「医療ソーシャルワーカー・沖 隆一さん」さっぽろ村ラジオ トライアローSAPPORO応援情報コーナー

2015年03月27日 北海道支店ブログ  コラム

こんにちは!トライアローの森です!

今回のさっぽろ村ラジオ トライアローSAPPORO応援情報コーナーには、ゲストに北海道内科リウマチ科病院 医療福祉課 医療ソーシャルワーカーの沖 隆一様にお越しいただきました。

医療ソーシャルワーカーってどんな仕事?病院内でのソーシャルワーカーの役割は?という疑問もこれを見れば解決。沖さんのお話しを是非閲覧ください!





◆◆◆皆さん、こんにちは!今週のゲストは医療法人 清仁会 北海道内科リウマチ科病院の医療ソーシャルワーカーの沖 隆一さんにお越しいただきました!
宜しくお願い致します!


―――初めまして。宜しくお願い致します。


◆◆◆ソーシャルワーカーと聞きますと、介護のアドバイザー、そしてカウンセラーといったような印象があるのですが、どんなことをされているんでしょう?


―――はい、私は医療ソーシャルワーカーということで、病院など医療機関に勤めていますが、ソーシャルワーカーというと色々なところで活躍しています。例えば「地域」で活躍している方もいますし、最近ですと「教育分野」などにもおります。スクールソーシャルワーカーというのを耳にしたことがある方もいると思うんですけど、なんらかの障がいや事情があって、生活がままならないという方々に対して、その人がその人らしい生活を送ることが出来るように支援を行うといったことが主な役割です。


◆◆◆社会的な部分で課題を抱えている方の支援をしているんですね。


―――そうですね。私は医療機関に勤めていますけれども、病院にかかるという方はなんらかの病気だったり、障がいを抱えているというところで、今までの生活からガラっと変わる方が多いんです。その中で、「どうすれば問題なく生活できるか」ということが壁になります。そこでソーシャルワーカーが様々な制度の利用などを提案して、患者さんに安心していただきます。
例えば手術をするとなった時に、医療費はどれくらいなのか、制度はどんなモノがあるのか、などは皆さんわからないんですよね。色々な制度を使わないと医療費も大きくて金銭的に厳しくなることが多いので、とても大事なことだったりします。


◆◆◆私の友人も、親がガンにかかって治療費をどうするか?の問題がでてきたことがあったんですけど、その時にソーシャルワーカーに相談した話を聞いたことがあって、ソーシャルワーカーの職業はとても重要な役割を担っているんだ、と思ったことがあって。
やはり、何もなかったところから突然状況が変わって、色々と対応しなければならない時にソーシャルワーカーという頼れる存在はありがたいですよね。


―――そうですね。何かないとソーシャルワーカーと関わることはあまりないと思うんですけど、そういう課題が出てきた時にいかに早くベストな形で解決していくかというのが重要になってくると思ってます。


◆◆◆具体的に患者さんやそのご家族とはどんなお話しをされているんですか?


―――例えば社会保険なんかでは、医療費も所得や年齢で上限額が決まっていたりするので、そういった手続きの説明だったり、医療費の説明だったり、あとは必要に応じて介護保険や障がい者制度だったりの情報提供をさせてもらってます。


◆◆◆まさに自分達では調べにくいところですね。
制度も多岐に渡りますし、複雑化していると自分では調べきれなかったり、自分の状況が当てはまっているのかわからない、ということもありますよね。


―――そうですね、病気ひとつとっても家族の状況は一人一人違います。10人いれば10人利用できる制度なども違うので、その関わりはとても大変ですが、そこがやりがいでもあります。


◆◆◆そうなんですね。患者さんは状況によっては、とてもネガティブな精神状況だったりすると思いますが、ソーシャルワーカーによって未来に希望の光を見出すことが出来るというのは仕事として、とてもやりがいを感じそうですね。


―――ええ、やっぱり「あなたに会えて安心した」という話を聞くと、役に立てたのかなって思いますね。どうやって患者さんに寄り添うかというのは本当に重要なところだと思います。


◆◆◆ソーシャルワーカーってどんな人が向いているんでしょう?


―――基本的にソーシャルワーカーになる方は社会福祉分野の専門学校や大学を出てという方がほとんどなので、そこで教養を身につけるというのがまずあると思いますが、やはり患者さんの発信したいことや訴えに耳を傾けることができるかというのが必要だと思いますね。


想いを聞くと言いますか、患者さんから言いたくないこともあったりしますので、その気持ちを出してもらうように引き出していくというのも大事なことだったりします。


◆◆◆そうなんですね。
医療市場で医療ソーシャルワーカーの需要と供給というのはどんな状況バランスなんですか?


―――そうですね、私が勤めている病院では180床のベッドがある規模で3名のソーシャルワーカーが配置されています。病院の規模によりますけど、おそらくもっともっと病院には必要だと思いますし、医療機関によってはまだソーシャルワーカーを配置していない病院もある状況です。
北海道医療ソーシャルワーカー協会という専門職の団体があるのですが、私も所属して役員として活動していまして、そういった未配置の病院へソーシャルワーカーの配置の働きかけだったり、今学んでいる学生にソーシャルワーカーの仕事ってこうなんだよっていうことを伝えたりもしていたりします。


◆◆◆まだまだ普及の余地があるんですね。
一般的には病棟50~60床に1名のソーシャルワーカーくらいなんですね。


―――今はそうかもしれませんね。


◆◆◆一名のソーシャルワーカーが50~60人の患者さんやその家族と関わっていくというのは大変だと思いますが、どこはどうですか?


―――今の病院は急性期、一般、リハビリ、長期療養と、病院によって専門性や機能が違ってきているんですね。それによってソーシャルワーカーの動き、役割も違う部分はあると思います。急性期、一般病院だったら退院支援が大きくなりますし、療養病院だと入院生活のフォローだったり、ご家族の支援ということが中心になると思います。


◆◆◆医療機関によって職務内容の主になることも変わってくるんですね。
沖さんは病院内で医師や看護師とどんな関わり方、連携を取られているんですか?


―――そこはソーシャルワーカーとして、とても重要な部分だと思うんですね。医療って医師だけ、看護師だけ、リハビリの先生だけでは成り立たないですから。全て円滑に回るような動きを意識しなければなりませんので、全員がひとつのチームとして一人一人の患者さんのために関わっていくんですね。
医師に治療状況を確認して、看護師から病棟の中での生活を聞いて、リハビリのスタッフから今のお身体の動きを確認して、それから次の方向性をどうするかを考えて動いてますね。
ですので、色んな方と連携を取っていくというのはとても大事になります。


◆◆◆カルテや引き継ぎノートなんかでは知り得ない部分というか、コミュニケーションを取って初めて認識できることも多いですよね。連携はとても需要重要なんですね。
4月からは「札幌市医療アドバイザー制度」というのが始まるんですが、これはどのようなものですか?


―――はい、私も北海道医療ソーシャルワーカー協会を通じて医療アドバイザーの一員として活動させていただく予定になっていますが、これは例えば町内会等に我々が伺い講話などをさせていただくということになっています。
中々、医療のアドバイスを聞く機会がなかったり、インターネットで調べても分かりづらいこともあるので、直接お話をさせていただいて、色々と相談をいただければと思っていますね。



fiejkhs.jpeg




◆◆◆これを機会に悩みを抱えている方々が、どんどん相談をする機会が増えるといいですね。
最近は「病院も選ばれる時代」と言われることも多いですが、医療技術だけではなく、ソーシャルワーカーが取り組んでいることも、患者さんが満足して喜んでくれることに直結していますね。


―――今は病院も選ぶ時代ですし、今は専門分野が分かれているところもありますから、私が勤めている北海道内科リウマチ科病院であれば北海道でも他にはあまりないリウマチ専門の病院なので、そこに見合った対応ができるよう心がけています。


◆◆◆病院間のやりとりではソーシャルワーカーが窓口になったりしますか?


―――やはり急性期の病院から一般病院に転院するとなると、ソーシャルワーカーが窓口になったりしますので、他の病院とのネットワーク作りも大切だったりしますね。


◆◆◆医療制度も変わることが多いですし、職務の多さ、勉強する量も本当に多いですね。


―――そうかもしれないです笑。制度はどんどん変わっていきますので、しっかりと把握することが出来るように意識していますね。

でも休む時はしっかり休んでいますよ。


◆◆◆ソーシャルワーカーの使命ってなんでしょう?


―――その人らしい生活、人生を自分らしく生きていくことができるんだろうかということは常に考えていまして、いかに患者さんに寄り添っていくのか、というのを考えてます。
一方的に、はい、この制度がありますよ!っていうのでは成り立たないので。


◆◆◆より人間としての暖かい部分が必要になりますね。


―――そこはとても大事なところかもしれませんね。
そういうところが抜けないようにっていうのは気をつけています。
まずはどういう風に安心して治療を受けてもらえるのかに注意をしていますし、患者さんも言葉の受け方で全然違います。


◆◆◆ありがとうございます。最後に沖さんにソーシャルワーカーを目指されている方、医療関係の仕事を漠然と目指されている方に何かメッセージはありますか?


―――医療ソーシャルワーカーとしてのやりがいとしては、人の「人生」に関わるという仕事だと思っていまして、それだけ責任は伴いますけれども、人の人生に関わっていくということがやりがいになる部分だと思っております。
是非、医療ソーシャルワーカーを知って、興味を持ってもらい、もし目指していただけるという方が増えると本当にありがたいと思っています。


◆◆◆ありがとうございました!


―――ありがとうございました!!



沖さんとお話しをしていて、とても暖かみのある方だなというのが印象的で、本当に何でも相談しやすい、包み込まれるような雰囲気を感じました。沖さんは勤めている病院内に関わらず、北海道医療ソーシャルワーカー協会で、もっとソーシャルワーカーのネットワークを広げ、患者さんが安心できる環境を北海道全体で整備していこうというのがとても伝わりました。

医療ソーシャルワーカーは、医療機関に関わる誰しもが繋がりを持つかもしれないということもあり、これからもっと必要とされる職業なのかなと思います。医療業界を目指されている方はひとつの選択肢として是非検討ください!
沖さんありがとうございました!