常用型派遣とは?登録型派遣との違いやメリット・デメリットを徹底解説

公開日:2025/09/26 最終更新日:2025/09/26

常用型派遣とは?登録型派遣との違いやメリット・デメリットを徹底解説
「派遣として働きたいけど、安定した雇用や収入も欲しい…」 「登録型派遣と常用型派遣の違いがよくわからない…」 「自分に合った派遣の働き方はどちらだろう?」
このような疑問をお持ちの方は多いのではないでしょうか。ひとくちに派遣といっても、「登録型派遣」「常用型派遣」などの種類があります。
この記事では、常用型派遣(無期雇用派遣)の仕組みや特徴、登録型派遣との違い、そしてメリット・デメリットについて詳しく解説します。自分に合った働き方を選択するための判断材料として、ぜひ参考にしてください。

常用型派遣(無期雇用派遣)とは

常用型派遣とは、派遣会社と期限を設けずに雇用契約を結び、派遣会社の社員として様々な企業に派遣されて働く形態です。「無期雇用派遣」とも呼ばれ、派遣先が決まっていない期間も雇用関係が継続するのが特徴です。
一般的に派遣というと「登録型派遣」をイメージする方が多いかもしれませんが、常用型派遣は派遣でありながら安定した雇用を得られるという面で大きく異なります。
派遣会社に社員(正社員または契約社員)として雇用されるため、派遣先企業での契約が終了しても雇用は継続し、次の派遣先が決まるまでの間も給与が支払われます。これにより登録型派遣よりも安定した収入と雇用が確保されるのです。

常用型派遣と登録型派遣の違い

常用型派遣と登録型派遣の主な違いは以下の4点です。
  • 雇用契約の期間
  • 派遣先がない期間の給与の有無
  • 同一企業での就業期間制限(3年ルール)の適用
  • 給与形態
上記の違いについて、詳しく解説します。
比較項目 常用型派遣 登録型派遣
雇用契約 無期限(期間の定めなし) 有期限(派遣先での就業期間のみ)
待機期間中の給与 支給される(金額は派遣会社による) 支給されない
3年ルール 適用されない(同一企業で3年以上働ける) 適用される(原則同一部署では最長3年まで)
給与形態 月給制が多い 時給制が一般的

雇用契約期間の違い

常用型派遣と登録型派遣の最も大きな違いは雇用契約の期間です。常用型派遣は、派遣会社と期間の定めのない無期雇用契約を結びます。つまり、正社員や契約社員として派遣会社に雇用される形態です。
一方、登録型派遣は派遣先が決まってから初めて派遣会社と有期雇用契約を結びます。この契約は派遣先での就業期間に限定されるため、派遣先での仕事が終われば雇用契約も終了します。

派遣先がない期間の待遇の違い

常用型派遣と登録型派遣では、派遣先での就業がない期間(待機期間)の待遇に大きな違いがあります。
常用型派遣の場合、派遣会社の社員として雇用されているため、派遣先がない期間も給与が支払われます。ただし、派遣会社によっては待機期間中は基本給の60~70%に減額される場合もあります。
対して登録型派遣は、派遣先での就業期間のみ雇用契約が結ばれるため、派遣先がない期間は無給となります。次の派遣先が決まるまでの間は収入がないため、収入面での不安定さがあります。

3年ルールの適用有無

労働者派遣法では、同一の派遣先企業での就業期間を原則として最長3年までとする「3年ルール」が定められています。しかし、常用型派遣はこの3年ルールの適用対象外となるのが大きな特徴です。
これは、常用型派遣が派遣会社と無期雇用契約を結んでいるためです。つまり、同じ企業・同じ部署で3年を超えて長期的に働くことができます。専門性を活かしたい人や、長期的に同じ環境で働きたい人にとって大きなメリットといえるでしょう。
一方、登録型派遣は3年ルールが適用されるため、同一の組織単位(部署など)では最長3年までしか働けません。

給与形態の違い

派遣会社との契約によって変わりますが、求人の給与形態にも違いがみられます。
登録型派遣は時給制の求人が多いのに対し、常用型派遣は月給制での求人が多く見られます。
これは常用型派遣は正社員契約を結んで勤務するケースが多いためですが、時給制の登録型派遣は自分の希望に合った勤務時間、日数で働けるケースが多いことがメリットです。
ライフスタイルや都合に合わせて仕事を選べるため、育児や介護などと両立したい方に向いています。

常用型派遣のメリット

常用型派遣のメリットは以下の5つです。
  • 雇用と収入の安定性
  • 福利厚生の充実度
  • 研修・教育制度の充実
  • 同一企業での長期就業が可能
  • 未経験分野へのチャレンジ機会
上記のメリットについて、詳しく解説します。

雇用と収入の安定性

常用型派遣の最大のメリットは、雇用と収入の安定性です。派遣会社と無期雇用契約を結ぶため、派遣先がない期間も雇用が継続し、給与が支払われます。
一般的に月給制が採用されることが多く、時給制の登録型派遣と比べて収入が安定します。祝日が多い月や、短い労働日数でも月々の収入が一定であるため、生活設計が立てやすくなります。 また、登録型派遣では派遣先が見つからない期間は無収入になりますが、常用型派遣ではそのような心配がありません。このような安定性は、住宅ローンを組む際や家族を持つ際など、長期的な人生設計をする上で大きな安心材料となります。

福利厚生の充実度

常用型派遣は派遣会社の社員として雇用されるため、正社員と同様の福利厚生を受けられることが多いです。
さらに、派遣会社によってはボーナスや昇給の機会もあります。このような福利厚生の充実は、長期的に安定したキャリアを築きたい方にとって大きなメリットといえるでしょう。

研修・教育制度の充実

常用型派遣では、派遣会社による研修や教育制度が充実していることが多いです。派遣会社は自社の社員としてスキルアップを図るため、様々な研修プログラムを用意しています。
また、資格取得支援制度を設けている派遣会社も多く、資格取得にかかる費用の一部または全額を会社が負担してくれることもあります。このような研修・教育制度を活用することで、未経験の分野でもスキルを身につけ、キャリアアップを図ることができます。

同一企業での長期就業が可能

常用型派遣は3年ルールの適用対象外となるため、同一の企業・部署で3年を超えて働き続けることができます。これにより、以下のようなメリットがあります。
  • 業務に習熟し、専門性を高められる
  • 職場の人間関係が安定する
  • 通勤経路や就業環境に慣れることができる
  • 企業文化や業務フローに深く精通できる
長期間同じ職場で働くことで、業務への理解が深まり、より高度な業務を任せてもらえる機会も増えます。また、派遣先企業の社員と深い信頼関係を築くことができるため、働きやすい環境を作りやすいというメリットもあります。

未経験分野へのチャレンジ機会

常用型派遣は、未経験分野へのキャリアチェンジを検討している方にもメリットがあります。派遣会社が提供する研修制度を活用することで、未経験の分野でも基礎からスキルを習得できるからです。
登録型派遣では即戦力が求められることが多いのに対し、常用型派遣は派遣会社が育成を前提としているため、未経験分野へのチャレンジがしやすい環境といえるでしょう。

常用型派遣のデメリット

常用型派遣にはメリットがある一方で、以下のようなデメリットもあります。
  • 選考のハードル
  • 派遣先選択の制限
  • 正社員との待遇差
  • 待機期間の給与減額の可能性

選考のハードル

常用型派遣として働くためには、派遣会社の正社員向けの選考に合格する必要があります。これは登録型派遣と大きく異なる点です。登録型派遣では比較的簡単な選考で働き始められることが多いですが、常用型派遣では派遣会社の社員として採用されるため、選考プロセスがあります。
一般的な採用プロセスとしては、書類選考、適性検査、面接(1~2回)などがあります。職種によっては実技試験やスキルチェックもあるでしょう。

派遣先選択の制限

常用型派遣では、派遣先を自分で選べる自由度が登録型派遣に比べて低い傾向があります。派遣会社が判断した適切な派遣先に派遣されることが多く、必ずしも希望通りの企業や職種に派遣されるとは限りません。
働く場所や職種にこだわりがある方には、このような制限がデメリットに感じられるかもしれません。ただし、派遣会社によっては希望を考慮して派遣先を決めるところもあるので、応募前に確認しておくとよいでしょう。

正社員との待遇差

常用型派遣は派遣会社の社員ではありますが、派遣先企業の正社員と比較すると待遇面で差がある場合があります。同じ業務を行っていても、給与や福利厚生、キャリアアップの機会などに違いがあることがほとんどです。
また、キャリアアップの観点では、派遣先企業の組織内での昇進・昇格の機会が限られるため、責任のあるポジションや管理職になりにくいという制約もあります。長期的なキャリア形成を考える際は、この点も考慮する必要があるでしょう。

待機期間の給与減額の可能性

常用型派遣は派遣先がない期間も給与が支払われますが、派遣会社によっては待機期間中は基本給の60~70%程度に減額される場合があります。この減額率は派遣会社の規定によって異なりますので、入社前に確認しておくことが重要です。

常用型派遣は誰に向いている?

常用型派遣は以下のような方に特に向いている働き方です。
  • 安定した雇用・収入を重視する人
  • 専門性を活かしたい人
  • 未経験分野へのキャリアチェンジを希望する人
  • 福利厚生や賞与を重視する人
それぞれのタイプについて、詳しく解説します。

安定した雇用・収入を重視する人

常用型派遣は、雇用と収入の安定性を重視する方に特に向いています。以下のような方に適した働き方です。
  • 長期的な人生設計(住宅購入、結婚など)を考えている方
  • ライフステージの変化(出産、育児など)に備えたい方
  • 収入の変動が少ない環境で安心して働きたい方
  • 不況時でも雇用が継続される安定性を求める方
派遣という柔軟な働き方を選びつつも、正社員に近い安定性を得たい方にとって、常用型派遣は理想的な選択肢と言えるでしょう。

専門性を活かしたい人

常用型派遣は、自分の専門スキルを活かして長期的に働きたい方にも向いています。3年ルールの適用がないため、同じ企業・部署で長く働くことができ、以下のようなメリットがあります。
  • 特定の業界や職種で専門性を深められる
  • 一つの企業で継続的に実績を積める
  • 長期的な視点でプロジェクトに携われる
  • 社内の信頼関係を築きやすい

未経験分野へのキャリアチェンジを希望する人

これまでと異なる分野にチャレンジしたい方にも、常用型派遣はおすすめです。派遣会社による研修制度や教育サポートが充実しているため、未経験からでもスキルを身につけられる環境があります。 特に以下のような方に適しています。
  • 今までの経験とは異なる分野で働きたい方
  • ITや技術職など専門分野へのキャリアチェンジを考えている方
  • 基礎から学べる環境で安心してスキルアップしたい方
  • 研修期間中も給与が欲しい方

福利厚生や賞与を重視する人

常用型派遣は福利厚生が充実していることが多く、賞与が支給される派遣会社も少なくありません。以下のような福利厚生や待遇を重視する方に向いています。
  • 社会保険や年金の充実した制度を求める
  • 有給休暇や育児・介護休暇をしっかり取得したい方
  • ボーナスや退職金制度がある環境で働きたい方
  • 資格取得支援など自己啓発のサポートを受けたい方
登録型派遣では基本的な法定福利以外のサポートが限られる場合が多いですが、常用型派遣では派遣会社の社員として様々な制度の対象となります。

常用型派遣の代表的な職種・業界

常用型派遣が活用されている代表的な職種・業界には以下のようなものがあります。
  • エンジニア職の常用型派遣
  • 事務職の常用型派遣
  • 介護・医療職の常用型派遣
  • その他の専門職の常用型派遣
それぞれの特徴について解説します。

エンジニア職の常用型派遣

エンジニア職は常用型派遣の中でも特に需要が高い職種です。IT系エンジニア(プログラマー、システムエンジニア、ネットワークエンジニアなど)や製造業のエンジニア(機械設計、電気設計、CADオペレーターなど)が代表的です。
エンジニア職の常用型派遣の特徴としては、以下の点が挙げられます。
  • 専門性が高く、スキルアップのための研修制度が充実している
  • 未経験からエンジニアを目指せるプログラムがある場合が多い
  • 給与水準が比較的高い(経験やスキルに応じて変動)
  • プロジェクト単位での長期派遣が多い
エンジニア職の常用型派遣は、技術力を高めながら安定した雇用を得たい方に適しています。

事務職の常用型派遣

一般事務、営業事務、経理事務、貿易事務など、様々な事務職種でも常用型派遣が活用されています。事務職の常用型派遣の特徴は以下の通りです。
  • 基本的なビジネススキルを活かせる
  • 職場環境が比較的安定している
  • 長期就業が可能なため、業務に習熟しやすい
  • OAスキルやビジネスマナーの研修が充実している場合が多い
事務職の常用型派遣は、安定した環境で働きながらビジネススキルを高めたい方に向いています。特に大手企業での就業機会が多く、企業文化やビジネスプロセスを学ぶ貴重な経験ができるでしょう。

▼参考記事

介護・医療職の常用型派遣

介護職や医療事務など、医療・福祉分野でも常用型派遣の需要が高まっています。この分野の常用型派遣の特徴は以下の通りです。
  • 資格取得支援制度が充実している(介護福祉士、ケアマネージャーなど)
  • 安定した需要があり、就業先が見つかりやすい
  • シフト制で働ける場合が多い
  • 専門知識・技術を活かせる
少子高齢化社会において、介護・医療分野の人材需要は今後も増加していくと予想されます。常用型派遣として働くことで、安定した雇用を得ながら専門性を高められるため、長期的なキャリア形成が可能です。

その他の専門職の常用型派遣

上記以外にも、様々な専門職で常用型派遣が活用されています。例えば以下のような職種が挙げられます。
  • 技術翻訳者・通訳者
  • 研究開発職(化学、生物学、材料科学など)
  • 建築・土木関連の技術者
  • 金融専門職(ファイナンシャルプランナー、証券アナリストなど)
これらの専門職は、高度な知識や資格が求められる一方で、プロジェクトベースの仕事が多いため、常用型派遣という形態が適しています。

常用型派遣に関するよくある質問

常用型派遣に関してよく寄せられる質問とその回答をまとめました。

「やめとけ」と言われる理由は?

常用型派遣を「やめとけ」と言われる主な理由は以下の点です。
  • 正社員と比較して待遇面で差がある場合がある
  • 派遣先を自分で選べない制限がある
  • キャリアアップの機会が限られる場合がある
  • 待機期間中の給与減額リスクがある
これらの理由は確かに考慮すべき点ですが、一概に「やめとけ」と判断するのではなく、自分の働き方の優先順位や価値観に合わせて判断することが重要です。

常用型派遣でもボーナスはある?

常用型派遣でもボーナスが支給される場合があります。ただし、これは派遣会社によって大きく異なりますのでよく確認しましょう。ボーナスが出る場合も、支給額は業績や評価によって変動します。

正社員登用の可能性はある?

常用型派遣から正社員登用される可能性はありますが、仕組み的には以下の2つのパターンに分かれます。
  1. 派遣会社の正社員になる場合 常用型派遣として優秀な成績を収めた場合、派遣会社の内勤社員(営業やコーディネーターなど)や管理職として登用されるケースがあります。特に大手派遣会社では明確なキャリアパスを設けているところもあります。
  2. 派遣先企業の正社員になる場合 一般的に常用型派遣の場合、派遣先企業への直接雇用(正社員登用)は制度上想定されていません。ただし、例外的に派遣先企業が高く評価した場合、派遣会社との交渉の上で正社員として採用されることもあります。
紹介予定派遣と異なり、最初から正社員登用を前提としていないため、派遣先企業の正社員になる確率は高くありません。正社員登用を最終目標としている場合は、紹介予定派遣や人材紹介を利用する方が確実でしょう。

派遣先が見つからない場合はどうなる?

常用型派遣では、派遣先が見つからない場合でも雇用契約は継続され、給与が支払われます。この期間を「待機期間」と呼びます。待機期間中の主な状況は以下の通りです。
  • 給与:基本給の60~70%程度に減額される場合が多い(派遣会社による)
  • 業務内容:派遣会社内での業務や研修を行うことが多い
  • 期間:派遣会社は早急に次の派遣先を見つけようとするが、長期化する場合もある
一般的に派遣会社は優秀な人材を抱えておきたいため、できるだけ早く次の派遣先を見つけようと努力します。しかし、スキルや経験が特殊な場合や、希望条件が限定的な場合は、派遣先が見つかるまでに時間がかかることもあります。
待機期間中も自身のスキルアップを図り、より多くの派遣先にマッチするようにしておくことが重要です。

まとめ

常用型派遣は、派遣という柔軟な働き方を選びながらも、安定した雇用と収入を得られる雇用形態です。
常用型派遣として働くことに興味を持った方は、大手派遣会社のホームページなどで詳細な情報を確認したり、説明会に参加したりして、より具体的な情報を収集することをおすすめします。自分に合った派遣会社を見つけ、理想のキャリアを実現しましょう。

お仕事をお探しの方へ

常用型派遣のお仕事を探すなら、お気軽にトライアローへご相談ください。
トライアローは、しごとF!NDERというお仕事検索サイトを運営するIT・通信・建設業に強い派遣会社です。これから常用型派遣のお仕事への転職活動をしたい、これまでの経験を活かしてもっと条件の良い案件に移りたい等のご希望を基に、条件にあうプロジェクトをご紹介しています。
また、キャリアについて悩んでいる方への、営業担当によるキャリア相談も行っております。新たなキャリアを歩みたい方、挑戦したい方は是非お気軽にご相談ください。

トライアローは、主にIT・通信・建設業に強い技術系の派遣会社です。様々な案件もございますので、ぜひお気軽にご相談ください。

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