6G通信で何ができる?5Gとの違い、6Gが企業と社会にもたらすことを解説

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2023年06月21日


現在、第5世代移動通信システム(5G)の実装が広がっています。この5Gの後に続くものが第6世代移動通信システム(6G)です。5Gの実装によって通信の高速化などが実現しておりますが、6Gが導入されることでどのような変化が起こるのでしょうか。本記事では6G通信とはどのようなものなのか、技術面やできることなどのほか、社会や企業などにどのような影響をもたらすのかについて解説します。

目次

「5G通信」に続く「6G通信」とは?

まずは6G通信とはどのようなものなのか、6Gに至るまでどういった変化があったのかについて見てみましょう。

6G通信とは

6G通信は「Beyond 5G」とも呼ばれている、2030年に導入予定の第6世代移動通信システムを指します。6Gが実用化されれば5G以上の高速大容量化、低遅延、多数同時接続など通信を高度化することが可能です。それによって、通信エリアや通信速度を気にしなくなるといった、さまざまな社会変革につながると予想されています。

また、6Gが普及する頃には大量の情報を連携・共有する、人の姿を目の前に投影するといったことも実現に近づくでしょう。さらに、リモートによる手術を可能にする遠隔医療など、かつてはSFの世界だと考えられていたことが現実になる可能性もあります。内閣府はサイバー空間と現実空間の融合社会を「Society 5.0」として掲げ、将来的にはさまざまな社会における課題解決を目指している状態です。

1Gから6Gまでの変遷

1980~1990年代にかけて第1世代移動通信システム(1G)から第2世代移動通信システム(2G)が登場しました。この頃は音声通話の利用がメインだったため、そのほかの機能では簡単なメールの送受信を行う程度でした。やがて2000年代に入ると、第3世代移動通信システム(3G)が登場し、音声通話やメールだけではなく、写真撮影、音楽・動画など、さまざまなメディア情報を利用できるようになります。

2010年頃からは第4世代移動通信システム(4G)が導入され、LTE(Long Term Evolution)が活用されるようになりました。それによって、無線通信技術が発展、100Mbit/s超えのデータ転送・処理速度に成功しています。こういった技術の発展はスマートフォンを急激に普及させました。2020年3月になると、第5世代移動通信システム(5G)が提供されています。こちらは商用サービスとして登場し、最大通信速度は4Gをはるかに上回る超高速(4Gbit/s超え)、大容量、低遅延、多数端末による同時接続が可能となりました。そして、来たる2030年、さらなる超高速、大容量、低遅延となる第6世代移動通信システムの登場が期待されています。


6G通信が重要視されている背景

2020年6月、総務省は5Gに続く世代「Beyond 5G」を導入する際のニーズや技術面での進歩について総合的な戦略が必要だと考えました。そのため、2020年1月から「Beyond 5G推進戦略懇談会」を開催しています。懇談会では2030年代にBeyond 5G(6G)の導入を予定し、それによって通信インフラ面でどのようなことが期待できるのか、実現するために必要な政策やその方向性について話し合われました。それをまとめたのが「Beyond 5G推進戦略懇談会 提言」です。提言をもとに「Beyond 5G推進戦略 6Gへのロードマップ」が公表されています。

2019年12月ごろから、世界的に感染症が流行し、感染予防のために人と接触する機会が制限されました。その結果、テレワークやオンライン通話といったICTインフラが発展しています。将来的に国民生活と経済活動の円滑維持を目指すのであれば、5Gを含むICTインフラの使用、環境づくりを徹底する必要があります。

6G通信はどのような技術なのか?

こちらでは「Beyond 5G 推進コンソーシアム」が公表した白書の内容から抜粋して6Gの技術について紹介します。

100Gbps超えの超高速通信

6Gの通信速度は最大100Gbps超えになるといわれています。これは4Gの約100倍、5Gでも約10倍の速度です。人間の脳の情報処理速度に極限に近づけることで、ただの文字や画像ではなく、人間に備わっている5感レベルの体感品質、情報から雰囲気や安心感のような感覚が伝わる多感通信が可能になることを目指しています。

100Gbps超えの超高速通信

タイムラグをできるだけ減らし、遅延は5Gの10分の1程度を目標としています。6Gにおける超高信頼通信は5Gより1桁も厳しく設定し、信頼度99.99999%が目標の数値です。産業機器の遠隔制御や工場自動化などは通信の品質や可用性が重要視されており、それらが安全性や生産性に大きく影響します。産業面で必要な性能や安全性を担保するためには、超高信頼通信を実現させることは必須条件といえるでしょう。超低遅延はテレワークを導入する企業などで応用されたり、遠隔での教育や医療に役立てられたりすることも期待できます。

超カバレッジ拡張と超多接続・センシング

将来的に通信は生活に欠かせないライフラインになることが予想されており、場所を問わず移動通信サービスが享受できる状態でなければなりません。そのため、6Gのサービスエリアは限界まで拡大することを目指しています。具体的には、世界の陸上における面積カバー率は100%、さらに高度1万mの空や200海里の海、いずれは宇宙までも含むカバレッジ拡張が目標です。

6G通信でできるようになること& 6Gでめざす世界

6Gによって実現するものは増加しつつあり、いずれ実現しようとしている社会について総務省が発表した「Beyond 5G 推進戦略 6Gへのロードマップ」より抜粋し、解説します。

超高速・大容量通信

6Gは100Gbit/sを超える通信速度、100倍以上の超大容量通信システムの実現が可能です。それによって通信速度は究極の速さとなり、複数のユーザーが同時に享受できます。また、サイバー・フィジカル融合などに活用する場合、現実世界のさまざまなリアルタイム情報をクラウド、AIに伝えなければなりません。その際、端末からネットワークへの通信速度の高速化や大容量化は非常に重要といえます。

超多接続&データ社会化

将来的に、通信においてあらゆるデバイスが普及するきっかけになるだろうといわれているサイバー・フィジカル融合の高度化。そのため、6Gに必要とされる条件は5Gよりはるかに厳しく、5Gの10倍つまり、km²当たり1000万デバイスという超多接続が求められています。人に関連したものの例を挙げると、ウェアラブルデバイス、人体に装着されたマイクロデバイスなどです。人の思考や行動をデータに連動し、サイバー空間がリアルタイムでサポートできるようにします。

また、モノに関連したものでいえば、車など輸送機器や建設機械、さまざまなセンサといったものが挙げられるでしょう。サイバー空間との連動が産業、交通、社会問題の改善、人の安全や安心につながり、豊かな暮らしのサポートになることが期待されています。

消費電力・コストの低減によりSDGsの実現と社会問題の解決

2023年現在でも電力の節約が声高に叫ばれているのが現状ですが、将来的にはさらに電力需要がひっ迫すると予測されています。また、地球温暖化問題も深刻であり、現状以上に電力の使用が増加していくことは避けなければなりません。よって、優先しなければならない課題のひとつは低消費電力化です。6Gではネットワークの運用コスト、端末消費電力量を100分の1以下に抑え、通信の高性能化と経済化の両立を目指します。たとえば、端末の充電が不要になったり、無線信号による給電技術が発展したりすることが挙げられるでしょう。

仮想社会と現実社会の融合

6Gで超高速化、大容量化を実現するにあたり、必要になってくるのがスマホ以上に利便性のあるユーザインターフェースでしょう。例を挙げると、3Dホログラムが再生できたり、メガネ型のような身につけられる端末が進化したりすることが期待されています。これらが実現し、超大容量通信も可能になれば、サイバー空間で協調作業などができるシンクロタイプアプリケーションの誕生にもつながる可能性があります。

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日本が目指す「Society 5.0」は誰もが活動・活躍でき、持続的成長可能な社会であり、それに不可欠な技術が6Gです。6Gは超高速・大容量通信、同時多数接続などを実現し、通信業界で働く人の需要がますます高まるといわれています。トライアロー株式会社は特に移動体通信に特化しており、多くの企業と取引しています。オリジナルの「第1級・3級陸上特殊無線技士」養成課程もあるため、通信業界で活躍したい方はぜひお問い合わせください。

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