「写真の現像事業・八島 梨詠さん」トライアローSAPPORO応援情報コーナー
2015年08月14日 北海道支店ブログ コラム
今回のさっぽろ村ラジオ トライアローSAPPORO応援情報コーナー、
ゲストは株式会社Innovative designの専務取締役 八島 梨詠さんに起こしいただきました。
写真の現像業界で様々な事業を展開されていて、プロの写真家だけを顧客としているInnovative design。
さて、どんなお話が聞けるでしょうか。
◆◆◆今週のゲストは株式会社Innovative designの専務取締役の八島さんに起こしいただきました!よろしくお願いします~!
――――宜しくお願い致します。
◆◆◆写真の現像の業界って、デジタル化の波がとても激しくて、僕らフィルムを知っている人間からすると、写真の現像ってイメージは沸くんですけど、
今の若い方はプリントになっていて現像自体知らない世代もいますよね。
そんな急激に革新のあった業界で、現像の良さってなんですか?
――――そうですね。写真の力はとても大きくて、何か天変地異など起きたときにPCも水なんかに濡れてデータが消えてしまったりしますけど、銀塩の写真は洗えば見れます。
家族の写真とか消失してしまった時など、何かあった時探されますよね。そういう時に見直される業種だと思います。
だから、あまり普段皆さんが身近に感じる方は少ないでしょうね。
◆◆◆東日本大震災なんかでは、写真を集めましょう!っていうプロジェクトもありましたよね。
――――― 震災の時には、私たちも写真のデータ残ってないですか?っていう問い合わせもいただきました。家族の写真ないですか?っていう方が本当に多かったです。
インクジェットですと濡れてインクが伸びて見れなくなって終わりですけど、銀塩の写真ですと、薬品で定着してますので、通常置いとけば100年くらいは保存できるって言われてます。
だから戦時中の写真を復元したいとか、そういうこともできるんです。
インクジェットでインクを吹き付けるものと銀塩の写真は別物なんですよね。
◆◆◆同じようで全く別物ですね。いやー、それにしてもデータで保存する怖さを身にしみますね。
―――――ほんとにそうですね。
家族でPCをみんなで眺めるっていうことは少ないと思いますけど、人生の節目で大切な写真をとって
いただけたらなって思います。一枚でも多くすぐ観れるところに飾ってもらいたいですし。
◆◆◆Innovative designで取引き先はプロのカメラマンなんですよね?我々が知っているフィルム写真では、撮ったらカメラ屋さんに持って行って現像してもらうっていうイメージですけど、
プロのカメラマンの方々はどこで現像しているんだろう?って単純に思ってたんです。八島さんの会社のようにプロラボに出しているんですね。
―――――カメラマン一人一人、スポーツを撮ったり、スタジオで撮ったりっていう色んなカメラマンがいて、それぞれにあったラボにお願いしていますね。
私たちは、冠婚葬祭を中心とした写真をデジタルアルバムに編集したり、バンドのアーティスト写真なんかもしていますので、そういったカメラマンからの依頼も多いです。
それと、今は現像写真と動画を組み合わせたコンテンツも作ったりしています。
アーティストのスポットCMなんかもやっていて。
現像の仕方とか見せ方なんかは色んな組み合わせがありますので、混ぜてやればやるほど、色んな雰囲気で「記憶」に残るものを作るようにしています。
もちろん「記録」として残すものも一緒に作ってるって感じですね。
◆◆◆事業も多岐に渡るんですね。今では、色んなアプリで画像を加工したりできますけど、現像でもそのような編集をされているんでしょうか?
―――――いえ、編集と言うよりは現像の現場でやることは、色調を補正する感じなんですね。例えば、
黄色の背景で黄色い服だとかぶりますし、そこに適正な色調に補正するんです。エフェクトを使って加工
したりっていうのは、実物とは違っちゃいますから、「記録」には向かないですよね。
◆◆◆そうですね、エフェクトをかけると実物からかけ離れることもありますもんね。しかし、色の違いなんかは中々素人目では識別がつかなさそうですね。
―――――毎日色を見ているとわかるようになるかと思います。目が覚えるというか、段々違いがわかるようになってきますね。
◆◆◆これ、まさに職人さんのお仕事ですね。Innovative designの社員の方っていうのは、どんな人がいらっしゃるんですか?
―――――女性ばかりの現場で、元々は違う職種の方々ばかりですよ。
一定の品質で出さなくてはならないんですけど、やはり新しいアイデアとか新しいやり方を模索して
くれるのでは、ということで経験者ではない方も採用しています。
◆◆◆同じ業界から来た方ですと、即戦力にはなりますけど、ある意味では掘り固まってしまうかもしれないというのはありますね。
―――――そうですね。こうであるべきだ!ってある程度できてしまうと、新しいものを作り出そうと
した時にちょっと邪魔になってしまうのかな、って思うことはあるんじゃないかな。
◆◆◆そういった別の業界からきた方は現像業ってわかってる方はいるんですか?
―――――知らない方ばかりです。皆さんカメラや写真に興味があるっていうのは共通してますね。
最初は大変なんですよ、専門用語なんかもたくさんあるので。でも、覚えるとやりとりが本当にスムーズ
になるので、プロのカメラマンとツーカーで話せるようになるんですよね。
カメラマンの要望も違うので、現像にかかる人も専属になってきたりするんですよね。その人はじゃない
と微妙な色味も寄せようと思っても同じようにできなかったりするので。
◆◆◆カメラマンのニーズも違いますもんね。
―――――同じ機械でとっても違うものになりますからね。
◆◆◆なぜこの業界に入られたんですか?
―――――元々は電子の映像が出始めた時に、そういった部署がある販売店のある会社に入ったんですね。
USBもなくて、デジカメもまだデータとしてはキレイでなくて、でもこれが一般のご家庭に普及したら
すごいな、って将来性を感じたんです。
それと、元々写真や絵を飾る家庭で育ったので、そういったことにも興味があって。
ラボ業はまだ8年位で、私自身現像業があるっていうのを業界に入ってから初めてしりました。
◆◆◆一枚の写真を現像するのにどれ位の時間がかかるんですか?
―――――データによりますけど、何回もテストで出して色味が全くでないものもありますし、すぐにできる
ものもあるんですよ。
現像液って一定じゃないんですよね。現像液のその時の調子を確認しながらやるので時間はかかりますから。
PCで見たら完璧って思っても現像すると「あれ?」っていうのはよくありますね。
◆◆◆本当に生ものなんですね。現像の仕事の楽しさをお伝えするとしたらどんなことでしょう?
―――――そうですね。たくさんチャレンジしてほしいなって思ってるんですけど、自分で現像した
写真がその人の節目となってずっと残るっていうことですね。一生会うことはない人たちかもしれま
せんけど、自分が現像した写真を大切にしてもらえるっていうことですね。
生まれたときとか、結婚したり、亡くなった時にも大きく関わりますから、現像した写真を宝物にして
もらえるっていうがあります。
◆◆◆いい仕事ですね。逆に大変なところはなんですか?
―――――年中行事なので、七五三の時や年賀状の前ですとか、繁忙期があるんですよね。
そこに業務が集中しちゃうので、大変です。
目を使い続けると段々識別できなくなってくるんですよね。
◆◆◆なるほど、それぞれの業界に繁忙期ってありますもんね。八島さん目を使う仕事ですけど、普段色味の違いってどうやって見分けているんですか?
―――――目が覚えてるのはありますね。
写真館ごとに出してほしいっていう色味が違うので、そこの写真館の過去の写真を見て「目で思い出す」
っていう感じです。言葉では表現しづらいですね。
これからチャレンジしたいっていう人がいたらどんどん現像業に入ってきてほしいですね。クリエイター
の方とかもいれば是非がんばってほしいと思ってます。
◆◆◆Innovative designでは、色んな事業を展開してますけど、色んなコンテンツやデジタル関係も多いですね。
―――――静止画、動画っていう垣根も無くして色んなことに興味を持ってもらいたいですね。時代としても、
デジタルのほうがウェイトを占めてますから、どうしても映像だったり撮る方がヒューチャーされがちなんです
よね。これからは制作するクリエイター側にも興味をもってもらったり注目してほしいなって思ってます。
◆◆◆なるほど。今はPCとかスマホで撮った画像を見てますけど、現像された写真の良さを身近に感じてほしいですね。
―――――今は画面で見ちゃう人も多いですからね。
でも、今の写真館では、普段の雰囲気でとってもらったり、少し砕けた感じでとってもらうこともできる
んですよ。
そういうことも中々知ってもらう機会もないですから、そういったことも気軽に聞いて、気軽に写真館にも
行ってもらえたらなって思います。
◆◆◆それはいいですね。楽しんで撮ってもらうのが一番ですしね。八島さん、今日はありがとうございました!
―――――ありがとうございました!
現像業界も若い人たちが少ないこともあって、お客様を待つかたちからプッシュ型でどんどん発信していきたいとおっしゃってた八島さん。
色々聞くと業界の構図もよく見えてくるお話でした。
その中で、守るべき「現像」と、トレンドである「デジタル」の事業を展開して、更にそれらを映像の中で
融合させたりと、とても面白いことにチャレンジしていることが、Innovative designの大変な強みになって
いるんだなと感じました。
現像業界は職人的な部分もあり、とてもやりがいもあるシゴトですね。
カメラや映像から「現像」という世界も覗いてみるともっと世界が広がりそうです!
八島さんありがとうございました!