派遣社員は年金がもらえるの?もらえないのはどんなケース!?iDecoへの加入は可能?

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2023年02月22日

派遣社員は一般的な雇用形態とは異なるため、年金がもらえるのかどうか気になっている人もいるのではないでしょうか。実は、年金制度は働き方に関わらず原則的に加入しなければなりません。今回は派遣社員でも年金がもらえるのかという疑問に対する解説や、年金を受け取るための条件、受給の見込額、年金そのものに不安があるときの対策などを紹介していきます。

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目次

派遣社員がもらえる年金にはどんな種類があるの?

年金には国の制度である公的年金と、企業の従業員や個人が任意で加入する私的年金があります。公的年金と私的年金にもさまざまな種類があります。

公的年金(国民年金、厚生年金)

公的年金は、国民年金(基礎年金)と厚生年金の2種類があります。
国民年金とは、日本に居住する20歳以上60歳未満のすべての人に加入が義務付けられている社会保障制度です。そのため必然的に派遣社員であっても受給対象になっています。保険料の納付を怠らない限り誰でも受給することができるので、派遣社員でももちろん加入ができます。国民年金は基礎年金として位置づけられており、資格期間が10年以上ある人が65歳になったときに老齢基礎年金として支給されます。

一方、厚生年金は会社などに勤めている人が加入する年金制度で、保険料は勤務先の会社が半額を負担、従業員がもう半額を負担することになっています。従業員が1人でもいる法人企業では厚生年金の加入が義務づけられているため、一定の労働条件(後述)を満たせば、派遣社員であっても厚生年金の対象となります。厚生年金への加入は、基礎年金に上乗せという形になっているので、自動的に国民年金にも加入することになります。よくテレビや新聞などでは「年金制度は2階建て構造」と言う表現が使われますが、これは基礎年金と厚生年金の2種類があることを意味した言い方となります。

参考:日本年金機構(https://www.nenkin.go.jp/index.html


国民年金のみに加入している人は第1号被保険者と呼ばれ、厚生年金に加入している人を第2号被保険者と呼びます。また、厚生年金に加入している配偶者(第2号被保険者)が扶養する専業主婦(主夫)は第3号被保険者といいます。これらの公的年金は、働く現役世代が納めた保険料によって高齢者の生活を支える仕組みになっているのです。

私的年金(企業年金、iDeCo他)

私的年金は公的年金と異なり個人で積み立てる年金のことを指します。公的年金を補完するもので、保険料や年金額、加入条件などは運営先により異なります。
種類としては大まかに4種類あります。


  • ・企業年金
    企業が福利厚生の一環で導入する制度です。民間の金融機関に運営委託している場合がほとんどで、導入有無や詳細は勤務先に確認が必要です。

  • ・iDeCo(個人型確定拠出年金)
    個人が任意で加入し、払った掛金を元に自分で運用し60歳以降に受け取れる個人型確定拠出年金です。企業年金に加入している会社員、専業主婦等様々な人が加入できます。後ほど詳しく解説いたします。

  • ・国民年金基金
    自営業者やフリーランスなど厚生年金に加入できない第1号被保険者が任意に加入する制度です。

  • ・個人年金保険
    民間の保険会社が主に取り扱っているものです。老後の資金に不安のある方を対象に、毎月保険料を支払い決まった年齢から年金として受け取れる制度です。

派遣社員が厚生年金に加入できる条件を知ろう

派遣社員は厚生年金の受給対象ではありますが、一定の条件を満たさなければ加入することができません。加入できなかった場合は、将来受給額が減額されるなど、期待通りの年金がもらえないケースもあり得ます。逆に条件を満たしている人は、法律で加入が義務づけられています。詳しい条件について解説します。

事業所の条件

株式会社などの法人や、常時5人以上の従業員を抱える個人事業所には厚生年金への加入義務があります。
ただしその企業の従業員数によって、被保険者の加入規定が異なります。

被保険者の条件

派遣社員が厚生年金に加入できる条件は、

  • ・雇用期間が原則2カ月以上
  • ・所定の労働時間と労働日数が派遣会社の正社員の4分の3以上であること
です。1週間の労働時間に換算すると、およそ30時間以上で加入条件に該当することになります。

また、厚生年金の被保険者である従業員数が101名以上の企業の場合、

  • ・所定の労働時間が週20時間以上
  • ・決まった月収が8万8000円以上
  • ・雇用期間が2か月以上の見込みの学生以外の方
も対象となります。

どちらも2か月以上の雇用見込みが必要となるため、1か月やそれよりも短期の派遣の場合は加入ができません。しかし仮に雇用期間が2カ月以内という契約の場合も、所定の契約期間を過ぎて引き続き雇用されるときから加入できます。初回契約時に加入の条件をクリアしていなくても、契約更新時にこれらの条件を満たすことになればその時点から加入できる、というより「加入しなければならない」のです。

派遣社員の場合、働く人によって雇用形態がそれぞれ異なるので、派遣会社にこれらの条件をしっかり確認しておきましょう。

加入に対して注意したいこと

前述のとおり、派遣社員でも条件を満たせば厚生年金への加入が可能です。厚生年金に加入することで、将来受給できる年金の金額も増えます。しかし、その分保険料の負担も増えます。半分は勤務先の会社が負担となるのでそこまで大きい金額とはなりませんが、負担金額が増えるので注意しましょう。

また、厚生年金加入への条件を満たさなかった場合は、自身で国民年金に加入し保険料を納めることとなります。しかし、もし厚生年金に加入している配偶者から扶養をされている場合は(第3号被保険者のとき)、保険料の支払いは免除となり保険料負担なく第1号被保険者と同様の年金を受給することができます。派遣としての働き方を考える場合には、被扶養者になるかどうかも含めて検討してみてください。

扶養内で働いた方がお得?

先ほどの被保険者条件を満たした場合は、扶養内で働くことはできません。

では、被扶養者として働くことと、扶養の範囲を出て働くこと、どちらがお得なのでしょうか。
回答としては、環境により異なります。
条件以上の時間を働くのであれば、出来るだけ勤務時間(期間)を長く働くことで収入が上がり、保険料負担分以上の収入を得られます。
しかし、扶養に入った場合と異なり保険料は負担することとなるため、その金額を節約したいのであれば扶養の範囲内で働くことをお勧めします。

あいまいな状態で勤務してしまい、万が一、扶養に入れる上限金額を少しだけを越してしまったとなると、保険料負担が発生し損になってしまう可能性もあります。
仕事を決める前に、ご自身がどのように働いていきたいか考えておきましょう。

厚生年金に「入らない」ことはできる?

結論から言うと、被保険者条件を満たした場合は加入しなければならないので、加入が必要です。
もし、厚生年金に入りたくない場合は、ご家族の扶養に加入し、その範囲内で働くことをお勧めします。

また、会社との雇用関係の発生しない自営業であれば厚生年金への加入は不要となります。
例えば自営業で業務委託として業務を請け負えば、厚生年金へ加入せず扶養範囲以上働くこともできます。

生涯賃金に対する年金受給見込額はどれくらい?

年金は老後の生活を支える資金となるため、いくらもらえるのか気になるところです。ここで生涯賃金に対する年金の受給見込額を見てみましょう。
まず年金が受給できる年齢は、生年月日や加入期間によって差がありますが、基本的には65歳からとなっています。受給のしくみは二層構成で、老齢基礎年金として受け取れる国民年金と、老齢厚生年金として受け取れる厚生年金を足した合計額が、65歳以降にもらえる年金額です。

老齢基礎年金の額は、保険料を払い込んだ月数から算出され、保険料を1年納付するごとに受給できる年金額が毎年約1万9500円増額していきます。40年間すべての保険料を納付した場合、受給見込額は年間で約78万円となります。

一方、老齢厚生年金では、厚生年金の加入期間が1年延びた場合、受給できる年金の増額は毎年1万~5万円です。仮に30年間働けば、その賃金に対する受給見込額は年間で30万~150万円になります。増額に大きな幅があるのは、厚生年金に加入した期間の長短と、その期間の平均賃金が関係しているためです。

ただし、年金の受給開始時期は、希望次第で遅らせたり早めたりすることが可能です。65歳以降も働く人の場合、賃金を得ながら引き続き保険料を支払うことになりますが、年金の受給時期が延びることによって受給総額が増えるというメリットを得ることができます。

将来もらえる年金に不安があるときに頼りになるiDecoって何?

老齢基礎年金や老齢厚生年金だけで果たしてゆとりある老後の生活が送れるのか、将来受け取る公的年金について、多くの人がそんな不安を抱えているのではないでしょうか。老後資金が不十分である場合、足りない分は自分の力でなんとかしなければなりません。そんなときに頼りになるのが、iDeCo(イデコ)という個人型確定拠出年金です。

iDeCoとは、老後資金を自分で築くために優遇措置が設けられた制度のことで、将来のお金に対する不安を解消してくれる心強い味方といえます。60歳まで毎月一定の掛け金を拠出し、それを元本として定期預金や投資信託、保険などの金融商品を運用し、60歳以降に運用して築いた資産を受け取ることができる制度です。派遣社員の加入ももちろん可能です。注意する点としては、派遣元の会社が企業型確定拠出年金制度を取り入れているかどうかです。企業年金に加入している場合には、掛金上限額が変わることやiDeCoへの加入ができない場合があります。派遣元の企業に確認をしましょう。

iDeCoのメリットは「税金の負担を減らしてくれるお得な優遇」に尽きます。掛け金はすべて所得控除の対象となり、掛け金に応じて所得税や住民税などの税金が年末調整で戻ってくるのです。運用した資産を受け取るときも、退職所得控除や公的年金等控除、更には運用益が非課税(本来であれば2023年現在20.315%が課税される)などの節税効果があり、お得な魅力は多彩といえるでしょう。


ただし、運用した資産がどのくらいの額になるのかは、60歳にならないとわかりません。運用しだいでは積み立てた元本を上回ることもあれば、下回る可能性もあります。iDecoを利用することで老後資金の蓄えにつながりますが、年金対策の内容や手続きは複雑でわかりにくいケースもあるため、まずは専門家に相談することが得策です。

派遣社員が将来の年金対策を専門家に相談するにはどうすれば良い?

派遣社員として将来の年金対策を専門家に相談したい場合は、そのような専門家を抱える派遣会社に登録することが近道です。実際に、さまざまな相談に応じることができる派遣会社は少なくありません。

老後資金や学資資金について、気軽に相談できる派遣会社もあります。とりわけライフプランニングの専門家がいる派遣会社は、自分のライフスタイルや目的に合わせて働くことができるため、登録の選択肢として検討したいところです。

私たちトライアローでは、福利厚生サービスの一環として、ファイナンシャルプランナーに相談できる窓口が設けられています。そのため派遣社員でも、資産をつくるための運用計画や老後の人生設計といった相談が受けられます。

年金制度以外にも保険制度はある?

国民年金保険、厚生年金保険以外にも、保険制度があります。

健康保険
病気やけが、またはそれによる休業、出産や死亡といった際に医療サービスが受けられる保険制度

介護保険
介護を必要とするとき、少ない負担で介護サービスが受けられる保険制度

雇用保険
雇用に関するさまざまな支援を受けられる保険制度

保険について詳しく知りたい方は以下の記事もご確認ください。

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まとめ

年金は将来の生活を支える資金となるため、派遣社員であっても年金のしくみに対して意識を持つことは大切です。それは自分のライフスタイルに合わせた働き方が、年金の加入に適合しているかチェックすることにつながってきます。年金そのものに不安を覚える場合はiDecoなどを活用しつつ、複雑な年金対策も専門家に相談することが得策です。派遣会社で働く際は、年金がもらえる条件をしっかり理解した上で契約しましょう。

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