移動体通信とは?移動体通信エンジニアの仕事ってどんなもの?

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2023年01月25日

「移動体通信」という単語を聞いたことはありますか?
移動体通信により、皆さんが利用しているスマートフォンは通話やインターネットの利用が屋外でもできる便利な端末となり、生活はとても快適になりました。
ここでは、移動体通信についての説明や関連するお仕事をご紹介します。

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目次

移動体通信とはどんなもの?

移動体通信とは、スマートフォンなどのデバイスが最も通信状態が良好な基地局と自動で接続し続けているため、
ユーザーにとっては移動をしながらでも途切れることなく安定した通信を行うことができる通信方法のことです。
こうした技術のおかげで私たちはスマートフォンなどを快適に使うことができています。

携帯などの端末は、使用中も使用していない間も常に基地局から受ける波をモニタリングしています。
通話中は、最も通信状態が良好な電波が変わると、ネットワーク側に通知し端末と移動先の基地局の回線を繋ぐことで、移動中でも途切れず通信ができます。

いざというときに着信できるよう、端末は使用していない状況でもネットワーク側に情報を伝えることがあります。

移動体通信に関わる仕事とは?

ここ最近の携帯電話(スマートフォン)の急激な普及により、移動体通信の需要は大幅に増えています。今後も5GやIoTの普及によりますます移動体通信を用いた大容量且つ高速な通信が必要になるとみられています。
そんな大容量且つ高速な移動体通信を安定・安全に使用するための制御を行うことが移動体通信エンジニアの仕事です。

移動体通信エンジニアの仕事内容

移動体通信エンジニアの仕事内容は多岐にわたります。すべてを一人で担当するわけではなく、様々な業務の中から適性や経験に基づき一定の仕事を担当するケースが多いです。

基地局の設計

基地局は快適な通信をするのに必要不可欠です。都市部ではマンションやビルの屋上、地方では高台や見晴らしの良いところに鉄塔として建っています。最近では地下鉄の構内やトンネルの中にも基地局ができて、携帯電話が使えない場所はほとんどなくなってきました。

一般的に基地局の設計は、最初に現地の調査を行い、周辺の電波状況調査や最適な設備、装置の選定などを行います。また、地震や大雨、強風などで設備が壊れないように強度の計算もしなければなりません。移動体通信エンジニアのメイン業務の一つです。

置局の交渉

置局とは基地局を実際に設置することです。基地局の設置場所は平地や山の中、ビルやマンションの屋上など地域によってさまざまですが、もちろん勝手に建設はできないので、地主やオーナーに設置の交渉を行います。細かい設置場所や賃料交渉などのほか、契約書の作成、場合によっては近隣住民への説明などもあり、やりがいがある仕事の1つです。

基地局の試験、開通

基地局のデータ設定、通信試験を行います。インテグレーション業務とも呼ばれ、新たに設置する基地局のデータ送受信のための伝送路の確保、電波を発射するためのデータ投入も行います。
開通後には通話やデータ送受信のテストも行います。

基地、交換局の調整や保守・点検

実際に設置した基地局の調整やメンテナンスを行う仕事です。既存の基地局の保守・点検作業もあり、バージョンアップや5G等の新たな通信システムができた際の仕様変更や障害時の一時対応、復旧対応も行います。同様に、交換機の保守や整備なども行います。

エリアのセル設計や解析

1つの基地局から電波が届く範囲のことを「セル」といい、セル設計とはセルの配置の設計をし、どこに基地局を作れば効率よく通信ができるかなどを考える仕事です。実際には山や建物などがありますから、各場所で電波の質や強さなどを解析し、どの地域でも高品質なデータ通信ができるようにしなればなりません。人口カバー率も増え「もうすることはないのでは? 」と思いがちですが、LTEや次世代通信方式など、どんどん新しい周波数の電波が開発されているため、日々設計や解析が繰り返されています。

申請書類や完成図書の作成

基地局を作るといっても、図面や書類なしでは作れません。施工会社や各機関へ提出する申請書類や施工計画書などの書面を作成する仕事などがあるほか、設計担当が作成をした報告をもとに図面を作成する仕事などがあります。
また、施工のスケジュールや資材管理、他部門との調整なども仕事としてあり、基地局がスムーズに完成するような橋渡し役的な役割も担っています。

移動体通信エンジニアに関わる資格

移動体通信エンジニアは資格が無くても業務に従事することができます。しかし、取得をした方が有利になる資格がいくつかありますので紹介いたします。

第1級陸上特殊無線技士

通称「一陸特」と呼ばれ、陸上の無線局の技術的な操作を行うのに必要な国家資格です。
資格取得をすることで陸上無線局の空中線電力500W以下の多重無線設備、30 MHz以上の周波数の電波を使用する技術操作が可能となり、移動体通信エンジニアに適している資格の一つです。
国家試験に合格するほか、養成課程を修了することでも資格取得ができます。

1・2級電気工事施工管理技士

電気工事における施工管理を行うのに必要な国家資格です。
1級資格を取得すると、一般建設業・特定建設業における「専任技術者」、「監理技術者」となることができます。
2級資格を取得すると、一般建設業の許可を受ける際に必要となる「専任技術者」、「主任技術者」となることができます。
電気工事を行うには必要不可欠な資格といえます。

電気通信主任技術者

電気設備の安全を確保しながら工事・保守・運用を行なうための責任者になることができる国家資格です。
電気通信設備の工事、維持、運用に関して、保安監督者として電気主任技術者資格を保有する者を必ず置かなければならないと定められているため、電気設備系の資格の中でも需要が高いです。

電気通信工事担任者

電気通信回路(電話回線やデジタルデータ回線など)と各企業や家庭で使用される端末(電話、パソコン、防犯機器など)を接続することができる国家資格です。こちらも配線工事などにおいて、資格保有者の実施または監督が必要と定められています。

移動体通信エンジニアの今後

スマートフォンなどの普及により、新しい通信方式も日々開発されるなど将来性も非常に高い職種です。また、全国あちらこちらに設置された基地局をメンテナンスしていくという仕事は、基地局がある限り必要となります。そのため、今後も需要の高い仕事といえます。

私たちが日ごろ便利にネットや通話ができるほか、災害時などの通信手段としても重要な役割があり、人々の暮らしを支えられるとてもやりがいがある仕事の一つです。
最近では、移動体通信で培ったスキルを生かして、大震災後、設置の意識が高まりつつある防災無線の分野や、同じく無線の知識が生かせるETC分野などに技術者がシフトしていくパターンもあり、通信技術者の活躍の場も広がっています。

移動体通信エンジニアの今後

未経験から移動体通信エンジニアへの転職も可能です。実際に未経験から仕事に就いている方も多く、研修制度が完備されていて未経験からでも安心して業務に就いていただけるお仕事も多いです。しかし、その研修制度のみで満足せずに自主的な資格の勉強をするとより一層会社から必要とされるエンジニアになることができます。

トライアローは、通信・IT・建設業に強い技術系の派遣会社です。移動体通信エンジニアの求人も全国で扱っておりますので、お気軽にご相談下さい。


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