ICT支援員はきつい?言われる理由や将来性などを解説

公開日:2025/06/20 最終更新日:2025/06/20

ICT支援員はきつい?言われる理由や将来性などを解説
ICT支援員は、教育機関等でパソコンやタブレット、ネットワーク設備といったITインフラを管理・サポートするお仕事です。多くのIT機器が学校にも導入されている今、注目を集めているお仕事の一つです。
しかし、一部のネット上では「きつい仕事」として「やめとけ」等と言われているケースがあります。本記事では、なぜきついと言われるのか、そしてどのようなやりがいや将来性があるのかについて詳しく解説します。

ICT支援員が「きつい」と言われる理由

ICT支援員が「きつい」と言われる理由は以下のとおりです。
  • 頻発するトラブル対応とプレッシャー
  • コミュニケーション負荷と人間関係
  • 給与・雇用形態の不安
それぞれ詳しく解説していきます。

頻発するトラブル対応とプレッシャー

ICT支援員のトラブル対応手順の図

ICT支援員がまず直面しやすいのは、学校や行政の現場でIT機器のトラブルが起こったときに即座の対応を求められるプレッシャーです。たとえば、授業中にタブレットの接続が切れてしまったり、プリンターが急にエラーを起こしたりすると、教師や職員から「すぐに何とかしてほしい」という要望が飛んできます。生徒を待たせないためにもスピーディに原因を特定し、解決策を講じる必要があるため、ICT支援員は常に時間との勝負を強いられるのです。
さらに、トラブルの原因がハードウェアの老朽化やネットワークの障害など複雑なケースになると、現場で解決できず上位部署や業者への連絡が必要になります。その際は問題の切り分けや報告もICT支援員が担うことが多く、調整の難しさや説明責任の重さがのしかかります。こうしたトラブル対応が日常茶飯事になることで、精神的な疲労を感じる方も少なくありません。

コミュニケーション負荷と人間関係

ICT支援員の学校内の業務相関図

ICT支援員は、ただ機器を管理していればいいというわけではなく、教師や職員、さらには学生・生徒、時には保護者ともやり取りを行う立場です。しかも相手はITの専門用語に慣れていない場合が多く、わかりやすく説明するためのコミュニケーション力が必須となります。
問題が起きたときに質問されることはもちろん、使い方の講習や日常的な問い合わせなど、ICTに関する全般的な相談窓口の役割を担う場面が続くと、常に人と接している状態がストレスになることもあります。また、ユーザーが求めているサポート内容とICT支援員の業務範囲が食い違うケースもあり、「本当はここまでできないのに、なんとか対応しなくては」というジレンマに陥ることもあるのです。こうしたコミュニケーションの難しさや周囲との温度差が、仕事を「きつい」と感じさせる原因の一つといえます。

給与・雇用形態の不安

ICT支援員の多くは、派遣社員や契約社員といった非正規雇用での募集が目立ちます。学校や自治体が予算に応じて契約を結ぶ形をとることも多いため、更新時期になると落ち着かない気持ちになる方は少なくありません。正社員として雇用されるケースもゼロではありませんが、全体的な割合としてはまだ多くないため、長期的に安定した収入を得ることを目指す人にとっては課題を感じる場面があります。

ICT支援員の仕事内容

近年、学校現場でのICT(情報通信技術)の活用が進んでおり、その普及を支えるための専門職が「ICT支援員」です。ICT支援員の主な役割は、学校でのパソコンやタブレットなどのデジタル機器を円滑に利用できるよう、教職員や生徒をサポートすることです。日常業務は多岐にわたりますが、学校のICT環境の整備や授業支援、校務のサポートなど、さまざまな面でのサポートが求められます。

▼ICT教育について詳しく知りたい方はこちら

授業支援

授業前には、パソコンやタブレット、ネットワークの状態をチェックし、教材を準備します。授業中には、先生や生徒が機器をスムーズに操作できるようサポートし、授業後には、使用した機材の片付けや記録作業を行い、問題が発生した場合にはその振り返りを行います。この一連の流れで、ICTが教育に活用される環境を整えています。

ICT環境の整備

学校内のICT機器の維持管理も重要な業務の一つです。パソコンやタブレットの定期的なメンテナンスを行い、Wi-Fi環境や各種ソフトウェアの更新作業を担当します。また、機器操作に関するマニュアルを作成し、教職員や生徒が機器を効率的に活用できるようサポートします。

校務サポート

ICT支援員は、校務に関連する業務にも幅広く関わることがあります。例えば、ExcelやWordを使った書類作成の補助、成績管理ソフトの操作サポート、学校ホームページや保護者連絡ツールの更新作業などが含まれます。これにより、教職員が事務作業に集中できるよう、ICTツールを最大限に活用する手助けをしています。

先生向け研修の企画と実施

教職員に対してICTツールの使い方を教える研修の企画や実施も行います。放課後や長期休暇中には、短時間の勉強会を開催し、教職員のICT活用スキル向上をサポートします。このような研修を通じて、学校全体のICT教育の質を高めることができます。

ICT支援員のやりがいと将来性

ここまで「きつい」と言われる理由について解説してきましたが、決してネガティブな面ばかりではありません。ICT支援員のやりがいと将来性のポイントには以下があげられます。
  • 教育現場で感謝される魅力
  • スキルアップとキャリアパスの広がり
  • GIGAスクール構想の後押し
それぞれのポイントについて、詳しく解説します。

教育現場で感謝される魅力

教育現場で働くからこそ味わえる魅力として、子どもたちや先生方から直接「ありがとう」と言ってもらえる場面が挙げられます。たとえば、ICT活用の指導をサポートして生徒の学習成果が上がったときや、授業の準備が円滑に進み先生が助かったときなどは、その喜びがダイレクトに伝わるのです。
さらに、自分がサポートした授業によって学習意欲が高まった生徒を見ると、「ICT機器が教育の可能性を広げる」というやりがいを強く感じる方も多いようです。こうした実感は、会社のオフィスワークではなかなか得られないタイプの充実感と言えるでしょう。

スキルアップとキャリアパスの広がり

ICT支援員の仕事は、最先端のIT技術を扱うことこそ少ないものの、IT機器やネットワークの基本を幅広く学ぶチャンスがあります。トラブルシューティングを重ねるうちに、ネットワークの構造やソフトウェアのバージョン管理、セキュリティ対策などの実務経験が積み重なるため、キャリアアップの下地となる基礎知識を得ることが可能です。
さらに、一定の知識が身につけばITパスポートやCompTIA、基本情報技術者といった資格取得を目指すこともでき、スキルが高まるにつれてITサポートエンジニアやヘルプデスクへの転身を図る人もいます。教育の現場で働くうちに児童・生徒の学びを支援する楽しさを感じ、教育関連企業へ移るケースもあるため、自分自身の興味や目標次第でキャリアパスがいくらでも広がるのは魅力の一つです。

GIGAスクール構想の後押し

今後も教育現場でのICT活用は加速すると見られており、自治体ごとに予算を拡充して支援員を増やす動きが見受けられます。端末だけでなくクラウドサービスを活用した学習支援、オンライン授業の整備など、取り組む領域はさらに広がる可能性があります。こうした背景から、ICT支援員という職業自体の社会的認知度も少しずつ高まっており、今後は雇用形態や待遇面でも見直しが進むことが期待されています。 学校教育におけるICT活用が増えれば増えるほど、その環境をしっかり支えていける人材が重宝されるため、今後のさらに活躍する場が増えることが期待されています。

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ICT支援員として働く職場の選び方

ICT支援員として働く際には、勤務環境や待遇など、事前に注目すべきポイントがいくつか存在します。たとえICTスキルに自信があっても、契約形態やサポート体制がしっかりしていない職場では、結果的に「続けられない」「思ったよりも大変だった」という声が上がりがちです。自分のやりたいことや将来像を明確にしながら、求人票や面接を通じて細部を確認していくことで、無理なく働ける環境を見つけられる可能性が高まります。
特に教育現場でのICT導入が進む今、多くの学校や自治体が支援員を募集しているため、数ある選択肢の中から自分に合った職場を慎重に選ぶことが大切です。

求人情報のチェックポイント

求人情報を見るときには、給与や勤務時間といった表面的な条件だけでなく、どのような機器やシステムを扱うのか、サポート対象がどの範囲まで及ぶのかをしっかり把握することが重要になります。たとえば、パソコンだけでなくタブレットや電子黒板、クラウドサービスの利用状況などを事前に知っておくと、入職後に「想像していたよりも作業量が多い」と戸惑うリスクを減らせます。
また、学校現場の場合は、自治体や委託会社からの指示系統が複雑になりやすいので、実際にどの機関の指揮下で動くのかもあらかじめ確認しておくと安心です。さらには契約更新の頻度や、更新の可能性についてどの程度見通しが立つのかも大きなポイントとなるため、将来的に長く働きたい人ほど入念にチェックしておきましょう。

待遇改善につながる資格・スキル

ICT支援員の待遇は、経験や知識レベルに応じて大きく変動します。ITパスポートやMOS(Microsoft Office Specialist)などの基礎資格を取得しているだけでも、採用時の評価が上がるケースが少なくありません。さらに、ネットワーク系の資格であるCompTIA Network+やCiscoのCCNAなどを持っていると、通信障害への対処力が期待できる人材として見なされるため、給与面や役割拡大につながりやすくなります。
実際に、非正規から契約社員、もしくは契約社員から正社員登用を目指す際に、「この人はトラブルシューティングが得意そうだ」と判断されるような資格があるだけでも大きなアピール材料となるでしょう。もちろん学歴や実務経験も重要ですが、資格は自分の能力を客観的に示す指標として非常に有効なので、今後のキャリアを意識するなら早めに勉強を始めておく価値があります。

▼「ITパスポート」について詳しく知りたい方はこちら

コミュニケーションとサポート体制

職場を選ぶうえで、支援員同士や上司からのサポート体制が整っているかどうかも大きな分かれ道になります。ICT支援員というと、一人で複数校を担当したり、校内で唯一の専門スタッフとして対応を迫られたりするケースが珍しくありません。そんなときに、同じ業務を担当する仲間との情報共有や、研修を実施してくれる仕組みがあると、問題が起きても孤立せずに乗り越えやすくなります。面接や求人票で「研修の有無」「メンター制度の存在」「現場での問い合わせ対応フロー」といった点を質問し、具体的な回答を得られれば、実際に働き始めた後の不安が軽減されるはずです。
教育委員会や自治体によっては、ICT支援員向けの勉強会やコミュニティを整備しているところもあるため、こういった環境を選択できるかどうかがモチベーションの維持に大きく関わってきます。

求人探しから応募までのステップ

ICT支援員の募集は、自治体の公募や派遣会社、専門求人サイトなど、複数のルートで探すことができます。どのルートを活用するにしても、まずは自分が譲れない条件(勤務形態、勤務地、給与など)と、今後身につけたいスキルの方向性を明確にしておくことが大切です。条件を曖昧にしたままだと、興味がある求人を目にしても「自分に合っているかどうか」がわからず、応募のタイミングを逃してしまうことがあります。

求人探しのポイント

近年では、ICT支援員に特化した求人情報を取り扱うサイトや、派遣会社が増えてきています。こうした専門のサービスを利用すると、未経験者を歓迎する求人やスキルアップを支援する求人など、自分の状況に合った案件が見つかりやすくなります。オンライン面接で完結できるケースや、複数の学校をまとめて紹介してくれるケースもありますので、活用するのも良いでしょう。
細かい条件をすり合わせるためには、さらに担当者とのやり取りを重ねることが必要です。自分の希望を伝えてマッチする求人を提案してもらえれば、情報収集の手間を省きつつ、より確度の高い応募先を見つけることができるでしょう。
トライアローは、トライアローは、しごとF!NDERというお仕事検索サイトを運営する派遣会社です。ICT支援員のお仕事を探している方や、キャリアについて悩んでいる方への営業担当によるキャリア相談も行っております。是非お気軽にご相談ください。

応募書類と面接でアピールすべきポイント

ICT支援員は、ITスキルだけでなく教育現場との橋渡しを担う立場でもあります。応募書類や面接の段階で、自分が「人と関わりながら問題解決するのが得意」であることや、「トラブルが発生したときに冷静に対応してきた経験」を具体的に示しておくと、採用担当者の印象に残りやすくなります。これまでに事務やカスタマーサポートなどでユーザーとのコミュニケーションを多く取ってきた経験があるなら、積極的に言及することをおすすめします。
また、学校での勤務経験がなくても、ボランティア活動や子どもと接した経験などがあれば、それもアピール材料となることがあります。特に、生徒や教師からの質問にわかりやすく答えられる能力は重宝されやすいので、自分の強みとして認識し、明確なエピソードとともに伝えると効果的です。

具体的に書くべきITスキルの例

応募書類に記載すべきITスキルは、プログラミング言語やサーバー構築のような高度なものだけではありません。教育現場では、WordやExcelなどのOfficeソフトを問題なく操作できることや、端末の初期設定やネットワークへの接続ができるといった基礎スキルが重要視される場面が多いのです。さらに、ChromeやSafariなどのブラウザでクラウド学習サービスを使いこなしたり、タブレットのアプリ管理をサポートしたりできる能力も歓迎されます。
応募時には、自分がどのレベルのITスキルを持っているのか、またそれをどのように使ってきたのかを、なるべく具体的に書き込むようにするとよいでしょう。資格を持っていればもちろん大きなアピールになりますが、資格がなくても「こんなトラブルを解決した経験がある」という実例を書いておくと、「業務で活かせそうな人材だ」と思ってもらえる可能性が高まります。

ICT支援員はやりがいのある仕事

ICT支援員は、たしかに即時対応が求められる緊張感や多様な人とのコミュニケーションが必要なため、きついと感じる場面もあるお仕事です。しかし、教育現場でのICT活用が進む中、支援員がいなければ成り立たない授業や行事も増えており、その貢献度の高さは確かなものがあります。自分が整備した機器やシステムのおかげで、子どもたちの学びが円滑に進んだり、新しい学習方法が導入されたりといった成果を間近で見られるのは、大きなモチベーションにつながるでしょう。
また、ITの基本的な知識やスキルを磨きながら、将来的には他のIT関連職へキャリアを展開する道も開けるという点で、長期的な視野で見れば選択肢の広がる仕事でもあります。自分に合った職場を選び、負担を上手にコントロールしながら働けば、ICT支援員としてのやりがいを最大限に感じられるでしょう。

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