuBOK)」をシラバスとしており、ソフトウェアの品質全般に関する知識が問われる内容となっています。
具体的には、品質の概念やソフトウェア品質モデル、品質マネジメント、セキュリティ、リスクマネジメント、レビューマネジメントなど非常に幅広い内容が出題されます。
この資格には、以下の2つのレベルがあります。
- 初級ソフトウェア品質技術者資格試験:ソフトウェア品質に関する基本的な概念を理解していることを認定するレベルです。テストエンジニアにとっての基本的な用語や概念の理解が問われます。
- 中級ソフトウェア品質技術者資格試験:より実践的なスキルが問われるレベルです。テストマネジメントやリスクマネジメントなど、品質向上に必要な管理についての問題が出題されます。
テストエンジニアがこの資格を取得することで、テスト工程だけでなく、品質保証の観点からソフトウェア開発全体を見渡す視野を持つことができます。
IT検証技術者認定試験(IVEC)
IT検証技術者認定試験(IVEC:IT Verification Engineer Certification)は、一般社団法人IT検証産業協会(IVIA)が認定する、テストエンジニアのための資格試験です。この試験の大きな特徴は、実務を重視した内容である点です。
IVECには、次のようなレベル分けがされています。
- エントリーレベル(レベル1・レベル2):テスト実施者向けのレベルです。テスト実行計画、テスト環境準備、テストケース準備、テスト実行、不具合報告などが出題されます。
- ミドルレベル(レベル3・レベル4):設計者向けのレベルです。テスト詳細設計、テスト実装、テスト報告などが出題されます。
- ハイレベル(レベル5):アナリスト向けのレベルです。テスト要求分析、テストアーキテクチャ設計、テスト評価などが出題されます。
IVECの問題形式は、レベル1からレベル5まで全てPCを使った記述式となっており、実務に即した実践的な内容が問われます。このため、単なる知識の暗記ではなく、実際の業務で培った経験や判断力が試されます。
テストエンジニアとしてのキャリアを積み上げていく上で、実務スキルを客観的に証明できるこの資格は、特に実践的な能力をアピールしたい場合に有効です。