アウトソーシングとは?意味や知っておきたいメリットも解説!

公開日:2025/07/18 最終更新日:2025/07/18

アウトソーシングとは?意味や知っておきたいメリットも解説!
アウトソーシングとは、企業が自社の業務の一部を外部企業に委託することを指す言葉です。日本語では「外部委託」と訳され、企業価値を維持・向上させるための戦略的な手法として活用されています。単に業務を外注するだけでなく、企業が本来の強みを発揮するために、専門性の高い外部リソースを効果的に活用する経営手法です。

アウトソーシングが注目される理由

アウトソーシングが企業で注目される理由は、人材不足や市場競争の激化により効率的かつ柔軟な経営資源が必要になっているからです。現代のビジネス環境において、すべての業務を自社で完結させることは非効率であり、外部の専門知識やリソースを活用することで高い成果を得ることができるのです。

慢性的な人材不足に対処するために活用されている

日本社会は少子高齢化が進んでおり、労働人口の減少が続いています。このような状況の中、多くの業界で人材確保が困難になっており、企業は限られた人的リソースをいかに効果的に活用するかという課題に直面しています。アウトソーシングを導入すると、必要な専門スキルを持つ人材を確保できたり、忙しい時期の負担を軽減できたりするため、多くの企業が採用するようになっています。

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市場競争の激化に対応するために導入が増加している

グローバル化やデジタル化の進展により、企業間の競争は年々激化しています。国内市場だけでなく海外企業との競争も増加し、商品・サービスのライフサイクルは短縮化しています。
アウトソーシングを導入すると、企業は本業に集中しながら、専門業者の力を借りて新しい事業や製品を素早く開発できます。また、費用の負担を柔軟に調整できるため、経営リスクを抑えたり、海外市場で必要な多言語対応や24時間サービスを外部の専門家に任せたりすることが可能になります。

アウトソーシングを活用するメリット

アウトソーシングを活用することで、企業はさまざまなメリットを得ることができます。単なるコスト削減だけでなく、経営戦略的な観点からも多くの利点があります。ここでは、アウトソーシングの主要なメリットについて詳しく解説します。

コア業務への集中が可能になる

アウトソーシングの最も重要なメリットの一つが、企業がコア業務に経営資源を集中できる点です。コア業務とは、企業の競争優位性を生み出す中核的な業務のことで、企業の存在意義や価値創造に直結する活動です。
また、研究開発やサービス向上に時間を割けることで従業員も専門性を活かした仕事に集中できるため、モチベーションが向上します。つまり、アウトソーシングは企業の効率を高めるだけでなく、成長や働きやすい環境づくりにも貢献するのです。

専門的なノウハウや知見を取り入れられる

アウトソーシングを活用する大きなメリットの一つに、自社では持ち得ない専門的なノウハウや最新の知見を外部から取り入れられる点があります。また、多くの企業で成功している手法を自社にも適用できるほか、採用が難しい専門スキルを持つ人材にアクセスできるため、より効率的な運営が可能になります。アウトソーシングは企業にとって知識や技術の強化に役立ち、競争力の向上につながると言えます。

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人件費・固定費の削減によるコスト改善を図れる

アウトソーシングの導入によって実現できる重要なメリットの一つが、コスト面での改善です。特に人件費や固定費の削減が可能になり、企業の財務体質強化につながります。

アウトソーシングでコスト削減できるもの:
  • 固定費の変動費化:正社員雇用に伴う固定的な人件費を、必要な分だけ支払う変動費に転換できる
  • 間接コストの削減:オフィススペース、設備投資、福利厚生費などの間接コストを削減できる
  • 採用・教育コストの削減:専門人材の採用や教育にかかるコストを削減できる
  • 規模の経済による効率化:アウトソーシング企業は複数の顧客に同様のサービスを提供することで、効率化とコスト削減を実現している

アウトソーシング導入のデメリットやリスク

アウトソーシングには多くのメリットがある一方で、デメリットやリスクもあります。ここでは、アウトソーシング導入のデメリットについて詳しく解説します。

社内にノウハウが蓄積されにくいリスクがある

アウトソーシングの最も重要なデメリットの一つが、業務に関する知識やノウハウが社内に蓄積されにくくなる点です。業務を外部に委託することで、その業務プロセスや問題解決方法、顧客対応の経験などが委託先に蓄積され、自社内での知識や経験の蓄積が進まなくなります。

ただし、以下の方法をとれば影響を抑えることもできます。
  1. 委託先との定期的なミーティングや報告会を設け、業務内容や課題を共有する
  2. 委託業務に関する知識を持つ社内担当者を育成し、委託先とのブリッジ役とする
  3. 委託先から得た情報や知見を社内で記録・共有する仕組みを構築する
  4. すべてを一度に委託するのではなく、段階的に委託範囲を広げていく

情報漏洩やセキュリティ面でのリスクが伴う

アウトソーシングを導入する場合、情報漏洩やセキュリティ面へのリスクを考える必要があります。業務に関連する情報や企業の機密情報、場合によっては顧客の個人情報などを委託先と共有することになるため、情報セキュリティ上のリスクをもたらす可能性があります。

情報漏洩やセキュリティへの対策は、以下の通りです。
  1. 情報セキュリティマネジメントシステム(ISMS)認証を取得しているなど、セキュリティ対策が確立された委託先を選ぶ
  2. 厳格な守秘義務を含む契約を委託先と締結する
  3. 委託先が閲覧・編集できる情報を必要最小限に限定する
  4. 委託先のセキュリティ対策状況を定期的に監査する
  5. 委託先の従業員に対してもセキュリティ教育を徹底する

業務管理やガバナンスの弱体化が懸念される

アウトソーシングを導入すると、業務の管理体制やガバナンスが弱体化する恐れがあります。業務を外部に委託することで、業務プロセスの可視性が低下し、品質管理や進捗管理が難しくなるためです。また、企業文化や価値観の共有をしにくくなる可能性もあります。

業務管理やガバナンスを弱体化させないためには、以下のような対策をとると良いでしょう。
  1. 期待する品質水準や納期、対応時間などを明確に契約で規定する
  2. 定量的な指標を設定し、定期的に評価・モニタリングを行う
  3. 委託先との定期的な会議を設け、課題や改善点を共有する
  4. アウトソーシング業務を管理する専任の担当者や部署を設ける
  5. いきなり全面委託するのではなく、一部から始めて徐々に範囲を広げていく

アウトソーシングを導入する手順

アウトソーシングを効果的に導入するためには、明確な手順に沿って計画的に進めることが重要です。場当たり的な導入は期待する効果を得られないだけでなく、むしろ混乱を招く可能性があります。ここでは、アウトソーシング導入の手順について詳しく解説します。

手順1.現状の課題を把握・分析する

アウトソーシング導入の第一歩は、自社の現状を正確に把握し、課題を分析することです。この段階での丁寧な準備作業が、その後のアウトソーシングの成否を大きく左右します。

現状把握と課題分析の具体的なステップ:
  1. 業務の棚卸し
    • 社内のすべての業務を洗い出し、業務フローや工数を可視化する
    • どの部門でどのような業務が行われているのかを明確にする
    • 業務間の関連性や依存関係を整理する
  2. 課題の明確化
    • 業務の非効率や問題点を洗い出す(例:人材不足、スキル不足、コスト高など)
    • 部門間や管理職へのヒアリングを通じて、現場の課題を把握する
    • 数値データ(処理時間、エラー率、コストなど)を収集し、定量的に課題を把握する
  3. アウトソーシングの目的設定
    • 何を解決するためにアウトソーシングを導入するのかを明確にする
    • 具体的な目標(例:コスト30%削減、処理時間の50%短縮など)を設定する
    • アウトソーシングに適した業務とそうでない業務を区別する

手順2.委託する業務を明確に定義する

現状分析が完了したら、次のステップとして、具体的にどの業務をアウトソーシングするのかを明確に定義する必要があります。この段階での詳細な検討が、アウトソーシングの成功確率を高め、後々のトラブルを防ぐことにつながります。

委託業務を決める際のステップ:
  1. 業務範囲の明確化
    • アウトソーシングする業務の始点と終点を明確にする
    • 業務の詳細な手順や必要なスキルを文書化する
    • 関連業務との接点や依存関係を整理する
  2. 期待する成果物の定義
    • 業務の成果物や納品物を具体的に定義する
    • 品質基準や評価指標(KPI)を設定する
    • 納期や頻度などの時間的な要件を明確にする
  3. 責任範囲と権限の設定
    • 委託先と自社の責任分担を明確にする
    • 委託先に与える判断権限の範囲を決める
    • 問題発生時の対応フローを整理する

手順3.委託先企業を選定する

いくら準備が万全でも、相性の悪い委託先を選んでしまうと期待する効果を得られません。ここでは、委託先選定の具体的な手順と評価ポイントについて解説します。

委託先選定の基本的な流れ:
  1. 市場調査と候補企業のリストアップ
    • 業界誌やWebサイト、展示会などで情報収集を行う
    • 同業他社や取引先からの紹介を検討する
    • 複数(理想的には3社以上)の候補企業をリストアップする
  2. 評価基準の設定
    • 業界経験や実績、専門性などの「能力面」の基準
    • 財務状況や企業規模、安定性などの「信頼性」の基準
    • 料金体系やコストパフォーマンスなどの「経済性」の基準
    • セキュリティ対策や品質管理体制などの「管理体制」の基準
    • 企業文化や価値観の共有、コミュニケーション能力などの「相性」の基準
  3. RFP(提案依頼書)の作成と配布
    • 委託業務の詳細、期待するサービスレベル、納期などを明記
    • 提案書に含めて欲しい項目や質問事項を明確に伝える
    • 提案スケジュールや選定プロセスを説明する
  4. 提案の評価とショートリスト作成
    • 各社の提案内容を事前に設定した評価基準で客観的に評価
    • 特に優れた2~3社をショートリストに絞り込む
    • 必要に応じて追加質問や情報提供を求める
  5. 詳細な審査とデューデリジェンス
    • 対面プレゼンテーションや質疑応答を通じた詳細評価
    • 実際のサービス提供現場の視察
    • 既存顧客へのレファレンスチェック
    • セキュリティ監査や財務分析などの詳細調査
  6. 最終選定と契約交渉
    • 総合評価に基づく最終候補の選定
    • 料金、SLA(サービスレベル合意)、リスク対策などの詳細な契約条件の交渉
    • 移行計画の策定と合意
  7. 最終的な委託先選定では、単純な価格比較ではなく、総合的な価値を評価することが重要です。短期的なコスト削減だけを重視すると、品質低下や追加費用の発生などの問題が生じる可能性があります。 また、委託先との相性も重要な要素です。長期的なパートナーシップを構築するためには、企業文化や価値観の共有、コミュニケーションの円滑さなど、数値化しにくい要素も含めて評価することが成功への近道となります。

アウトソーシングを導入する際は計画的な導入を

アウトソーシングは、単なる業務の外部委託ではなく、企業の競争力強化や経営資源の最適配分を実現するための重要な経営戦略です。アウトソーシングを検討する際は、企業価値の向上という視点から導入の意義を見極め、計画的に進めることをお勧めします。適切に実施されたアウトソーシングは、企業の持続的な成長と競争力強化に大きく貢献します。

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トライアローは、しごとF!NDERというお仕事検索サイトを運営するIT・通信・建設業に強い派遣会社です。1979年よりエンジニア業界で幅広い事業を展開してきた当社は、現場の実態や課題を察知し、「人材」という側面から課題解決に貢献してまいりました。

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