電気通信工事で必要になる資格とは?転職する際に意識すべきポイントも解説

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2023年07月24日


電気通信工事業界への転職を考えている人にとって、関連資格の取得は避けて通れません。もちろん、資格がない状態でも転職自体は可能ですが、取得しておいたほうが仕事の選択肢が飛躍的に増える可能性があります。そこで、本記事では電気通信工事の基本的な内容や、必要となる4つの主要な資格、転職を成功に導くための注意点について解説します。

目次

電気通信工事とはそもそもなにか?

電気通信工事は、ひとことで表現すると情報通信設備全般の工事を扱う仕事です。インターネットや携帯電話、テレビなど私たちが日常的に接触する情報通信機器のインフラを構築、維持する仕事を指します。例えば、インターネットの電気通信工事の具体的な作業としては、コンピューターや複合機といった端末を接続してネットワーク環境を形成するLAN工事などです。また、インターネットを利用するための光ファイバーの敷設工事なども含まれます。そのほか、携帯電話の電気通信工事としては、スマートフォンや携帯電話の利用を可能にする携帯電話基地局工事も主な作業の一つです。

ここで注意が必要なのは、「電気通信工事」と「電気工事」は異なるという点です。一般的に、電気工事と聞くと電気を通すことが主な業務と思われがちですが、実際には建築電気工事や鉄道電気工事などさまざまな分野があります。電気通信工事と電気工事の違いは、主に扱う電気設備の規模です。電気通信工事は、インターネット設備や放送設備など比較的小さな電気設備を扱います。一方、電気工事は建物全体の電気設備や鉄道などの大規模な電気設備を扱うことがメインです。そのため、電気工事のほうが業務範囲は広く発電・変電・配電・保守といった多岐にわたる工事や作業を含んでいます。

電気通信工事で必要になる資格4選

電気通信工事の資格には、さまざまな種類があります。ここでは、代表的な以下の4つの資格について紹介します。

工事担当者

工事担当者の資格は、電気回線の配線工事や修理を行うために必要です。この資格は、年齢や学歴に制限がなく誰でも受験できる特徴があります。そのため、電気通信工事業界への転職を考えている人にとって挑戦しやすい資格の一つです。工事担当者の資格は、全部で5種類あり、大別すると「アナログ通信」および「デジタル通信」の2つのカテゴリーに分けられます。

各資格の難易度を比較すると、アナログとデジタルの両方をカバーする「総合通信」の合格率は約20%と比較的低めです。一方で、デジタル・アナログの片方のカテゴリーだけの資格となる「第2級アナログ通信」や「第2級デジタル通信」の合格率は約50%と、比較的挑戦しやすい数字といえます。それぞれに、出題範囲が広かったり計算問題が多かったりする特徴がありますが、自分のスキルレベルや狙いに合わせて選択することが可能です。自分にとって最適な資格を選び、挑戦することが求められます。

工事担当者について詳しく知りたい方はこちら
転職に有利な通信の資格~工事担任者~

電気通信主任技術者

電気通信主任技術者は、情報通信設備の工事・保守・運用を専門的に行える資格です。この資格を持っていれば、工事現場で「主任技術者」の役割を担うことができます。なお、取得するための受験資格は、特に設けられていません。しかし、実際に主任技術者として働くためには試験に合格したあとに5年以上の実務経験を積む必要があります。つまり、電気通信主任技術者の資格だけでは主任技術者としては認められません。

電気通信主任技術者には、「伝送交換主任技術者」と「線路主任技術者」の2つの種類があります。伝送交換主任技術者は、主に電気通信事業者の局内設備が対象で線路主任技術者は架空電線や地下ケーブルなどの設備が対象です。試験は、すべてマークシート形式で行われますが、その難易度は決して低くはありません。令和3年度試験(第1回)の合格率は、伝送交換主任技術者が約45%、線路主任技術者は約60%となっているため、挑戦にはしっかりとした受験備と努力が必要です。

電気通信工事施工管理技士

電気通信工事施工管理技士は、主任技術者・専任技術者・監理技術者となるために必要な国家資格です。この資格を取得できれば、通信分野に特化した施工管理士として認められるため、幅広い電気工事の業務に携わることができます。電気通信工事施工管理技士のレベルは、「2級電気通信工事施工管理技士」と「1級電気通信工事施工管理技士」の2つです。2021年からは「技士補」という新しい資格も追加されています。2級の受験には、大学の指定学科を卒業してから1年以上の実務経験、あるいは8年以上の実務経験が必要です。

一方、1級を受験するためには大学の指定学科を卒業してから3年以上の実務経験、また2級を取得してから5年以上の実務経験といった厳しい条件が求められます。試験は、2段階構成となっており、第1次検定はマークシート形式、第2次検定は記述式です。2級の合格率は約60%ですが、1級は記述式があるため約45%と低めになっています。

陸上無線技術士・陸上特殊無線技士

陸上無線技術士と陸上特殊無線技士は、陸上にある無線設備の技術的な操作を行うための資格です。そのため、携帯基地局の設備工事や保守・点検などの仕事を希望している人には特に適した資格となっています。さらに、テレビやラジオなどの放送局の設備工事やアナウンス設備の仕事にも有用です。なお、受験資格は設けられておらず、年齢や学歴に関係なく学生から社会人まで受験でき非常に人気があります。

具体的に、陸上無線技術士は第1級と第2級の2つの等級、陸上特殊無線技士には第1級から第3級までの3つの等級が設けられているのが特徴です。合格率は、等級によって大きく異なり、第2級と第3級の陸上特殊無線技士は合格率が70~80%と比較的取得しやすくなっています。一方、第1級と第2級の陸上無線技術士および第1級の陸上特殊無線技士の合格率は約20%と難易度は高めです。

陸上特殊無線技士について、詳しく知りたい方はこちらをご確認ください。
陸上特殊無線技士の2級と3級の違いとは?できることや試験の難易度を解説

電気通信工事の仕事に転職する際に意識すべきポイント

実際に、電気通信工事の分野へ転職する際にはどのようなポイントを意識する必要があるのでしょうか。まず、どの分野に進みたいのかを明確にしておくことが重要です。電気通信工事の分野だけを見ても、具体的な仕事内容は多岐にわたります。例えば、LAN工事・電話工事・放送機械設備工事・携帯電話基地局工事など、それぞれに特化した技術や経験が必要です。自分がどの分野に特化するのかを明確にしておくようにしましょう。次に、自分が業務のなかでどのような役割を担いたいのかを明確にすることも大切です。「現場で具体的な工事を行う作業員を目指すのか」「現場全体の監督を担う施工管理を目指すのか」によって、必要とされる経験や資格は異なります。自分がなにをしたいのを十分に考えうえで、必要なスキルや知識、資格を明確にしておきましょう。

さらに、転職を成功させるためには適切な転職サービスの活用も欠かせません。特に、電気通信工事関連の求人が多い転職サービスであれば、多くの求人から自分に合ったものを選ぶことができます。また、未経験者の場合は研修制度が整っている会社を選ぶことも重要です。未経験者は、現場での作業で苦労しやすく一から学ぶには時間もかかります。そのため、しっかりとした研修やフォロー体制がある会社を選ぶことで、スムーズに業務へ取り組むことが期待できるでしょう。

まとめ

電気通信工事は、技術職という性質上、資格を取得しておくと業務の選択肢が大きく広がります。ただし、どの分野に進みたいのかによって必要な資格は異なるので、自分のキャリアパスをしっかりと考えたうえで選びましょう。

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