施工管理とはどのような職種?キツそうなイメージがあるけれど大丈夫?

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2022年12月19日


施工管理という職業に興味があるものの、建築業界の仕事は激務でキツいのではないかと不安な人もいるかもしれません。せっかく興味を持った職業なのに、イメージだけで挑戦せずに諦めるのはもったいないです。そこで、本記事では施工管理の詳しい仕事内容や施工管理技士の資格の種類、施工管理はどのような点がやりがいになっているのか、年収などについて解説します。

目次

施工管理とはそもそもなにか?

施工管理は建設工事現場で指揮・監督をして、安全かつ効率的に作業が進められるように、工事全体の管理をする職業です。施工管理自体は資格がなくても問題ありません。そのため、未経験から始めて経験を積んでいく方法をとる人も多いです。

また、実務経験を積んだうえで、国家資格「施工管理技士」を取得するのも1つの方法といえます。施工管理技士を取得すれば、さらにできる仕事の幅が広がります。たとえば、建設業許可を得ている事業所が現場に配置する専任技術者、公共工事など特定の工事現場に必要な監理技術者、主任技術者などの立場で働くことも可能です。

施工管理と現場監督とはなにが違うの?

施工管理と似ている職種として現場監督があります。実際、この2つの仕事内容には重なっている部分も多いです。会社によっては、呼び方が異なるだけで同一の仕事を指す場合もあります。ただ、資格があるかないか、業務範囲などで区別をつけることが可能です。

現場監督は工事の管理が主な業務であり、資格は不要です。工事現場に出て作業を行うことが多く、オフィスワークはほとんどありません。

一方、施工管理は施工計画から工事の予算、安全管理など工事に関する全体を任せられています。また、管理をする際に必要な書類作成もあるのでオフィスワークをしなければならないときも多いです。資格なしでも施工管理はできますが、取得をしておくと給与面で優遇されます。

この2つの違いを簡単に表現するのであれば、施工管理は現場の責任者、現場監督は現場の司令塔です。

施工管理技士の資格とは?

施工管理技士は国家資格で、「建設業法27条に基づいた施工技術の向上」を目的としています。施工つまり工事そのものを行うのではなく、あくまで管理をするのが業務です。施工管理技士は扱う工事内容によって7つの種類に分かれており、受験資格として所定年数の実務経験が必要となっています。それぞれ1級は「指定学科の大卒者で3年以上」「指定学科の短大・高専卒者で5年以上」「指定学科の高校・専門卒で10年以上」、2級は「指定学科の大卒者で1年以上」「指定学科の短大・高専卒者で2年以上」「指定学科の高校・専門卒者で3年以上」の実務経験が求められます。そのため、資格取得を目指すのであれば、働きながら実務経験を積むのがおすすめです。

施工管理技士の種類と担当範囲

こちらでは、施工管理技士の種類や業務範囲について紹介します。

建築施工管理技士

建築施工管理技士(1級・2級)は建築工事の施工計画、施工図の作成、スケジュール調整・工程管理、品質管理といった業務を適切に行うための国家資格です。新築・改修を行う対象となる建物は、マンションや戸建て住宅、ビル、商業・公共施設などがあります。国土交通省が管轄となっており、指定されている試験機関は一般財団法人 建設業振興基金です。

1級に合格すると、特定建設業において各営業所に必要な選任技術者として認められるほか、現場の監理技術者になることができます。特定建設業とは、発注者から請け負った合計4000万円以上(建築一式工事は6000万円以上)の建設工事を下請に出す場合に取得しなければならない許可です。2級に合格すると、一般建設業の許可取得に必要な各営業所に配置される選任技術者、建設工事の主任技術者になれます。

電気工事施工管理技士

電気工事施工管理技士(1級・2級)は、変電・送電設備、照明、配電といった電気設備工事の施工管理を行うための国家資格です。一般住宅・マンション・アパートなどの屋内配線設備が対象となっています。そのほか、公共工事に伴う電気設備工事の照明・変電設備、送電設備、信号、配線などの幅広い電気設備を新設・改修する電気工事も対象です。国土交通省の管轄で、指定試験機関は一般財団法人 建設業振興基金です。

合格後は電気工事のスペシャリストとして、施工管理以外にも電気設備の定期点検業務も行うことが可能です。ただし、電気工事を直接することはできません。1級と2級で行える行動範囲に大きな違いはなく、2級が中小規模の工事、1級が大規模工事で活躍できます。

土木施工管理技士

土木施工管理技士(1級・2級)は、土木工事現場でのさまざまなインフラ設備の新築・改修工事を行うための資格です。たとえば、道路や橋、トンネル、河川やダムなどの工事が対象となっています。国土交通省の管轄で、指定試験機関は一般財団法人 全国建設研修センターです。

1級を取得すると、2級では携わることができない塗装工事業においても活躍できるようになります。また、経営事項審査において、1級土木施工管理技士1人あたり技術力が5点加算されるので、企業にも重宝される資格です。経営事項審査とは、公共工事を発注者から直接請け負う場合に建設業者が必ず受ける審査をいいます。

管工事施工管理技士

管工事施工管理技士(1級・2級)は、空調設備・冷暖房設備、上下水道設備、ガス配管やダクトなど、幅広い配管設備の新設や改修管工事において、施工管理を行うための資格です。たとえば、上下水道やガスなどの管工事、ビルの空調設備工事が対象で、建物を建てるときには必ずなにかしらの管工事が入るため、管工事施工管理技士は需要が高い資格といえます。指定試験機関は一般財団法人 全国建設研修センターです。

管工事施工管理技士は高齢化が進んでいるため、若い人が取得するのを歓迎する会社も多く、転職をする際にも有利になりやすいです。2級より1級のほうができる業務の範囲が広いので、キャリアアップをしたい場合は1級取得を目指すのがよいでしょう。さらに、管工事施工管理技士は浄化槽設備士や給水装置主任技術者の資格取得に必要な講習会の受講資格があるので、これらの資格を取得すれば行える業務の範囲が広がります。

電気通信工事施工管理技士

電気通信工事施工管理技士(1級・2級)は電話やインターネット、防犯カメラ、放送設備などさまざまな通信設備の新設・改修のために電気通信工事を行うことができる資格です。指定試験機関は一般財団法人 全国建設研修センターです。

電話やインターネットは日常で使用する人も多く、需要があります。特に、インターネットは多くの会社・個人宅でも利用されており、よりIT化が進むといわれていることから今後も携われる仕事は多いでしょう。電気通信工事施工管理技士の合格率(令和1年~4年)は、1級で約46.54%、2級で約50.17%です。

造園施工管理技士

造園施工管理技士(1級・2級)は屋外にあるさまざまな施設の造園工事において総監督を適切に行うための資格です。具体的には、公園や庭園、遊園地、道路の緑化などが挙げられ、地球の温暖化が問題になっているため、緑化を目指して造園施工管理技士の活躍する場面も増えると考えられています。指定試験機関は一般財団法人 全国建設研修センターです。

将来性は明るいですが、現場でのスキルが重要視されています。造園会社で働いて現場での空気を感じながらコミュニケーション能力やリーダーシップを磨いていかなければなりません。造園施工管理技士の資格を取得後に、ガーデンデザイナーやエクステリアデザイナーなどになる人も多いです。

建設機械施工技士

建設機械施工技士(1級・2級)はブルドーザーや油圧シャベル、クレーン車など建設機械を使用する建築現場で、総監督を行うことを目的にしています。工事現場では建築系の機械を使用することが多く、将来性もある職業といえるでしょう。指定試験機関が一般社団法人 日本建設機械施工協会です。

取り扱える建築機械の種類は、第1種~第6種まであります。学科試験では共通問題と種別問題があり、そのうちの種別問題において第1種~第6種を奇数グループ、偶数グループに分けていずれかを選択しなければなりません。たとえば、奇数グループは第1種のブルドーザー、第3種のモーターグレーダー、第5種のアスファルト・フィニッシャです。そして、この3つから最大2つを選択して受験できます。
2級のみ受験資格が若干異なり、「指定学科の大卒者で1年以上」「指定学科の短大・高専卒者で1年6カ月以上」「指定学科の高校・専門卒者で2年以上」の実務経験が求められます。

施工管理の仕事内容とは?

施工管理の仕事は「4大管理」と呼ばれるもの、それ以外の業務に分けられます。こちらでは、施工管理の詳しい業務内容について見てみましょう。

工程管理

工程管理は4大管理の1つで、予定されている工期内にすべての作業を完了させるために、人員配置やスケジュールなどの管理・調整を行います。実際に工事がはじまると、それ以降は進捗管理をするのが役割です。用意されている設計図に沿って予算内に建設を行うための工法選び、人員配置、重機の手配まで行います。大規模な工事になるほどかかわる人員、資材数、必要機械が増えるので、その分高度な知識と実務経験が必要です。たとえば、天候やトラブルによって日程調整が必要なときには、工事関係者と相談したうえでスケジュールの見直しをしなければなりません。

また、工事期間が長期に及ぶ場合は全体の作業工程を分割し、完了した工程から出来形管理を行って規格基準を満たしているかどうかのチェックをします。出来形は工事の出来上がった部分のことです。出来形管理とは、設計図を見ながら発注者とともに出来上がった部分が許容範囲内の出来になっているかを確認する作業を指します。

品質管理

品質管理も4大管理の1つで、資材のサイズや強度が仕様書の基準をクリアしたものかどうかを確認します。公共機関によって決められている品質基準に沿ったものにするため、設計の段階からきちんと管理をしなければなりません。また、指定された材料・大きさ・手順で進めていきますが、強度が不足していたり、歪みがあったりしないかの確認も重要です。その際、工法のミス・見落としがないかを確認し、工期の節目で品質評価対象項目のテストも行います。建物が完成した後は、予定通りの品質を満たしているかどうかをチェックしなければなりません。

原価管理

原価管理も4大管理の1つで、決められた予算内に工事を完成するために、人件費や材料費、建設機械レンタル料といったすべての費用を管理します。予算内に資材の発注を行い、人員配置もしなければなりません。すべての費用の原価を計算したうえで予算内に収め、工事開始後は進捗を確認しながら予算オーバーにならないようにチェックします。もし、問題が起きたときは原因の分析、計画や工程の見直し後に修正が必要です。予算オーバーは会社の損失になるので、非常に重要な仕事といえます。

安全管理

安全管理も4大管理の1つで、現場で作業する人員が安全に働けるように管理をする仕事です。主に、工事現場での事故防止や状況によっては立入制限、注意喚起の看板の設置などをする必要があります。万が一に備えて消火器、手すりなどの設備整備、使用機材の点検のほか、作業員の安全教育や健康管理を行わなければなりません。さらに、現場の安全パトロールも行います。

総合的な管理

4大管理のほか、総合的な監理をすることも大切な仕事です。原価管理は重要ですが、重視しすぎると品質を落とす結果になったり、スケジュール優先にすると安全配慮不足になる可能性があります。そのため、4大管理をしっかり行いながらも、工事全体の流れを把握してバランスよく管理・調整を行わなければなりません。状況次第、たとえば、天候が悪い、アクシデントが起きたといったことが連続して発生した際には、工事関係者と日程調整の協議が必要です。施工管理技士は臨機応変に対応できる能力が重要であり、各分野についての知識とともにコミュニケーション能力、リーダーシップも求められます。

施工管理のやりがいは?

施工管理は規模の大きな工事にも携われるため、達成感が大きいです。公共施設や交通インフラ、住宅などさまざまな建設に一からかかわることができるため、社会貢献、人の生活を支えているのだと実感できる点もやりがいに感じる部分でしょう。施工工事は地図に残る仕事といわれており、自分の携わった仕事の成果が目に見える形で残ります。公共の建物であれば長く人々に利用してもらえるうえ、歴史に残る可能性もあるでしょう。

経験を積んで信頼を得られるようになると、さらに大きな仕事に携われるようになります。スキルアップすれば、その分収入にも反映するので、この点でも目に見える評価を得ることが可能です。転職をする場合も、経験豊富であるほど有利な条件で雇用してもらうことが期待できます。現場でのコミュニケーションがうまくいけば、工事にかかわった作業員との信頼関係を築けるでしょう。信頼関係があれば足りない部分はフォローをしてもらえますし、次の仕事の際にも協力してもらえることが多いです。

施工管理は稼げる仕事なの?

施工管理の年収は携わる現場の種類や会社の規模、勤務している地域などによって差があります。また、施工管理技士の資格を取得しているか、実務経験はどれくらいあるのかというところも収入にかかわる点です。施工管理の求人を見ると、勤務し始めた頃の年収ですでに300万~900万円台と幅広くなっています。目安としては、施工管理技士の1級を取得していれば年収500万円~、2級を取得していれば年収400万円~、資格を持っていない場合でも年収350万円~です。

実務経験が増えたり、スキルアップができたりするとさらに年収増加を期待できます。勤務する地域が首都圏など大都市であれば、物価高の影響もあって地方よりも年収が高めです。しかも、施工管理業界は人手不足が問題となっているため、人材獲得競争が起きている状態となっています。こういった理由から給料が上がりやすい面もあるといえるでしょう。

施工管理が激務というのは本当?

施工管理の仕事は現場での管理だけではありません。発注者や各関係者との打ち合わせ、工事に伴う書類の作成などオフィスワークもあります。そのため、全体に細かな目配りが必要で、トラブルがもし起きたときにも臨機応変に対応しなければなりません。この点は、現場とオフィスという2つの場所での仕事をこなさなければならないので激務といわれる所以といえるでしょう。

また、工事にかかわる専門職の職人に対しても指示を出さなければならないため、精神的にタフでなければ難しい面もあります。ただ、職人に対しては信頼関係を築くことでやりとりがうまくできるケースも少なくありません。幅広い知識と経験が必要になるので覚えなければならないことも多く、それについてキツいと感じる人もいるようです。キツいと感じる部分は人によって異なり、しかもどの程度キツく感じるのかも個人差があります。

大変な部分があるのはどのような仕事をするときも同じです。慣れないうちは仕事をキツいと感じるシーンも多いですが、そういった感情を上回る達成感、やりがいが感じられるという声も少なくありません。また、仕事は天候に工程が左右されやすいので、雨が多い時期は工程が遅れがちです。このような不可抗力に気配りする必要があるため、ポジティブに考えられる人が向いています。

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施工管理は慣れないうちは激務と感じるかもしれませんが、目に見える形で評価されることも多い職業です。エンジニア転職・派遣サイトのトライアローでは長年の実績・経験を活かし、キャリア形成・有給取得などをするためのアドバイスを行っています。建設業にルーツがある会社なので、建設業界に独自ネットワークがあるのも特徴です。施工管理の仕事に興味がある場合は、トライアローで探してみましょう。

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