【徹底解説】SIerとは?業務内容・SEとの違い・必要なスキルを解説!

公開日:2025/06/27 最終更新日:2025/06/27

【徹底解説】SIerとは?業務内容・SEとの違い・必要なスキルを解説!
SIerとは「システムインテグレーター」の略で、企業の課題解決のためのシステム開発を一貫して担う企業です。本記事ではSIerの定義、具体的な仕事内容、SIerの種類、SESとの違い、働くメリット・デメリットなどをわかりやすく解説します。

SIerで働く時の仕事内容とは?

SIer(エスアイヤー)とは、「システムインテグレーター(System Integrator)」の略称で、顧客が使用するシステムの設計、開発、運用・保守、場合によってはコンサルティングまでを一貫して請け負う企業のことです。英語圏では「SI」や「System Integrator」と呼ばれますが、日本では「SIer」という和製英語が一般的に使われています。SIerで働くエンジニアの仕事は、企業の規模や種類によって多少異なりますが、基本的にはシステム開発の全工程を担当します。

システムの企画・要件定義

SIerの仕事の出発点となるのが「システムの企画・要件定義」です。「企画」の段階では、顧客の課題を解決する最適な企画を考えるために、詳細なヒアリングと情報収集を行います。
次に「要件定義」では、企画をベースに具体的なシステム要件を決定していきます。必要な機能や顧客の要望を整理し、実現可能な形で仕様にまとめてます。

システムの設計・開発

システムの要件が定まったら、次は「設計・開発」フェーズに移ります。要件定義に基づいて具体的なシステム設計を行い、実際のプログラミング作業へと進んでいきます。

テストや運用・保守

開発したシステムが正しく動作するかを確認する「テスト」、そして顧客の環境に導入後の「運用・保守」もSIerの重要な業務です。システムの安定稼働を長期的に支援することで、顧客との信頼関係を築きます。

SIerの種類とそれぞれの特徴とは?

SIerは、その成り立ちや経営基盤によっていくつかの種類に分類されます。それぞれ特徴が異なるため、どのタイプのSIerが自分のキャリアや企業の目的に合っているかを見極めることが重要です。ここではSIerの主な種類とその特徴を紹介します。

メーカー系SIerは親会社製品に強い

メーカー系SIerは、コンピュータや通信機器などのハードウェアメーカーが設立した、または資本関係のあるSIerです。親会社の製品に関する深い知識と技術力を持ち、ハードウェアとソフトウェアを一体化したトータルソリューションを提供できます。大規模なシステム構築の実績が豊富で、安定した経営基盤を持っていることが特徴です。

ユーザー系SIerは特定業界に強みがある

ユーザー系SIerは、金融、通信、製造業などの大手企業がグループ会社として設立したSIerで、親会社の属する業界に関する深い理解と知見を持っています。業界特有の課題やニーズを熟知していることが最大の特徴です。親会社を通じた案件獲得により安定した事業基盤を持っています。

独立系SIerは柔軟性と中立性が魅力

独立系SIerは、特定の親会社やハードウェアメーカーに属さず、独自の経営判断で事業を展開しています。特定のベンダーに縛られない中立的な立場から、クライアントに最適なソリューションを提供できる点が魅力です。

外資系・コンサル系SIerは高待遇で専門性が高い

外資系・コンサル系SIerは、グローバルな知見と最先端の技術・手法を取り入れたプロジェクト遂行が特徴です。高度な専門性と、グローバル基準の報酬体系による高待遇が魅力ですが、競争の激しい環境でもあります。

SIerとSESの違いとは?

SIerという言葉に馴染みのない方は、似た用語や職種と混同してしまうことがあります。特にSESは混同されることがあるため、解説します。 SIerとSES(システムエンジニアリングサービス)は、どちらもITサービスを提供する事業形態ですが、働き方に大きな違いがあります。SIerがシステム開発のプロジェクト全体を請け負い、その成果物に責任を持つのに対し、SESはクライアント企業にエンジニアを派遣して労働力を提供するサービスです。つまり、SES企業から派遣されたエンジニアがSIer企業で働くというケースも存在し、全く別のサービスを指します。

▼SESについて詳しく知りたい方はこちら

SIerで働くメリットとは?

SIer業界で働くことには、他のIT関連職種と比較して、いくつかの顕著なメリットがあります。キャリア形成を考える上で、これらのメリットを理解しておくことが重要です。

幅広い業務経験が積める

SIerでは様々な業界のクライアント企業のシステム開発に携わることができるため、業界知識と技術の両面で幅広い経験を積むことができます。例えば、金融系のプロジェクトで高いセキュリティ要件に対応する技術を学び、次に製造業のプロジェクトでIoTやAIを活用した生産管理システムの開発に携わるなど、多様な経験を通じて総合的なスキルアップが可能です。
業界だけではなく、使用する言語や環境などもプロジェクト毎に異なりますので、幅広い経験を積むことができます。SIerで培った業界知識を活かしてその業界へ転職をするというケースも珍しくありません。

コミュニケーション力や問題解決力が身につく

SIerの仕事では、クライアントの要望を正確に理解し、それを実現するためのシステム設計を行う必要があります。この過程では、技術的な知識だけでなく、クライアントとの折衝能力や、複雑な要件を整理する論理的思考力、問題が発生した際の解決力など、多面的なスキルが求められます。これらの経験を通じて培われるコミュニケーション力や問題解決力は、IT業界に限らずあらゆるビジネスシーンで活かせる貴重な能力となります。

安定したキャリアを築ける

特に大手のSIerは安定した経営基盤を持ち、長期的なキャリア形成が可能な環境を提供しています。IT技術の需要は今後も高まる一方で、社会のデジタル化が進む中でSIerの役割はますます重要になると予想されます。また、SIerでの経験は他のIT職種への転職においても高く評価されることが多く、将来のキャリアチェンジの際にも有利に働きます。さらに、プロジェクトマネージャーやITコンサルタントなど、技術以外の領域でのキャリアパスも豊富に用意されているのもメリットです。

SIerで働くデメリットとは?

SIerでのキャリアには魅力的なメリットがある一方で、理解しておくべきデメリットも存在します。将来のキャリアプランを考える上で、デメリットを正しく認識しておくことが重要です。

多忙で納期に追われやすい

SIerの業界では、クライアントとの契約で定められた納期を守ることが最優先事項となります。特にプロジェクトの終盤では、予期せぬ不具合や仕様変更などによって作業が集中し、長時間労働を強いられることも少なくありません。
また、複数のプロジェクトを並行して担当することもあり、常に時間との戦いになりがちです。そのため、技術的な深掘りや自己研鑽の時間を確保することが難しく、ワークライフバランスを保つことに苦労する場合があります。

業務範囲が広く専門性が身につきにくいこともある

SIerでは要件定義から設計、開発、テスト、運用・保守まで幅広い業務を担当できることがメリットである一方、一つの技術領域を極めるという点では不利な面もあります。特に中小規模のSIerや多忙なプロジェクトでは、深く学ぶ時間よりも目の前の業務をこなすことが優先され、専門性を高められないケースがあります。
また、クライアントの既存システムに合わせた開発が多いため、最新技術に触れる機会が限られ、技術的なトレンドから取り残されるリスクもあります。

SIerに向いている人・向いていない人の特徴とは?

SIer業界での成功には特定の適性や資質が影響します。自分がこの業界に向いているかどうかを判断するためには、SIerで活躍している人の特徴と、逆に苦労しがちな人の特徴を理解しておくことが重要です。SIerに向いている人と向いていない人の特徴を具体的に解説します。

SIerに向いている人の特徴

好奇心旺盛で学習意欲が高い人は、新しい技術やビジネスドメインの知識を積極的に吸収できるため、SIerに向いています。次に、コミュニケーション能力が高い人も適性があります。SIerの仕事では、技術者同士のコミュニケーションだけでなく、IT知識が乏しいクライアントに対して複雑な技術的内容をわかりやすく説明する能力が求められます。
さらに、問題解決能力の高い人もSIerに向いています。システム開発中には様々な技術的課題や予期せぬトラブルが発生します。そうした場面で冷静に状況を分析し、最適な解決策を見出せる能力は価値があると言えるでしょう。

SIerに向いていない人の特徴

柔軟性に欠ける場合は、SIerに向いていない可能性があります。システム開発では、プロジェクトの途中で仕様変更が発生することが少なくありません。変化に適応することが難しい人は、ストレスを感じやすいでしょう。
さらに、チームでの協働を好まず、一人で完結する仕事を好む人も、SIerは向いていない可能性があります。SIerのプロジェクトは基本的にチーム単位で行われ、メンバー間の連携や情報共有が重要です。チームワークやコミュニケーションに苦手意識がある人は、プロジェクトの進行においてストレスを感じるかもしれません。

SIerに就職・転職するために準備しておきたいこととは?

競争の激しいSIer業界で内定を獲得し、その後も活躍するためには、計画的な準備は欠かせません。ここでは、SIerへの就職・転職を成功させるために準備しておきたいことを具体的に解説します。

IT系資格の取得を目指す

SIer業界での就職・転職において、IT系資格の取得は大きなアドバンテージとなります。おすすめのIT系資格をまとめました。
資格名 難易度 取得メリット
ITパスポート 初級 IT全般の基礎知識を証明できる
基本情報技術者試験 中級 プログラミングなどの実践的なIT知識を証明できる
応用情報技術者試験 中上級 より専門的なIT知識と応用力を証明できる
プロジェクトマネージャー試験 上級 プロジェクト管理能力の高さを証明できる
データベーススペシャリスト 上級 データベース設計・運用の専門知識を証明できる

▼エンジニアの資格について詳しく知りたい方はこちら

英語力を身につけておく

グローバル化が進む現代のビジネス環境において、英語力はSIerでも重要なスキルの一つとなっています。特に外資系SIerや国際的なプロジェクトに携わる可能性がある場合は、英語でのコミュニケーション能力が求められます。
また、プログラミング言語やIT関連の技術文書は英語で書かれていることが多いため、英語の読解力があると学習効率が大幅に向上します。TOEICなどの英語資格を取得しておくと、客観的な英語力の証明になるため、就職・転職の際にアピールポイントとなるでしょう。

非情報系出身ならプログラミングの基礎知識を学ぶ

情報系の学部・学科出身でない場合は、プログラミングの基礎知識を独学で身につけておくことが重要です。最低限、HTML/CSSやJavaScript、Python、Javaなどの主要なプログラミング言語の基礎と、データベースの基本概念を理解しておくと良いでしょう。
オンライン学習プラットフォームやプログラミングスクールなどを活用すれば、効率的に学習を進めることができます。また、簡単なWebサイトやアプリケーションを自分で作成してみるなど、実践的な経験を積むことも大切です。自主的な学習経験は、面接でのアピールポイントになるだけでなく、入社後のキャッチアップも容易になります。

就活・転職エージェントを活用する

SIerへの就職・転職を成功させるためには、就活エージェントやインターンシップの積極的な活用も効果的です。IT業界に特化した就活エージェントを利用すれば、公開求人だけでなく非公開求人の紹介や、志望企業に合わせた対策アドバイスを受けることができます。

トライアローは、しごとF!NDERというお仕事検索サイトを運営するITに強い派遣会社です。SIerのお仕事を探している方や、キャリアについて悩んでいる方への営業担当によるキャリア相談も行っております。是非お気軽にご相談ください。

SIerはIT業界の中で欠かせない存在

SIer(システムインテグレーター)について詳しく解説してきました。SIerとは、顧客の業務課題を分析し、システム構築を通じて解決策を提供する企業のことで、IT業界の中でも重要な役割を担っています。近年のIT化に伴い、SIerが請け負う案件数も、SIer自体の数も増えています。今やIT業界には欠かせない企業の一つですので、IT業界の第一歩としてSIerで経験を積むことは、今後のキャリアに良い影響を与えることになるでしょう。

SIerのお仕事を探すなら、トライアロー

トライアローは、主にIT・通信に強い技術系の派遣会社です。
SIerをはじめ、ITに関するお仕事も多く取り扱っておりますので、これから新たなキャリアを積んでいきたい方やこれまでの経験を活かして働きたい方はお気軽にお問い合わせください。

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