土木系エンジニアの仕事内容と業界の今後

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2023年05月24日


土木系エンジニアは、道路、トンネル、陸橋、鉄道、森林、河川など、土木工事は安全で快適な国づくりや街づくりに欠かせない重要な事業です。

新型コロナウイルスの影響により、受注数の減少や工事の中断などもありましたが、自然災害の復旧工事による需要の回復がみられるほか、道路やトンネルなどのインフラ整備にまつわる需要は堅調が続いています。
生活を支えている土木業界の今後と、土木系エンジニアの仕事内容について紹介します。

目次

土木業界を担う各仕事の内容

土木エンジニア(技術者)は、工事計画を作成し、現場での監督、指導をするなど、工事が円滑に進むように管理する仕事です。
近い職種として建築エンジニアがありますが、こちらは戸建住宅やマンション、ビルの建設に関わるのに対し、土木エンジニアは道路、鉄道、トンネルなどの建設に関わります。生活に欠かせないインフラ事業に関わることが多いのが土木エンジニアの特徴です。
責任の強い業務に関わる機会もあるため、技術者として経験を積み重ねて行く過程で「技術士」や「土木施工管理技士」などの資格を取得するのが一般的のようです。
土木の仕事にはさまざまな分野がありますが、いくつか仕事内容を紹介していきます。

計画

土木エンジニアの仕事は、建設前の計画から始まっています。国や自治体などからの要望を基に、道路などの建設、整備方法を計画します。
道路や鉄道、空港や公園、ダムなど、安全でより快適な生活のために不可欠な施設を整備、調整することが土木計画の目的です。
国土計画や都市計画などの町づくりから、高速道路といった交通網の整備、防災、環境など幅広い視点からの計画が必要になります。

調査

続いては、建設のための調査を行います。
土木における調査は2種類あり、公共測量、地形測量などの測量調査や、ボーリング調査、環境調査などの地質調査があります。

いずれも実際の土地まで赴き、調査を行います。
道路や建築工事をする際には、「測量士」の存在が不可欠なので、測量士の資格を持っていると、就職、転職にも有利と言えます。
また、地質調査に関する現場技術、管理業務などを行う「地質調査技士」という資格もあります。

設計

先ほどの調査で得られた結果を基に、設計を行います。
道路や空港、橋梁、上下水道など、社会基盤に必要な施設の図面や計画書を作成する仕事です。
最近では安全や安心はもちろん、社会のニーズに応え、環境や防災に配慮した設計が求められています。
図面の作成にはCADと呼ばれるソフトを用いることがほとんどです。

CADオペレーターについて

先ほどの通り、土木工事の図面作成には、主にCADという設計のコンピュータソフトが使われています。CADオペレーターは、設計者の指示を基に、CADを用いて設計図面の作成をします。
CADには多くの種類があり、資格も複数あります。CAD利用技術者試験などのCAD資格を取得すれば、CADオペレーターとして仕事をすることが可能です。
CADオペレーターなら派遣の仕事も多いので、就職や転職のチャンスも広がるでしょう。

施工管理

最後は、施工管理です。河川、道路、橋梁、港湾、鉄道などの土木工事において、施工計画を作成し、現場における工程管理、安全管理などを行う仕事です。
工事現場の監督的ポジションとなりますので、施工管理にも資格があります。
「土木施工管理技士」は、国土交通省管轄の国家資格で、1級と2級があります。
検定に合格すると、建設業法で定められた「専任技術者(建設業許可)主任技術者・監理技術者(現場常駐)」としての資格が与えられます。この資格は、事業の規模によっては配置が定められているため、資格があると転職の際に有利と言えるでしょう。
その他にも、建設後の維持管理も土木系エンジニアの仕事の一つです。

土木系エンジニアの資格について

先ほどから資格についても触れておりますが、土木エンジニアにお勧めの資格を紹介します。

技術士

科学技術に関する高度な知識、応用能力、技術者倫理を備えていることを証明する国家資格です。21の技術部門に分けられていて、土木エンジニアの場合は「建設部門」をお勧めします。
試験は一次試験と二次試験に分かれていて、一次試験は誰でも受けることができます。しかし、二次試験を受けるには、一次試験合格後または大学などで指定された教育課程終了し、定められた期間の実務経験が必要です。また二次試験は難易度が高く、合格率は10%に届かないこともあります。
難易度は非常に高いですが、官公庁からの仕事は技術士資格が必須要件になっていることも多く、取得していることで大きなプロジェクトに関わることが出来ます。
また、建設コンサルタントとして独立の道を目指すこともできます。

土木施工管理技士

先ほどご紹介した仕事内容の一つである、「施工管理」を行うための国家資格です。1級と2級に分かれていて、1級は「監理技術者」に、2級は「主任技術者」になることができます。これらは公共工事を行う際に必ず配置しなければならないため、必須の資格と言えます。
受験するには、1級、2級どちらも定められた年数の実務経験が必要です。試験は学科試験である一次試験と、実地試験である二次試験に分かれています。
1級土木施工管理技士は、建設業者が必ず受けなければならない審査である「経営事項審査」の技術力評価において加算対象となります。技術力として評価されるため、資格を持っていると企業の評価にも貢献することが出来ます。

測量士

測量の際に必ず配置しなければならないと定められている国家資格です。
下位資格に測量士補という資格があり、測量士は測量業務の主任者として測量計画を作成できますが、測量士補は測量計画の作成はできず測量士の指示に従って業務を行います。
試験は、測量士・測量士補ともに受験資格はなく誰でも受験可能です。試験内容は、筆記試験のみで、測量士は選択形式と記述式の両方、測量士補は選択形式となっています。

地質調査技士

ボーリングなどの地質調査における知識などを認定している民間資格です。
現場調査部門、現場技術・管理部門、土壌・地下水汚染部門(2021年より当面の間休止)の3部門があり、それぞれ受験資格は異なりますが、いずれも実務経験が必要な資格です。
試験内容は筆記試験で、選択形式と記述式の両方が出題されます。
試験合格後は5年毎の登録更新手続きが必要で、更新には講習会の受講などが求められます。

CAD利用技術者試験

CADオペレーターとしての技能を証明するための試験です。
2次元CAD利用技術者試験と3次元CAD利用技術者試験の2つに分かれていて、それぞれ試験もレベルごとに3段階に分かれています。(2次元CAD利用技術者試験:基礎、2級、1級 3次元CAD利用技術者試験:2級、準1級、1級)
基礎や2級は誰でも受験することが出来ますが、準1級、1級は下位資格を持っていることが受験条件となります。
試験内容は、基礎、2級は筆記試験のみですが、準1級、1級はCADを用いた実技試験があります。

土木業界の人材需要と今後の動向について

建設業界と密接なかかわりを持つ土木業界。
最近は、株価の回復、公共工事、民間設備投資の回復など、建設業界にも追い風が吹き始めていると言われていますので、土木もまた同様の傾向と言えるでしょう。
今後は、高度成長期に造成した道路や建物の老朽化対策を始め、地方のインフラ整備、災害から人々の暮しを守るための工事など、土木業界は今まで以上の役割が求められていくでしょう。
土木業界でも人材不足は深刻な問題になっています。
特に施工管理技士は需要が高く、資格を取得しておけばより就業に有利、またはステップアップが期待できると言えるでしょう。

仕事を探すならトライアロー

土木系エンジニアは、道路やトンネルなどの建設に携わり、人々の生活を支える仕事の一つです。資格を取得すれば大きなプロジェクトに関われる可能性もあり、大きなやりがいがある仕事と言えます。

トライアローは、主に建設・IT・通信業に強い技術系の派遣会社です。土木系エンジニアの案件も全国で取り扱っていますので、土木系エンジニアのお仕事に興味を持たれた方は、ぜひお気軽にご相談ください。

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