公開日:2023/07/07 最終更新日:2023/07/07
陸上特殊無線技士とは、陸上にある無線設備の操作や設置の際に必要な国家資格です。たとえば、電波法で定められている陸上特殊無線技士の役割として、テレビやラジオの中継局、携帯電話の基地局、警察や消防などの無線設備操作があります。 陸上特殊無線技士は国内電信級、第3級、第2級、第1級の4種類があり、それぞれ取り扱える無線の種類、周波数が異なります。 資格試験は2月、6月、10月と1年に3回行われており、試験日の2カ月ほど前から申請可能です。2022年4月からは陸上特殊無線技士の第3級、第2級の試験はCBT(Computer Based Testing)方式になりました。そのため、従来のマークシート方式による試験は終了しています。CBT方式はコンピュータで出題された問題にマウスで選択したり、キーボード入力して回答したりする試験方法です。無線従事者は生活に関わるさまざまな通信設備を扱う仕事であり、将来性があるだけではなく、やりがいもある仕事といえます。
陸上特殊無線技士の資格を取得していれば、携帯電話メーカーの基地局、テレビやラジオの中継局、警察局などの就職で有利になります。また、空中撮影ができる話題のドローン操作の際にも陸上特殊無線技士の資格が必要です。ドローンは業務用以外にも、空中撮影した動画をYouTubeで配信し、収益につなげられる可能性もあります。 2020年春から通信技術「5G」が導入されましたが、いずれ「6G」も導入される予定です。そのため、無線通信の技術者の需要が高まることが期待されています。 まずは第3級や第2級を取得し、いずれ第1級陸上特殊無線技士を取得するなどスキルアップを目指すのも良いでしょう。将来的にはIoT・AI社会になるといわれているため、必要なほかの資格も取得して登録検査等事業者として独立することもできます。登録検査等事業者は無線設備などを検査・点検できる資格です。
陸上特殊無線技士の資格を取得する場合、まずは第3級や第2級から挑戦してみるのがおすすめです。この2つはどのような点が異なるのでしょうか。ここでは、陸上特殊無線技士の第3級と第2級の違いなどについて解説します。
まずは、2級と3級の違いを比較します。
陸上特殊無線技士の2級と3級の主な違いは、技術レベルと取り扱いできる操作の範囲です。 2級は、高度な技術が必要であり、幅広い周波数帯域での通信を扱うことができます。また、長距離通信や特定の周波数帯域での運用も可能です。電波障害の対策や通信機器の設置についても理解している必要があり、より高度な通信技術を必要としますが、広範な運用範囲での通信が可能です。 一方、3級は基本的な技術が必要であり、一部の周波数帯域での通信に対応しています。近距離通信を主に行い、特定の周波数帯域での運用が可能です。3級では、通信機器の設置や電波障害対策を理解することは不要です。 参考:日本無線協会
例)消防や警察、タクシー無線の基地局の操作 周波数の範囲が限られている無線設備の技術操作が行えます。
例)気象レーダーの操作、警察のスピード違反取り締まりのレーダー操作 警察官は基本的に警察学校で資格を取得します。
第2級の資格を取得すると、衛星中継できるテレビの設備やタクシー無線など近距離無線設備を捜査できるようになります。たとえば、身近なものではハイウェイラジオ局、警察のスピード違反取締レーダーの操作の一部などです。空中線電力10W以下の多重無線設備以外の無線設備(1606.5~4000kHzの電波を利用するもの)、それ以外の陸上無線局レーダーが挙げられます。具体的には、受信障害対策中継放送局や特定市区町村放送局、レーダーVSAT地球局などです。 アマチュア無線を趣味にしている人もいますが、それについては第2級陸上無線技術士の資格を取得する必要があります。第2級陸上特殊無線技士のみを取得していても専属業務はないので、ほかの仕事に付随する資格として取得するものと考えておきましょう。たとえば、警察官は警察学校で第2級陸上特殊無線技士の資格を取得することが義務化されています。警察官がパトカーなどに乗って違反者や何らかの犯人を追跡しているときに、無線を使っているのを見たり聞いたりしたことがある人もいるのではないでしょうか。それらの無線も、この資格を取得しているからこそ利用できるのです。
第3級は取り扱える地上波通信が限定されており、タクシーや鉄道の無線など陸上移動局や基地局の技術操作の一部を担当します。ドローンを操縦するために取得する資格というイメージが強い人も多いかもしれません。担当できる対象は空中線電力50W以下のもので2万5010kHz~960MHzの電波を利用するもの、空中線電力100W以下の無線設備で1215MHz以上の電波を利用するものです。具体的には、陸上移動局携帯局基地局です。 趣味や動画投稿などでドローンを操作したい場合や一般の無線局を担当する企業に就職したい場合などであれば、第3級の資格を取得していれば問題ありません。ドローンで空中撮影する際、場所によっては撮影許可を得る必要があります。第3級陸上特殊無線技士を取得していれば、取得していない場合と比較して信用度がアップすることも期待できます。就職する際には、ドローンが操作できる第3級陸上特殊無線技士の資格を取得していることが有利になる可能性もあるでしょう。施設の建物と敷地全体を撮影したいときには、ドローンを使った撮影がぴったりです。そのような動画を撮影することもあるホテルや旅館、神社、不動産会社などに就職したい場合でも、こちらの資格取得を目指すのがひとつの方法といえます。
試験の難易度は第3級と第2級では、第2級のほうが少し高いです。ただ、2020年の試験実績を見ると、第2級の合格率は84.5%、第3級の合格率は85.9%とほぼ同率となっています。第3級の難易度が低い理由は、計算問題の少なさや過去問と同じ問題が多く、対策しやすいといった意見が多いようです。そのため、第2級と第3級、どちらを取得するのかは取得後にどのような分野で活躍したいのかで決めましょう。第2級はレーダーやVSAT(超小型地球局)を使用する業務、第3級は消防やタクシーなどの無線基地局での設備操作が中心です。 ただ、第2級を取得すればどちらの業務もできるため、どちらか迷っているのであれば、第2級の資格取得を目指すのがおすすめといえます。第1級と比較すると難易度は低いですが、勉強しないまま合格できるほど簡単ではありません。資格取得を目指すのであれば、過去問題を何度も解くなど勉強時間をしっかり確保しましょう。陸上特殊無線技士の資格取得を目指せる養成課程もあるので、勉強方法がよくわからない場合は受講するのもひとつの方法です。養成課程は日本無線協会が行っているもので、第2級と第3級は本部のほか、全国にある支部でも受講できます。民間企業でも養成課程を実施しているところもありますので、自分に合う受講方法を選ぶと良いでしょう。
陸上特殊無線技士の資格をとにかく取得したい場合は第2級、第3級どちらを選択しても問題ありません。ただ、いずれ仕事の幅を広げたいと考えているのであれば、第1級の取得を視野に入れたうえで試験に挑みましょう。第1級を取得できれば、テレビやスマホの固定局といった設備を操作できます。また、地上波や衛星波などの通信事業の監督責任者になることも可能です。ちなみに、第1級で操作できる対象には第2級、第3級どちらでできることも含まれています。 第1級の取得は、第2級や第3級と比較して難易度が高くなっています。2020年の試験実績を見ると、合格率が80%超えの第2級や第3級に対し、第1級の合格率は42.6%でした。第1級の試験難易度が高い理由は出題範囲の広さに加え、無線工学の計算問題が多いからです。過去問題を見ても第2級や第3級に出題されるのは1問程度ですが、第1級陸上特殊無線技士になると例年5~7問ほど出題されています。陸上特殊無線技士は受験するための条件がないので挑戦しやすいのですが、第1級は仕事のために受験する人が多い傾向がある資格です。
陸上特殊無線技士はドローン技術の進化によって注目度が上がっています。次世代通信技術である5Gや6Gの導入に備えて取得しておくのがおすすめの、将来性ある資格です。 陸上特殊無線技士の資格を取得して無線業界での仕事を探したい場合は、総務省の認可を得て陸上特殊無線技士の養成課程を実施している株式会社トライアローにお任せください。受講後には国家試験免除で第1級、第3級の資格を取得できます。
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