2級建築施工管理技士とは?資格のメリットから試験の合格法まで徹底解説!


2級建築施工管理技士とは?

2級建築施工管理技士は、建設業法に基づく国家資格で、建築工事現場の施工管理を行うための技術力と知識を証明するものです。近年は、建設業界の人手不足を背景に、資格保持者の需要が増加しています。

2級建築施工管理技士ができる仕事内容を解説

2級建築施工管理技士の主な仕事は、建設現場における「四大管理」と呼ばれる重要な管理業務です。
四大管理の具体的な内容は以下の通りです。
  • 工程管理:工期内完成のためのスケジュール管理と調整
  • 品質管理:設計図書に基づく品質確保と検査
  • 安全管理:労働災害防止と安全確保の徹底
  • 原価管理:予算内での工事完了のための費用管理

これらの管理業務に加えて、施工計画の作成や関係者との打ち合わせ、各種書類の作成など、多岐にわたる業務を担当します。現場では様々な問題が発生しますが、それらに迅速かつ適切に対応することも施工管理技士の重要な役割です。

種別ごとに異なる仕事の範囲を知る

2級建築施工管理技士には「建築」「躯体」「仕上げ」の3つの種別があり、それぞれ担当できる工事の範囲が異なります。受験時にはいずれかの種別を選択することになるため、自分のキャリアプランに合わせた種別選びが重要です。
種別 担当できる主な工事内容
建築 建築一式工事、解体工事
躯体 大工工事、とび・土工・コンクリート工事、鋼構造物工事、鉄筋工事、タイル・れんが・ブロック工事、解体工事
仕上げ 左官工事、石工事、屋根工事、タイル・れんが・ブロック工事、板金工事、ガラス工事、塗装工事、防水工事、内装仕上工事、熱絶縁工事、建具工事
※引用:2級建築施工管理技術検定受検の手引

2級建築施工管理技士を取得するメリット

2級建築施工管理技士の資格を取得すると、建設業界でのキャリア形成において大きなメリットがあります。どのようなメリットがあるか詳しく見ていきましょう。

主任技術者・専任技術者として活躍できる

2級建築施工管理技士の最大のメリットは、建設業法で定められた「主任技術者」として現場に配置できる資格を得られることです。
主任技術者は現場における施工の技術上の管理を行う重要な役割を持ち、施工に関する指示や判断を行う立場となるため、現場での発言力も大きくなります。
工事規模 必要な技術者 2級建築施工管理技士の対応
請負金額4,500万円未満
(建築一式工事は7,000万円未満)
主任技術者 〇(配置可能)
請負金額3,500万円以上
(建築一式工事は7,000万円以上)
専任の主任技術者 〇(専任で配置可能)
請負金額4,500万円以上
(建築一式工事は7,000万円以上)
監理技術者 ×(1級資格が必要)

建設会社にとっても、主任技術者として配置できる有資格者を確保することは経営上の大きなメリットです。そのため、2級建築施工管理技士の資格を持つ人材は採用市場で高く評価され、様々な建設関連企業で求められる存在となっています。

収入アップや転職・昇進に繋がりやすい

2級建築施工管理技士の資格取得は、収入アップだけでなく、キャリアアップにつながります。建設業界では資格の有無が給与や評価に直結しやすいため、技術系資格の価値は高く評価されているのです。
転職市場においても、2級建築施工管理技士の資格は高く評価されます。建設会社だけでなく、ハウスメーカー、不動産デベロッパー、ゼネコン、リフォーム会社など、建築に関わる様々な企業で需要があります。特に主任技術者として配置できる有資格者は常に不足しているため、転職する際に選択肢が大幅に広がります。 ▼建築・土木業界の平均年収についてはこちら

比較的取得しやすく、人気が高い資格

2級建築施工管理技士は、建設関連の国家資格の中では比較的取得しやすいため、初めて建設業界の資格に挑戦する方や若手技術者に特に人気があります。
2級建築施工管理技士と1級建築施工管理技士の違いについてまとめました。
項目 2級建築施工管理技士 1級建築施工管理技士
第一次検定受験資格 17歳以上(実務経験不問) 令和6年度の制度改正により試験実施年度に満19歳以上であれば学歴・実務経験を問わず受検可(ただし第二次検定には実務経験要件あり)
第一次検定合格率 約40~50% 約30~40%
試験実施回数 第一次検定:年2回
第二次検定:年1回
第一次検定:年1回
第二次検定:年1回
試験の出題範囲 基礎的な内容中心 応用的・専門的な内容も含む
引用:2級建築施工管理技術検定のご案内|建築・電気工事施工管理技術検定|一般財団法人建設業振興基金試験研修本部

2級建築施工管理技士の試験内容

2級建築施工管理技士の試験は、「第一次検定(学科試験)」と「第二次検定(実地試験)」の2段階方式で実施されます。両方に合格することで初めて資格を取得できるシステムになっています。確実に合格するためには、試験内容をしっかり理解しておくことをおすすめします。

第一次検定(学科試験)の具体的な内容を解説

第一次検定(学科試験)は、建築施工管理に関する基礎的な知識を問う筆記試験です。試験時間は2時間で、マークシート方式(四肢択一、四肢二択)による出題となります。
出題科目は「建築学等」「法規」「施工管理法」「施工」「応用能力」の5科目です。
科目 出題数 解答数 主な出題内容
建築学等 17問 12問(選択) 建築材料、構造力学、建築計画、建築設備など
施工 11問 8問(選択) 土工事、躯体工事、仕上げ工事、設備工事など
施工管理法 10問 10問(必須) 工程管理、品質管理、安全管理、原価管理など
法規 8問 6問(選択) 建築基準法、建設業法、労働安全衛生法など
応用能力 4問 4問(必須) 実務を想定した応用問題
※引用:2級建築施工管理技術検定のご案内|建築・電気工事施工管理技術検定|一般財団法人建設業振興基金試験研修本部

合格基準は、正答率60%以上とされています。ただし、各科目でバランスよく得点する必要があり、特定の科目だけで高得点を取っても他の科目が極端に低いと不合格になることもあります。

第二次検定(実地試験)の具体的な内容を解説

第二次検定(実地試験)は、実務経験に基づいた実践的な知識と応用力を問う試験です。
試験時間は2時間で、記述式と選択式(四肢択一)の混合形式で出題されます。第一次検定が基礎知識を問うのに対し、第二次検定では実際の現場で直面する問題への対応力や判断力が試されます。

試験問題は全5問で、そのうち4問が必須問題、1問が選択問題となっています。必須問題は「施工経験記述」「施工用語」「工程管理」「法規」から出題され、選択問題は受験時に選んだ種別(「建築」「躯体」「仕上げ」)に応じた内容から出題されます。
合格基準は第一次検定と同様に正答率60%以上とされていますが、施工経験記述の配点が大きいため、この問題での得点が合否を大きく左右します。実務経験を具体的かつ論理的に記述する練習が重要です。

2級建築施工管理技士の難易度や合格率

試験を受ける際には、難易度や合格率が気になるのではないでしょうか。第一次検定と第二次検定の合格率や難易度について解説します。

第一次検定と第二次検定の合格率を確認する

2級建築施工管理技士試験の合格率は、第一次検定と第二次検定で異なります。
第一次検定(学科試験)の合格率は、2020年には35%程度でしたが、2024年には50%程度まで上昇しています。この上昇傾向は、試験内容の安定化や参考書・過去問などの学習教材の充実によるものと考えられます。
一方、第二次検定(実地試験)の合格率は、2020年には30%弱で2024年は40%程度でした。第二次検定は実務経験に基づいた記述が重視されるため、第二次検定の方が第一次検定よりも合格率が低く、より難易度が高いといえます。

試験の難易度を資格制度・試験内容から考える

2級建築施工管理技士の試験難易度は、資格制度自体の特徴や試験内容から分析することができます。
難易度要因 第一次検定(学科試験) 第二次検定(実地試験)
受験資格 17歳以上(実務経験不問) 以下1~3のいずれ化の条件を満たしている場合
  1. 1, 2級建築施工管理技術検定 第一次検定合格後、実務経験3年以上
  2. 1級建築施工管理技術検定 第一次検定合格後、実務経験1年以上
  3. 一級建築士試験合格後、実務経験1年以上
試験形式 マークシート方式(選択式) 記述式+選択式(混合)
出題範囲 5科目の基礎知識(広範囲) 実務に基づく応用力(深い理解)
学習の難しさ 広範囲の知識の習得 実務経験の整理と論理的な記述力

まず受験資格の観点では、令和6年度からの新制度により、第一次検定については17歳以上であれば実務経験不問で受験できるようになりました。そのため、建設系の学生や若手技術者でも比較的早い段階から挑戦できるようになっています。
第二次検定では実務経験に基づいた実践的な応用力が試されます。特に「施工経験記述」では、実際の現場経験に基づいた具体的かつ論理的な記述が求められるため、実務経験が浅い方にとっては難しいと感じる場合があります。

1級建築施工管理技士との難易度を比較する

2級と1級の建築施工管理技士資格を比較すると、難易度に明確な差があります。
受験資格の面では、1級は一定期間の実務経験が必要であり、第一次検定から実務経験が求められます。例えば大学の指定学科卒業者でも3年以上の実務経験が必要です。一方、2級の第一次検定は17歳以上であれば誰でも受験可能です。
試験内容においても、1級は2級よりも高度な専門知識と応用力が求められます。第一次検定では出題範囲が広く、より専門的な内容が含まれます。第二次検定では、記述問題の難易度が高く、実務経験に基づいたより深い知識が必要です。 ▼1級土木施工管理技士の取得方法について

2級建築施工管理技士に合格するための勉強方法

2級建築施工管理技士に合格するためには、効率的で効果的な勉強方法を採用することが重要です。試験対策を始める前に、まずは試験の全体像を把握し、自分に合った学習計画を立てましょう。

合格に必要な勉強時間は100〜300時間を目安にする

2級建築施工管理技士の試験に合格するために必要な勉強時間は、個人の経験や知識レベル、学習効率によって異なりますが、一般的には100~300時間程度が目安とされています。学習者のタイプ別に必要な勉強時間をまとめました。
学習者のタイプ 第一次検定(学科) 第二次検定(実地) 合計目安時間
建築関連の実務経験者 80~120時間 30~50時間 110~170時間
建築系学校出身者 100~150時間 40~80時間 140~230時間
未経験者・他分野からの転向者 150~200時間 50~100時間 200~300時間

学習効率を高めるためには、短時間でも毎日コンスタントに学習する習慣をつけることが効果的です。また、通勤時間や休憩時間などの隙間時間を活用して、用語の暗記や簡単な問題演習を行うことも有効です。

通信講座や参考書を活用して効率よくインプットする

2級建築施工管理技士試験の学習には、様々な教材や学習方法があります。通信講座は計画的に学習を進められるため、独学に不安がある方や効率的に学習したい方におすすめです。通信講座の多くは、テキスト教材やDVD、オンライン講義などが含まれており、自分のペースで学習できる利点があります。

独学の場合は、市販の参考書や問題集の選択が重要です。初学者には基礎から丁寧に解説された入門書がおすすめで、試験直前期には要点がコンパクトにまとめられた参考書が役立ちます。特に過去問題集は必須の教材で、出題傾向や頻出分野を把握するためにも積極的に活用すべきです。

過去問を使ったアウトプットで理解度を高める

出題範囲をインプットしたら、過去問題を活用したアウトプット学習をしましょう。過去問演習を行うことで、単なる知識の暗記ではなく、実際の試験で求められる応用力や思考力を養うことができます。
特に過去3~5年分の問題は、最新の出題傾向を反映していることが多いため、重点的に取り組むことをお勧めします。
過去問活用のポイント 第一次検定(学科試験) 第二次検定(実地試験)
取り組むべき年数 最低3年分(できれば5年分) 最低3年分(類似問題の分析も重要)
効果的な時期 基礎学習後~試験直前まで継続的に 実務経験の整理後、記述練習として
注目すべきポイント 出題分野の偏り、選択肢の特徴 キーワード、記述の構成と分量
繰り返しの目安 最低2回(弱点分野は3回以上) 類似テーマで複数回の記述練習

2級建築施工管理技士の試験日程・スケジュールを把握しよう!

2級建築施工管理技士の試験に合格するには、試験スケジュールを正確に把握し、余裕を持った学習計画を立てることが重要です。令和7年度の詳細な日程をもとに、効果的な学習スケジュールの立て方を解説します。

試験の申し込み期間・試験日・合格発表日を確認する

令和7年度の2級建築施工管理技士試験の詳細な日程は以下の通りです。各日程をしっかり確認し、申し込みや試験準備に遅れがないようにしましょう。
区分 申込期間 試験日 合格発表日
第一次検定(前期) 令和7年2月7日~2月28日 令和7年6月8日(日) 令和7年7月9日(水)
第一次検定(後期) 令和7年6月25日~7月23日 令和7年11月9日(日) 令和7年12月22日(月)
第二次検定 令和7年6月25日~7月23日 令和7年11月9日(日) 令和8年2月6日(金)
※引用:2級建築施工管理技術検定のご案内|建築・電気工事施工管理技術検定|一般財団法人建設業振興基金試験研修本部

2級建築施工管理技士の資格取得を目指すあなたへ

2級建築施工管理技士の資格取得は、建設業界でのキャリアアップに直結する大きな一歩です。この資格を取得することで、現場での評価が高まるだけでなく、収入アップや職域の拡大など、様々なメリットを享受することができます。2級建築施工管理技士の資格取得という明確な目標に向かって、今日から一歩ずつ確実に歩み始めましょう!

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トライアローは、しごとF!NDERというお仕事検索サイトを運営する建設・通信・電気設備業に強い派遣会社です。これから建築施工管理技士やその関連するお仕事への転職活動をしたい、これまでの経験を活かしてもっと条件の良い案件に移りたい等のご希望を基に、条件にあうプロジェクトをご紹介しています。
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