「男性の働き方ももう1度見直す時期に来ている」―建設業界の女性のWLB事情2

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2015年09月02日

転職を考える皆さんにお届けしているトライアローラボですが、今回も「女性エンジニアの働き方研究室」より情報をお送りします。

この記事は後編です。前編はこちら
「男性の働き方ももう1度見直す時期に来ている」―建設業界の女性のWLB事情2

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前回は建設業界で働く女性に対して、業界の取り組み等を聞いてきましたが、今回は箱田さんにフォーカスをあててみました。2児のママでもある箱田さん。会社で営業というポジションで働く傍ら、「土木技術者女性の会」の会誌「輪」の編集長としても活躍するワーキングマザーのお一人です。現在の会社に入社される前は出版社で編集者をしていたとのことで、その経緯から聞いてみました。



――「土木技術者女性の会」には何年から入会を?

箱田さん:
2006年です。以前は土木や機械設備関連の書籍や雑誌を作る出版社で編集者をやっていました。仕事上でこの会のことを知り、人の勧めもあって入会しました。



――出版社からゼネコン会社へ転職というのは意外な感じがありますが。

箱田さん:
ですよね(笑)。元々大学では土木を専攻していました。氷河期で残念ながら希望していたゼネコンには入れず、大学の教授の紹介で出版社に就職しました。土木の専門誌で取材の現場をたくさん見せてもらい、いろいろな方と話ができて貴重な経験でしたよ。それがきっかけで大成建設に入社した次第です。



――大成建設さんにはどういった職種で入られたのですか。

箱田さん:
土木の営業職として働いています。新しい分野に対し提案を行う部署に所属しています。1人目を産んで戻ってきた2012年度は、震災の町づくりに関連する仕事をしていました。現在はPPP/PFIを担当しています。



――お子さんは何歳に?

箱田さん:
上の子が4歳、下の子が2歳で「イヤイヤ期」に入りました。子育ては途切れがないですね(笑)



――求められるパフォーマンスや仕事の内容は、出産前とは変わりなく?

箱田さん:
そうですね。私の場合、勤務時間はフルタイムで業務をやらせてもらっています。時短制度もあるのでそれを活用している女性も多いですね。



――「輪」は、仕事の合間をぬって編集を?

箱田さん:
そうです。通勤が片道2時間半かかるのでその間に校正をしたり。



――仕事が定時に終わったとして、帰宅が20時ぐらい?それから保育園へお迎えですか?

箱田さん:
住んでいるところが実家の近くなので、そこは両親に協力してもらっています。最初は両親に協力してもらうことに「私が母親なんだから、私がちゃんとやらなきゃ」みたいな変なプライドがあって。



――いざ子育ても自分が全部こなそうと思ったら、パンクしそうになったり…?

箱田さん:
葛藤もありましたが、人の手を借りることも必要だと思いました。毎朝私は5時台の電車に乗らなければいけないので、保育園や朝ごはんの準備は両親にお願いしています。小さな子供はすぐに体調を崩してしまいますよね。働くお母さんにとっては大きなストレスになることもあると思います。実家にフォローしてもらい安定して仕事ができることはありがたいと思っています。



――通勤で2時間半ですからね。何かしらのサポートがないと、仕事も家庭も回らないですよね。

箱田さん:
今の世の中は、女性の時間コントロールについて焦点がすごく当たっていますが、男性の時間コントロールはどうなっているの?と個人的に感じています。女性の20代後半から30代というのは出産というターニングポイントもありつつ、一方で仕事への意欲もある時期。子育てもちゃんとしたいけど仕事をしたいと思う女性もたくさんいますので、会社はもちろん、家庭内でパートナーがもう少しサポートできるような体制を、社会が作り上げていかなければいけないのではと思います。



――子育てへの参加の時間が作れる体制があって、家の中のことをお互いがやれるような環境を、ですか。

箱田さん:
海外の事例を見ると、保育園の充実や女性の活躍の推奨だけでなく、男性の両立支援という3つの柱で考えられています。ですが、日本は1つがまだ欠けているのではと感じています。「女性が子育てと仕事を両立しやすい社会へ」というよりも、男性の働き方ももう1度見直す時期に来ているのかなと思いますね。また、これからの社会には「介護」も大きなテーマになっていくことは必須です。



――男性も含めていわゆる「ダイバーシティ」的な視点ですかね。

箱田さん:
そうですね。拘束時間が長い・転勤が多い等、業界特有の課題はあると思いますが、やはり働きやすさについて男女は関係ないと思いますから。女性技術者の励まし合いから始まったこの会も新しいフェーズに来ているのかもしれません。



限られた時間の中で、子育てで必ずやっている事を伺うと、「子供はまだ十分おしゃべりはできないけど、どんなことも対等に話をするようにしている」と、箱田さん。インタビューの中に出てきた「母親としてのプライド」はとても印象的で、子育てとの両立の難しさや葛藤は、現在働いている人・これから働こうと考えている人共通で感じることでもあるのかもしれません。男性も仕事と家庭を両立できる環境や体制が実現できれば、これから再就職を目指す女性にも仕事の選択肢が広がったり、両立の不安といった悩みも少しは解決できるのではと気付かせてくれたインタビューでした。



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◆参考サイト

「土木技術者女性の会」サイト

大成建設 企業サイト


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