派遣社員は確定申告が必要?副業や転職、ふるさと納税はどうなる?

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2023年01月25日


短時間のお仕事を掛け持ちでしていたり、ふるさと納税を行っていたり等で、「自分は確定申告が必要なのかどうかわからない」とお困りの方を多く見かけます。そこで、この記事では、派遣社員がふるさと納税や掛け持ちでの仕事をしたときの確定申告の有無に関する情報を紹介します。

目次

確定申告の基礎知識

これまで企業に勤めてフルタイムで働いてきた方は、「確定申告」という言葉は知っていても、実際の内容については知らない人の方が多いかもしれません。確定申告というのは、1年間の所得金額とそれに応じた税額を自分で計算して、税務署に申告する制度のことです。申告方法には「白色申告」と「青色申告」があり、どちらを選ぶかによって簿記の種類や控除額が変わってきます。確定申告は、主に個人事業主やフリーランスなどの、会社に勤めずに働いていて、かつ一定以上の収入がある人が行う義務があるものです。

一方で、正社員、派遣、パート問わず会社に勤めている人の場合は、企業が代わりに行ってくれる「年末調整」という制度があるため、基本的には個人で確定申告を行う必要はありません。
しかし、確定申告が必要になる場合もありますので、以下のケースに当てはまる箇所が無いか確認をしてみてください。

  1. 年末調整時に派遣元企業との雇用関係が無い
    12月の年末調整時点で派遣会社に雇用されていない場合は、年末調整ができませんので確定申告が必要です。

  2. 2カ所以上の会社から給与を受け取っていて、どちらも収入が20万円を超える
    2カ所以上の会社から給与を受け取っている場合は注意が必要です。基本的には、より多くの給与をもらっている方の職場で年末調整を行うことになりますが、副業・アルバイト先の給与収入(所得)が20万を超えると、確定申告が必要です。

  3. 派遣元企業で年末調整ができない
    派遣元企業に就職したタイミングなどによっては、年末調整を行えず確定申告が必要になる場合があります。また、派遣元企業で年末調整が行われたとしても、書類が期日までに揃えられなかったなどの理由で申請が間に合わなかった場合にも確定申告が必要です。

  4. 医療費控除または住宅ローン控除を利用する
    各種控除の大半は年末調整で手続きができますが、医療費控除と住宅ローンの所得控除を利用する場合は注意しましょう。
    医療費控除
    一定以上の医療費の支払いがあれば、1年の医療費を集計して確定申告をすることで納税額を少なくできます。 上限金額や対象となる費用が決まっておりますので、注意しましょう。
    住宅ローンの所得控除
    居住者が住宅ローンを使ってマイホームの新築、マイホームの取得、マイホームの増改築などを行い、一定の条件を満たした場合、数年にわたって減税を受けられる制度です。 2年目以降は税務署から交付される「住宅借入金等特別控除申告書」を提出することで年末調整が可能になりますが、1年目は確定申告が必要です。
    その他にも、災害などによる損害の一部を所得金額から差し引くことのできる雑損控除なども確定申告が必要となります。

  5. 5か所以上の寄付先へふるさと納税をしている
    ふるさと納税をしている場合、条件を満たせばワンストップ特例制度を利用することで確定申告をしなくても税金の控除を受けることが可能です。しかし、5カ所以上の自治体へふるさと納税をしている場合は確定申告が必要となります。

派遣社員のふるさと納税について詳しく知りたい方はこちらをご確認ください。
派遣社員・フリーランスもふるさと納税できる?確定申告は必要?

派遣社員として掛け持ちで仕事をしているときの確定申告

派遣社員として、2つの仕事を掛け持ちで行っている場合は、メインで働いているほうの派遣会社で年末調整を行います。年末調整は、「扶養控除」「保険控除」の書類を提出している会社でしかできないので注意しましょう。

メインではない方の会社からも年末調整時に必要な書類である「給与所得者の扶養控除等申告書」が配布されるかもしれませんが、その場合は、すでにほかで提出しているので、こちらでは提出しない旨を伝えておけば問題ありません。うっかり両方で提出してしまうと、課税額が正しく計算されず、脱税につながる恐れがあります。


給与所得者の扶養控除等申告書の見本(国税庁WEBサイトより)

確定申告が必要かどうかは掛け持ちを始めた時期に注目

また、確定申告が必要か否かについては、掛け持ちを始めた時期も重要です。確定申告が行われる時期は2月16日から3月15日ですが、その際確定申告の対象となるのは前年の1月から12月までの所得金額です。

そのため、前年の12月の時点で、給与を受け取る会社が1カ所のみであれば、翌年は12月に支払いのある派遣会社が年末調整として行ってくれるため、自身で対応する必要はありません。これについては、次段落で詳しく説明します。一方で、12月に2カ所以上から給与が支払われる場合は、メインではない方の会社からもらった給与分の確定申告は、自分で行う必要があるので注意しましょう。

年内に複数の派遣会社で働いたときの確定申告

1月から12月までの間に、複数の派遣会社で働くケースもあるでしょう。たとえば、6月まではA社で派遣社員として働き、以降はB社の派遣社員として年末まで働いたとします。その場合は、12月の時点で勤めている派遣会社(このケースであればB社)で、A社の分もまとめて年末調整をしてもらうことが可能です。

そのためには、A社に勤めていたころの源泉徴収票をB社に提出する必要があるため、手元になければ取り寄せておきましょう。源泉徴収票自体は作成に時間のかかる書類ではありませんが、年末調整の時期は依頼が重なるため、通常よりも発行までに時間がかかってしまう恐れがあります。


源泉徴収票の見本(国税庁WEBサイトより)

確定申告が必要になるのはこんな場合

万が一、B社の年末調整までに書類が間に合わなかった場合は、A社の収入分に関しては自身で確定申告を行う必要があります。確定申告に不慣れな場合はB社に任せてしまったほうが楽なので、退職した時点で源泉徴収を取り寄せて保管しておくなどの余裕をもった準備を心がけましょう(退職してから後日、ご自宅に郵送で送る会社が多いので、しっかり保管しておくようにしましょう)。

なお、12月の時点でいずれの職場も退職し、どこの会社にも所属していない場合は、その年分の確定申告を自分で行わなければいけません。それが面倒と感じるならば、可能であれば辞める時期なども考慮したほうがいいでしょう。

ふるさと納税の利用で確定申告が必要な条件とは?

ふるさと納税の制度を利用した場合、基本的には確定申告が必要になります。ただし、年末調整を利用できるなど本来確定申告の必要がない人に向けては「ふるさと納税ワンストップ特例制度」という、より簡易的な手続きが用意されています。

ふるさと納税ワンストップ特例制度が利用できる人

この方法が利用できるのは、年間2,000万円以下の給与所得者で、かつ、副業や各種控除申請による確定申告の必要がない人です。ふるさと納税ワンストップ特例制度は、税務署で行う確定申告とは異なり、「寄附金税額控除に係る申告特例申請書」という書類を寄附した自治体に送るだけで完了します。ただし、寄附した自治体が複数ある場合は、その分だけ書類を送付する必要があるので注意しましょう。また、6つを超える自治体へふるさと納税した場合にも確定申告が必要となりますので注意しましょう。

ふるさと納税のメリットは、寄附金額から自己負担の2,000円を差し引いた金額を税金から控除できるという点です。

ふるさと納税の利用で確定申告が必要になる人

個人事業主やフリーランスで一定以上の収入がある、各種控除を申請するなどの理由で確定申告の必要がある人は、ワンストップ納税制度は利用できません。

また、6自治体以上にふるさと納税を申し込んだ場合も、ワンストップ納税を利用できない仕組みになっているため、確定申告が必要になります。

確定申告に必要な書類と申告期間

確定申告は、毎年2月16日~3月15日の間に行われます。前年に派遣社員として働いていた場合は、確定申告の際に源泉徴収票が必要です。複数の派遣会社で働いていた場合は、すべての源泉徴収票を取り寄せておきましょう。また、生命保険などに加入している場合は、控除の対象となるので「保険料控除証明書」の用意が必要です。そのほかにも、控除に必要な領収書(医療費など)や通勤交通費証明書、契約書なども準備しておきましょう。

銀行の預金通帳またはキャッシュカード、銀行の届出印なども必要です。例年、3月ごろには税務署がかなり混雑するため、直接提出しに行く場合は早めに手続きを済ませてしまいましょう。なお、書類を提出する税務署はどこでもいいわけではなく、居住地によって管轄の税務署が決まっています。場合によっては最寄りの税務署が管轄外の場合もあるので、事前に確かめておくと安心です。

まとめ

派遣社員としてふるさと納税や掛け持ちでの仕事を行う場合は、確定申告が必要になるかもしれません。知識がないまま「よくわからない」と放置していると、脱税になる恐れもあります。そうならないよう、派遣の掛け持ちやふるさと納税をしている人は、確定申告の基礎知識を理解したうえで、必要であればきちんと確定申告するようにしましょう。

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