施工管理はやめとけと言われるのはなぜ?!理由について解説!

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2023年07月07日


施工管理とは、建設工事などの工事で工事全体の管理を行う仕事です。現場技術者の指揮や、工事スケジュールや予算の管理、役所への届け出やその書類作成等を行います。業者との打ち合わせや、書類作成のデスクワーク、さらには現場の監督業務などを行うため建設現場に必要不可欠な存在です。
しかし、一部のネット上などでは、「施工管理はやめとけ」などといわれていることもあります。今回はその理由について解説します。

目次

施工管理はやめとけと言われる理由

ネット上などで、「施工管理はやめとけ」といわれるのはなぜなのでしょうか。その理由を解説します。

残業/休日出勤がある

施工管理は、「残業が少ない」「休みが少ない」といわれることが多いです。理由としては、定められた納期に工事を間に合わせないとならないため、納期が迫ってくると残業や休日出勤が増える傾向にあります。国交省が公表しているデータでは、2020年における建設業の年間労働時間は1985時間、年間労働日数は244日でした。建設業以外も含めた全産業では年間労働時間が1621時間、年間出勤日数は212日ですので、全産業と比べて建設業の労働時間は長いことが分かります。

出典:国交省 建設業の働き方改革の現状と課題(https://www.kensetsu-kikin.or.jp/news/57a42379796b2a6c1d23286d40ea5b611f163364.pdf

しかし、2016年に国土交通省から建設業における働き方改革が提言されています。これにより今後残業や休日出勤は減っていくとみられています。実際に、2007年の年間労働時間は2065時間、年間労働日数は256日と報告されており、2020年のデータと比較すると働く環境が改善されているといえます。今後も引き続き環境改善が進むと予想されます。


出典:国交省 建設業の働き方改革の現状と課題

また、「技術者派遣」として派遣会社に入社し、派遣先で施工管理として働く場合は残業などの時間外勤務が少ないケースが多いです。派遣元の会社と派遣先の会社は派遣契約を結んでいるため、派遣先の会社は残業手当を支払う義務があります。
派遣先の会社はできるだけ残業代を払いたくないため、派遣の場合は残業せずに早く帰れるような環境整備をしているところもあります。
また、たとえ残業があったとしても残業代が必ず支払われますので、サービス残業になり給与と仕事が見合わないということもありません。

危険と隣り合わせ

施工管理の業務は幅広く、書類作成のオフィスワークから工事現場での業務もあります。作業員の安全管理として現場を見まわることや、指示を出すために現場に立ち入ることもあります。実際に高所で作業をすることや重い資材を運ぶことはあまりありませんが、工事現場に立ち入る以上、落下物や転落等の可能性はあります。工事現場での業務は、終日オフィスで作業をする仕事と比べると危険が伴うといえます。

業務量が多い

冒頭で説明をさせていただきましたが、施工管理とは現場技術者の指揮や、工事スケジュールや予算の管理、役所への届け出やその書類作成等を行う仕事です。幅広い業務をすべてこなしていかなければならないため、いずれかの業務に専門特化するのではなく、マルチタスクに仕事ができることが求められます。
さらに、ただ業務が出来れば良いというわけではなく、現場の職人をまとめるマネジメント力や、発注者とのコミュニケーション力、トラブルが発生した時の課題解決力等、様々なスキルが必要となります。
いずれも最初からパーフェクトにできるものではなく、業務を行っていくうちに身につくスキルですが、最初のうちはいろいろなことに気にかけなければならず、「大変」と感じてしまうこともあるかもしれません。

体力が必要

施工管理は、現場で資材を運ぶなどの肉体労働をすることはあまりありませんが、体力が必要な仕事です。体力に自信が無い場合は「やめとけ」と言われることがあるかもしれません。体力が求められる理由としては、2つあります。1つ目は、定められている納期に合わせるために納期直前に残業が発生する可能性があることです。先ほど解説させていただいた通り改善が進んでいますが、納期によっては早朝から夜遅くまで働くケースもあるようです。

2つ目は、業務が多岐にわたることです。こちらも先ほど解説をさせていただきましたが、デスクワークから現場の管理、業者の打ち合わせなど幅広い仕事内容があります。仕事中に移動があることも多く、同じオフィスでデスクワークをしている仕事に比べると、体力が求められます。さらに現場は外のため、夏は暑く、冬は寒い環境です。体調管理が苦手な方は向いていないといえます。

転勤がある

大手ゼネコンへ入社した場合には、地方への転勤があります。家族がいても単身赴任での転勤を求められる場合もあります。転勤をする場合、もちろん社宅など会社からのサポートがあるケースがほとんどですが、慣れない土地に行くことにストレスを感じてしまうことや、これまでと生活圏が大きく変わり出費が増える可能性もあります。特に、単身赴任の場合は生活費が増加することもあります。

転勤をネックに感じる場合は、転勤のない規模の会社で働くまたは技術者派遣で勤務することをお勧めします。技術者派遣の場合は、自分の住んでいるエリアなどの条件を元にプロジェクトを紹介してもらえるため、参加していたプロジェクトが終わったあとも、条件を元に別のプロジェクトを紹介してもらうことができます。

昔ながらの慣習がある

建設業界には、いわゆるブラックな慣習が残っているのも事実です。ブラックな慣習というのは、「肉体労働だからきついのは当たり前」「夜遅くまで仕事をするのは当たり前」等です。古い考え方や価値観が残っているという環境について、「やめとけ」と思う方もいるようです。
働き方改革やIT技術の取り入れにより、このような慣習や考え方も減ってきています。

施工管理の魅力・やりがい

ここまで、施工管理の仕事の「やめとけ」と言われるポイントについて解説しました。しかし、施工管理の仕事にももちろん魅力ややりがいもあります。ここからは施工管理の仕事の魅力ややりがいについて解説します。

未経験から高年収を期待できる

施工管理を含む建築業界は、人手不足と言われています。令和5年2月の調査では、58%の企業が正社員などの労働者が不足していると回答しています。

出典:厚生労働省 労働経済動向調査(https://www.mhlw.go.jp/toukei/list/43-1.html

特に、20代の若手不足は深刻と言われていて、多くの企業で未経験でも若手を多く採用し積極的に育成をしている傾向にあります。そのため、未経験から挑戦をできる環境が整っているといえます。
さらに施工管理は、自分の頑張り次第で給料を大幅に上げることができる職種です。具体的にどうすれば昇給を目指せるのかというと、資格の取得です。給料施工管理の資格が無くても就くことが出来る仕事ですが、取っておくと仕事をする上で有利になる資格がいくつかあり、工事内容によっては、有資格者を現場へ設置することが義務付けられている資格もあり、それらの資格を取得することで、多くのポジションを任せることが出来るようになります。 そのため企業は特定の資格を保有している人に対し、資格手当の支給をすることで資格取得を奨励していることが多く、それらの資格を取るだけで給料が上がるケースがあります。
また、転職の際に資格を持っているだけでより年収水準の高い求人へ応募できる道が開けるでしょう。

仕事がなくならず、安定している

施工管理の仕事は工事がなくならない限り今後も続いていきます。特に東京などの首都圏にお住いの方は、「もうこれ以上建てる建物は無いのでは?」と思う方もいらっしゃるかもしれませんが、建物は新たに建てるものだけでなく老朽化による建て替えや改修工事などもあります。昨今、バブル期に建てられた建物の老朽化が問題視をされていて、今後改修工事の需要は爆発的に増えてくると予想されます。さらに建物に限らずトンネルの補修工事などもありますので、需要が尽きず今後も長く働くことが出来るのはメリットと言えるでしょう。

社会へ直接的に貢献できる

普段私たちが生活している建物や歩いている道路は、全て工事によって作られています。施工管理の仕事は、これらの工事の管理をする仕事ですので、直接的に社会に貢献でき、非常にやりがいがある仕事といえます。
実際に、自分が工事に関わった建物や道路が実際に使用されているところを見るとやりがいを感じるという方も多いようです。社会へ貢献したいと考えている人や規模の大きな仕事をしたいと考えている人にはぴったりの仕事です。

AIに代わられにくい

施工管理は業務の幅の広さや必要とする知識の多さから、AIに代わられにくい職種の一つと言われています。
建設業界自体、IT技術の取り入れは進んでいて、IT技術を駆使することで現場の負担を減らす取り組みなどは行われています。しかし、現場でのマネジメントや発注者との打ち合わせ、役所への書類提出などの他者とのコミュニケーションが求められることの多い施工管理は、IT技術を活用して業務負担を減らすことは出来ても、完全にAIに代わることは難しいと思われます。AIに代わられる仕事が多いと言われている今、これから20年、30年と働き続けられる仕事の一つです。

施工管理に向いている人の特徴

では、施工管理に「向いている」人はどのような人なのでしょうか。

人とコミュニケーションをとることが好き

先ほどから説明している通り、施工管理の仕事はコミュニケーションが大切な仕事です。発注者との打ち合わせと現場でのマネジメントは、同じコミュニケーションとはいえ全く違うスキルを必要とします。
コミュニケーションをとることが好きで、異なるベクトルのコミュニケーションでも苦手意識なくできる人は施工管理に向いているといえます。

マルチタスクが得意

施工管理は業務の幅が広くマルチタスクでの仕事が求められます。マルチタスクでの仕事というのは、一つ業務をずっと集中して行うのではなく、いくつかの業務を要領よく進めていくことです。施工管理の特徴の一つとして業務の幅の広さがありますので、マルチタスクで仕事を進めたい人にはぴったりの仕事でしょう。また、マルチタスクに進めるだけではなく、スケジュールを厳守して仕事をすることも重要です。

臨機応変に対応できる

臨機応変な対応力は施工管理の武器となるスキルの一つです。施工管理の業務では、予期せぬトラブルが起こることや、スケジュール通りに進まないことなどがあります。それらのトラブルが起こったときに、冷静かつ臨機応変に対応できると強みになるでしょう。
この対応力は、施工管理として仕事をしていくうちに身についていくものでもありますが、現在の仕事でトラブルがあったときに、うまく裁いてきた経験があれば活かすことが出来ます。

施工管理のキャリアパス

施工管理の魅力や向いている人の特徴を紹介しました。
では、実際に施工管理になったときのキャリアパスはどのようなものになるのでしょうか。

未経験から施工管理の職に就いた場合

まずは仕事に慣れるとともに資格取得を目指します。最初に、2級施工管理技士という施工管理の技能を証明する資格を取得するケースが多いです。この資格は、建設現場で「主任技術者」となることが出来るので、取得することでより責任の強い仕事に就けます。
次に、1級施工管理技士の取得を目指します。2級施工管理技士は外注総額が4,000万円未満の工事の主任技術者になることができますが、1級施工管理技士は外注総額4,000万円以上の大型工事の監理技術者になることができます。
監理技術者は、法律では一が定められているので、取得をすることで会社側のメリットも大きく、給料が上がる可能性も大きいです。キャリアパスとしては、このように仕事をしながらより上位の資格取得を目指すことが主となるでしょう。

その後のキャリア

幅広い選択肢があります。
1級施工管理技士を取得したのであれば、転職をする際に大きな武器となりますので、資格を元により条件の良い企業へ転職をすることや、独立してフリーランスとして仕事をしていく選択もできます。

さらに、1級施工管理技士を取得することで、他のキャリアへの道も開けます。
取得した資格が1級土木施工管理技士または1級建築施工管理技士の場合には、労働安全衛生コンサルタントの受験資格を満たすことができます。労働安全衛生コンサルタントは、労働者の安全衛生水準を維持するために、事業所の安全診断などを行える資格です。施工管理からキャリアアップとして取得を目指す人も多いです。
また、社会保険労務士もその一つです。1級施工管理技士を取得すると社会保険労務士の受験資格を得ることが出来ます。社会保険労務士はその名の通り社会保険などについての業務を行うことが出来る国家資格です。難易度は非常に高い「士業」の一つとなりますが、目指すことも可能です。

その他、キャリアパスとして海外での仕事を選択する人もいます。
国内の大手ゼネコンは海外でもプロジェクトを進めているところが多く、英語などの外国語が喋れれば海外で働くこともできます。外国語の勉強が必要になりますが、将来海外で働きたいと考えているのであれば、施工管理はその夢を叶えられる仕事の一つです。

まとめ

施工管理の仕事について、「やめとけ」と言われる理由をはじめ、魅力ややりがいを解説しました。働き方改革やIT化が進んでいて、以前「やめとけ」と言われていた要素が大きく変わりつつあります。今後も良い方への変革が多くあると見込まれますので、施工管理が気になっている方は一度チャレンジしてみてはいかがでしょうか。

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