労働者派遣法改正(2015年)の背景

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2016年03月07日

転職を考える皆さんにお届けしているトライアローラボコラム企画ですが、今回は「労働者派遣法改正(2015年)の背景」と題しお送りします。

派遣法が改正されたことで、現在派遣労働者として就業中の自分にどんな影響があるのか心配な方も多いでしょう。
また、これから派遣就業を目指している方も、派遣法が改正されたというニュースは耳にしたことがあるのではないでしょうか。

そこでこれから数回にわたって、2015年に施行された労働者派遣法改正のポイントについてご紹介します。
まず今回は、派遣法改正の目的や、これまでの経緯について解説しましょう。

●2018年問題について●

派遣法改正から3年が経過したことにより、2018年秋にいわゆる「2018年問題」が発生します
2018年問題については詳しくはこちらをどうぞ

2015年に労働者派遣法が改正された目的とは

派遣法の正式名称は
「労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律」というものです。
つまり、今回の改正も、基本的に派遣労働者を保護するという目的に沿ったものであるといえます。

特に2015年の改正には、従来の「専門26業務」という分け方が現状に沿わず、
わかりづらいものになってきていたという背景があります。
また、これまでは専門26業務のみ雇用期間の制限がなかったために、
このことを利用して半永久的に派遣社員として雇用し続ける派遣先があり、
これに対する措置を行うという意味合いがありました。

派遣法誕生と派遣法改正の歴史について

派遣法が誕生したのは、1986年です。それまで日本では、人材派遣は正式に法律では認められていませんでした。
やがて、派遣を合法化して管理することで労働者を保護すべきという考えが生まれ、
一部の特筆すべき技能を要する13業務(同じ年に16業務に増加)に限って派遣が認められることになったのです。

その後、1996年からは規制緩和の一貫として対象業務が26に拡大。
そして1999年には派遣業種が原則自由化され、26業務以外にも派遣が可能になりました。
それまで認可する業務を指定する方式でしたが、この年からは禁止する業務を指定する方式に変わっています。
期間制限は最長1年間でした。

2000年には、派遣先に雇用されることを前提に一定期間派遣する、「紹介予定派遣」が解禁されます。
2004年には自由化業務の派遣期間が延長され、専門業務の派遣期間が無制限に。
そして製造業への派遣労働が解禁されました。
2006年には医療関係業務の一部で派遣解禁が。
2007年には製造派遣の派遣期間が原則1年、最長3年に延長されています。

そして2012年には、日雇い派遣の原則廃止、グループ企業内派遣の規制、
派遣料金と派遣賃金の差額等の情報公開を義務化するなど事業規制が強化されました。
その後、2015年の新たな改正へと至っています。

2015年の労働者派遣法改正のポイント

今回の派遣法改正のポイントを、いくつか挙げておきましょう。

26業務撤廃と、最長3年の派遣期間

期間制限に関して、専門26業務かどうかという区分が廃止されました。
事業所単位の派遣受入可能期間は原則3年、個人単位の派遣期間は最長3年となりました。

特定労働者派遣の廃止

これまであった「一般労働者派遣」と「特定労働者派遣」という区分もなくなりました。
改正前には一般労働者派遣は許可制、特定労働者派遣は届出制でしたが、改正後はすべての労働者派遣が許可制に一本化されました。

雇用安定措置の義務化

派遣労働者が同一の事業所で就労して3年経ち、派遣期間が終了した後はどうなるのでしょう。
改正後は、派遣元が次のいずれかの措置を行うことが法律によって義務づけられています。
すなわち、
(1)派遣先への直接雇用の依頼、
(2)新たな派遣先の提供、
(3)派遣元事業主による無期雇用、
(4)その他雇用の安定を図るために必要な措置、
です。

キャリアアップ措置の義務化

派遣元は派遣労働者のキャリアアップを図るため、段階的かつ体系的な教育訓練や、
希望者に対するキャリアコンサルティングを実施することが義務づけられることになりました。

労働者派遣法の改正はいつから?

新しい改正派遣法は2015年9月11日に国会で成立し、同年9月30より施行されています。
この施行日時点で届け出により特定労働者派遣事業を営んでいる業者は2018年9月29日まで、
許可を得ることなく引き続き改正前の特定労働者派遣事業を営むことができます。
また、施行日時点で許可を得て一般労働者派遣事業を営んでいる業者は、
現在の許可の有効期間内は、その許可のまま引き続き労働者派遣事業を営めます。
そして施行日後は新たな許可基準に従って許可を得なければなりません。

派遣法は、派遣就業している人にとっては自身の就業形態のベースとなるものです。
派遣法改正のポイントを、知識としてきちんと押さえておくようにしましょう。

次回の更新では
改正前派遣法の26業務が撤廃「個人単位ってどういうこと?3年の期間制限」
と題し、改正後の具体的な内容について記載していきます。


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