派遣会社を退職する前に要チェック!派遣社員の失業保険や社会保険の手続きとは?

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2023年07月07日

派遣社員であっても条件が満たされている場合、社会保険への加入が必要になります。しかし、ブランクなく働いていると、給与から天引きされている社会保険がどういったものか知らないことが多いではないでしょうか。今回は、派遣社員が加入できる社会保険の種類とその仕組み、社会保険に加入するための条件や、派遣会社を退職するときの手続きや注意点について紹介していきます。

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目次

派遣社員の給与から天引きされる社会保険の種類

会社からもらえる給与は、所得税や住民税に加えて社会保険料が天引きされ、残った金額が手取りとして振り込まれます。社会保険料にはさまざまな種類があります。

「健康保険」は、病気やケガなどによって病院へ受診したり、調剤薬局でお薬をもらったりするときの負担を軽くするための医療保険制度です。

「厚生年金保険」は、65歳以上になると一生涯に亘り老齢年金が支払われるほか、障害・死亡の際にも年金が支給される年金保険制度です。

「雇用保険」は、失業してしまったときに、失業給付を受け取ることができる制度です。勤めていたところが経営が苦しくなり失業したとしても、加入していれば基本手当を受け取ることができます。また、自己都合による退職であっても、一定の待期期間を経れば失業給付をもらうことができます。

「労災保険」は、会社で働いているときに病気やケガなどになってしまったときのために備える制度です。社会保険と違うところは、勤務中又は通勤途中に発生したケガや病気に限定されているところにあります。

「介護保険」は、介護が必要となる高齢者が介護サービスを受けられるようにするための制度です。こちらは、40歳になれば加入を義務付けられます。40歳未満の人は支払う必要はありません。

派遣社員が社会保険に加入するための条件とは?

労働時間や賃金などの条件によって、派遣社員はさまざまな社会保険に加入できるようになります。健康保険、介護保険、厚生年金保険に加入できる条件は、原則所定労働時間(決まって働く事が決められている労働時間)が正社員の所定労働時間の4分の3以上とされています。日本の法律では1週間の労働時間の上限(残業を除きます)は40時間とされていますので、1日8時間労働の場合には週所定労働時間30時間以上には加入条件に該当する事になります。
ただし、会社の規模(社会保険の加入者が101人以上)によっては、週所定労働時間が1週間あたりに20時間以上であり、決まった賃金が1カ月で8万8000円が加入条件となります。こちらは派遣元会社に確認が必要です。

他にも、2か月以上の雇用期間の見込みが必要です。当初の契約が2か月未満であっても、更新する事により通算2か月以上となるときは、当初の契約開始時から社会保険に加入する事になります。 

雇用保険に加入できる条件は、1週間で所定労働時間が20時間以上であることと、雇用見込みが31日以上であることが必要です。派遣社員の場合、派遣された職場が31日未満で変わってしまっても、派遣会社が変わることがなければ雇用見込みが31日以上であることに該当します。

労災保険に関しては、例外はあるものの従業員を雇用している事業主には原則加入義務があります。保険料は全額事業主が負担しています。

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社会保険の仕組み

健康保険

健康保険に加入すると、もれなく健康保険証がもらえます。この健康保険証を病院や調剤薬局の窓口で提示することで、治療費や処方された薬代が70歳未満の方であれば一律3割負担で済みます(2022年現在)。

先にも述べた通り、健康保険料は給料から天引きされているのですが、実はご自身のお給料から天引きされている金額は、本来支払わなければならない金額の半額となっています。というのも、健康保険料の支払額は、勤務先の会社と給与をもらう従業員とで折半するルールになっているからです。


退職後にこれまでの健康保険を継続する「任意継続」制度に加入した場合には、会社負担保険料も個人で支払う事になるため、高額な保険料の請求が来て、初めてこの制度を知る人がとても多くいらっしゃいます。

社会保険の健康保険と国民健康保険の違い

社会保険(健康保険)と国民健康保険は、加入対象や保険料の計算方法が異なります。


全国健康保険協会(協会けんぽ)医療保険制度の体系について

厚生年金保険

健康保険と同じように、年金も給与から天引きされており、会社と従業員の折半によって支払われています。

もともと年金は、2階建て構造になっています。まず、1階部分にあたるのは国民年金(基礎年金)と呼ばれるものです。国民年金は20~60歳未満すべての国民が加入しなければならない公的年金です(20歳を超えていても学生の場合は、納付特例という制度を利用すれば働き始めるまで支払いを猶予してもらえます)。


そして、2階部分にあたるのが、主に企業に勤めている会社員や派遣社員、公務員等が加入できる厚生年金です。1階部分の国民年金に加えて、2階部分の厚生年金があることで、65歳以降にもらえる受給額が国民年金だけの場合よりも当然高額になります。

派遣会社を変える際の手続き

ブランクがない場合

派遣会社を変えるときには、ブランクの有無で手続きが異なります。次の派遣会社が決まっていれば、ブランクが生じることなく次の派遣会社へ移ることが可能です。

次の派遣会社でも前の派遣会社と同様の就業時間であれば、社会保険の手続きに関しては、前の派遣会社と次の派遣会社同士で行います。前の派遣会社に提出する書類と、受け取る書類、そして、次の派遣会社への提出書類があるので、手続きをスムーズに進めるために確認しておきましょう。


現在契約している派遣会社には辞める旨を記載した退職届を提出し、健康保険証を返却する必要があります。手元に健康保険証がない状態になりますが、ほぼ同じ条件で次の派遣会社で勤めることになるのであれば、そちらで健康保険証を受け取ることができます。

退職する派遣会社から受け取る必要がある書類は、離職票もしくは退職証明書です。前の派遣会社を辞めた証明となる重要な書類となります。

この他に、次の派遣会社には履歴書や厚生年金保険へ加入するための基礎年金番号、雇用保険番号などを提出しなければなりません。
基礎年金番号は年金手帳に記載されているため、年金手帳の提出を求められるケースが多いですが、紛失等で番号がわからなくなってしまった方は、下記の日本年金機構のWEBサイトをご参考にしてください。

日本年金機構のWEBサイトはこちら

雇用保険の番号は、「雇用保険被保険者証」という書類、もしくは先にも出てきた「離職票」に記載してあります。雇用保険被保険者証は入社時に渡す会社もあれば退職時に渡す会社もあるなど、会社によって取り扱いが異なるため、前の会社を退職する際にもらう離職票を提出するのが確実です。

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ブランクがある場合

次の派遣先が決まっていない状態で、現在の派遣会社を辞める場合、次の派遣会社が決まるまでブランクが生じてしまいます。この場合、下記の手続きが発生します。

健康保険の手続き

(1)国民健康保険に加入する

お住まいの市区町村役場が窓口となります(市区町村によって担当窓口名が異なりますので、担当窓口はお住まいの自治体にご確認ください)ので、個人で手続きを行います。

この際に必要な書類は、「資格喪失証明書」「個人番号確認書類(個人番号カードまたは通知カード)」「本人確認書類」の3点となります(他、印鑑も必要となります)。資格喪失証明書とは以前の会社の保険を受ける資格が喪失していることを証明する書類で、以前の勤め先から渡されます。

この時注意したいのは、国民健康保険には「退職した翌日から14日目までに加入手続きをしなければならない」というルールがある点です。もしこの期間を過ぎてしまうと保障を受けられず、病院にかかると全額負担しなければならない場合があります。

万が一のときに病院にかかるのをためらうことにならないよう、国民健康保険への加入は速やかに行うようにしましょう。

(2)任意継続の健康保険に加入する

以前の派遣会社の健康保険を個人で継続できる制度です。先に述べたとおり、会社負担分保険料も個人で負担する事となりますので、注意が必要です。手続きは以前の派遣会社の健康保険資格喪失後20日以内に、個人で手続きを行う必要があります。
再就職が決まった場合は、再就職先での健康保険証が発行されてから、任意継続の資格喪失手続きを行えます。

(3)被扶養者として扶養者の健康保険に加入する

親や配偶者等、あなたを扶養する方がいる場合には、扶養する方の被扶養者として、健康保険に加入する事ができます。この場合、保険料は発生しません。加入条件は扶養する方の加入している保険制度により異なりますので、あらかじめ確認しておくとよいでしょう。

今の所属している健康保険が分からない場合は保険証を見て確認しよう

健康保険証の保険者を確認するとどこの所属かを確認することができます。

  • ・市区町村の表示がある場合
  • 市区町村が保険者の場合は国民健康保険です。自営業者・個人事業主や、短時間勤務のパート・アルバイト勤務の方、無職の方など、職場の健康保険に加入していない方は基本的に国民健康保険に加入しています。
  • ・企業名や業種名、職種名+健康保険組合
  • 企業名や業種名、職種名などが書かれている場合は組合管掌健康保険(企業保険・組合健保)です。企業が設立する健康保険組合が保険者となって運営しており、その会社の従業員が加入対象です。
  • ・共済組合
  • 公務員、私立学校教職員とその家族を対象とした組合です。
  • ・全国健康保険協会(協会けんぽ)
  • 健康保険組合を持たない事業所は、すべてこの協会けんぽに加入します。全国で250万事業所が所属しています。(2022年7月時点)

国民年金の手続き

国民年金もお住まいの市区町村役場が窓口となります。手続には「年金手帳」「離職票や退職証明書等の退職日が確認できる書類」「印鑑」が必要となります。

後日、日本年金機構から納付書(国民年金保険料納付案内書)が送られてきます。全国の銀行や郵便局等の金融機関、コンビニエンスストアから支払うことができますので、速やかに支払いを済ませましょう。

また、保険料を前納すると保険料が割引かれる制度もあります。他にも、やむを得ない事情があり失業をしてしまった場合や、金銭的に保険料を支払うことが困難な場合には、年金保険料の特例免除制度もあります。

特例を受けられる条件等は、日本年金機構のホームページよりご確認ください。

日本年金機構ホームページはこちら

尚、健康保険を上記(3)被扶養者として扶養者の健康保険に加入し、扶養者が配偶者の場合には、「国民年金第3号被保険者」に該当し、国民年金保険料を支払うことなく、国民年金に加入している扱いとなります。手続きは配偶者の勤務先会社が行います。

住民税の手続き

住民税は、前年の1月から12月までの1年間に受け取った所得に対して課された税額を、本年の6月から来年の5月までに支払う仕組みとなっています。つまり、前年の所得に応じた「後払い」の方式になっています。

ブランクが生じる場合、住民税も自身で支払う必要があります。納税方法は退職の時期によって異なるので注意が必要です。(保険や年金と違い、住民税は特に役所に出向いて手続きをする必要はありません)

【6月~12月に退職した場合】
翌年5月までに納める予定の残額を、退職時に一括で支払うか分割で支払うかを退職する会社に伝えます。一括の場合は、最終月の給与から納税額が天引きされることが多く、分割の場合は後日、お住まいの市区町村役場から送られてくる納税通知書に従って支払うことになります。


【1月~5月に退職した場合】
本年の5月までに納めるべき残額を退職時に一括で支払います。この場合、最後に受け取る給料から天引きとなることが多いため、退職した月によっては最終月の給与支給額が著しく低くなることがあるので、注意してください。6月1日時点で次の会社で働いている場合は、その後に払うべき住民税は以前と同様に毎月の給与からの天引きとなりますが、6月1日時点で失業中の場合は、役所から送られてくる納税通知書に従ってご自身で納税することとなります。


ブランク中は失業給付をもらえることも

失業中も支払うべき税金が多いですが、逆に給付をもらえることもあります。一定の条件を満たしていれば、手続きを行うことで失業給付を受けることができます。失業給付が受けられる条件として、今後も働く意志があり、求職活動をする意志があることが必要となります。会社都合による退職の場合、過去1年間で雇用保険に通算6カ月以上加入していれば給付を受けることができます。失業給付を受給できる期間は90~330日となります。

自己都合の退職の場合、過去2年間で雇用保険に通算12カ月以上の加入が条件となります。退職後すぐにもらうことはできず、7日間の待期期間と2~3ヶ月の給付制限期間が発生します。 失業給付を受給できる期間も90~150日と、会社都合のときよりも短くなることに注意しながら、次の職場を探しましょう。
失業給付の担当窓口はお近くのハローワークとなります。詳しい手続きの流れはハローワークのホームページをご覧ください。

ハローワークのホームページはこちら

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まとめ

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