「映像作家/写真家・北山 陽稔さん」さっぽろ村ラジオ トライアローSAPPORO応援情報コーナー

2015年02月13日 北海道支店ブログ  コラム

今週のさっぽろ村ラジオのゲストは株式会社sprawl代表の北川 陽稔様にお越しいただきました。
北川さんは映像作家、写真家として数々の賞を受賞し、たくさんのCMやミュージックビデオなども手掛けて来られた方です。
そんな北川さんに映像作家、写真家としての仕事について色々お聞かせいただきました!





◆◆◆今週のゲストは映像作家であり、写真家の株式会社sprawl代表 北川様にお越しいただきました!
北川さん宜しくお願いします!

----どうも。北川です。

◆◆◆北川さんは映像作家ということですが、映像作家とはどんな職業なんですか?

-----そうですね、みなさんが想像するのは番組ディレクター、カメラマンとか、映画監督とかジャンル分けされた世界では理解されていると思うんですが、僕は元々映画作家でもあったので映像全般を扱っていくというスタンスです。
あとは、写真家という方面もあるんですけど、皆さんがテレビで目にするような写真家とはちょっと違って、現代美術に近い感じのことをやっています。


◆◆◆被写体とかどんなものが多いんですか?

-----風景とかが多いです。
でも、みなさんが観光的な視点で見るようなモノとは違うモノが多いですね。
例えるなら、最近廃墟写真なんかは流行りだったりするんですけど、15年位前から廃墟とか撮ったりしてますし、海辺とか人物を撮ったり色々です。


◆◆◆北川さんの映像を拝見したんですけど、すごく匂いが伝わってきますよね。
アーティストのtakenaka eriさんの映像なんかは朝焼けの雰囲気や空気感がすごく伝わってくるんですよね。

-----あれは北海道のウトナイ湖に早朝に行って撮ったんです。
なんでわざわざそうするかと言うと、関東にある沼とかで撮ってもどうしても朝焼けの空気感とかでないんですよ。北海道の空気感が出ないんです。ごまかすこともできるんですけど、ダイレクトに撮ったものだけで勝負しようという中でいくならば、モノがよくないとダメだと思ってます。
鮨ネタとおんなじですね笑

あと、北海道で一部の素材を撮ったりするんですけど、東京では取れないシチュエ―ションがとても多いので、アーティストとは別に素材だけで撮ったりしています。


◆◆◆そうなんですね。やっぱりその場、その瞬間でないと撮れないものってあるんですね。
北川さんが映像の世界に入ったきっかけってなんですか?

-----大きかったのは、10代後半にインターネットがやっと定着し始めた頃で、クリエイターの卵が自分の作品を自分のHPに載せたりして、それを海外とか東京の人達に見てもらうことが流行っていたんです。プロもアマチュアも隔てがなくコミュニケーションが取れたんですね。
それで、東京なんかの一回り以上の方達に僕のデザインものの作品を見てもらって「いーじゃん」って言ってもらえたりして、それがきっかけでファッションショーやライブのVJなんか色んなオファーをいただいてたりしました。
まだ当時は自分の作品を売り込むっていう時代でもなかったんですよ、その時って。
映像の世界って典型的なタテ社会で「助手やって何年!」っていう世界だったんですけど、僕らの世代からですかね、ルールの外から仕事を作り出していくっていうようになったのは。


◆◆◆個人個人に依頼されるように変わってきた頃なんですね。

-----そうそう、カメラが小さくなって、個人でもハイクオリティな映像が撮れるようになったり、PCで自分で編集できるようになってきたころですからね。
幸運にも若い頃から仕事をさせてもらいました。


◆◆◆自分の作品を突き詰めて出来上がった時の達成感とはどんなものですか?

-----作るときはとにかく苦労しますよ。
特に期限が定まっていて「作家としての作品の作業」だと大変です。
CMとかはある程度セオリーが決まっているんですけど、作家としての作業は完成がみえない世界なので、「ここまで作れば世の中に出しても恥ずかしくないってライン」というのはあっても、あと一週間あればもっとよくなるかもしれないってものですから。


◆◆◆そうですよね。モノづくりとは言っても建築物なんかとは違う世界ですね。
映像というと目に見えているけど、伝えているモノは目に見えていないモノだったりしますよね。

-----でも、ざっくり考えてほしいんですけど、カメラって目に前にあるものを映しとっているだけじゃないですか。自分が風景を作り出しているわけではないんです。被写体があってはじめて映像が生まれる。それが建築物だったり、1本の木だったり、人物だったりしますけど、とにかく目の前に状況が生まれないことには作品が生じないっていうのはカメラの特徴ですよね。
その中で感じ取れるものがあるかどうかは撮影する人の仕事なのかと。

だから、プロとアマチュアの境界はありますけど、明日から僕は映像作家です!って言えちゃう世界です。それに、プロとして写真をやっている人じゃなくても、色んなモノをとっている人の作品が素晴らしかったりすることもあるかもしれないですよね。


◆◆◆確かに、カメラを持っていれば誰しも「撮る」ということはできますね。

------そうですね、他の職業ではそういうのがあんまりないんですよね。
クリエイティブに限らず、もしかしたら誰でもできちゃうかもしれないけど、プロとアマチュアにはちゃんと境界がある業界、仕事って。
もしかして、料理の世界は近いのかなぁ。


◆◆◆そうですね、主婦の人も料理を作ってWeb上で注目浴びたりしますよね。

-------そうそう、最近は主婦の人とかも趣味の範囲を大きく超えて、料理本を出して売れちゃったりしますもんね。でも、その人にはコンセプトなり高いクオリティがあるからプロって言えるのかなと。
そことちょっと近い要素がある業界かと思います。


◆◆◆映像の仕事をしたいっていう人は何をすればいいんでしょう?

-------自分の作品をどういう風にどこに出せばいいかっていうセオリーはあるんですけど、それはみんなやっていると思います。昔よりも、今の方が世界に発信しやすいですよね。
今はネット上でもキレイな画質で映像が見れますから、youtubeに載せてそのURLをどこかで拡散させれば、世界に発信できると思いますよ。
そういう意味では昔にはできなかったことが今はできる時代ですね。


◆◆◆そうなんですね。では、これから映像業界や写真業界に入った方が長く続けていくには、何が必要なんでしょう?

-------自分もプロダクションや制作会社に所属したこともありますけど、寝る時間がなかったり、すごく大変なんですよ。
若い頃なんかは仕事の要領が決していいわけじゃないので、捨てなきゃならないこともでてくることがあると思います。
でも、あまりエラそうなことは言えないですけど、僕は「そこまでして映像や写真をやりたくない」とは全く思ったことがない。好きだからですかね。
だから、業界内でも色んな職種がありますから、自分が続けられるやりたい仕事を、なるべく早い段階で見つけることがすごく大切だと思います。
そうすると、それは苦行じゃないはずなんです。
辛いことがあっても、「それでもこの仕事はやめたくないな」って思えますから。
誰かに言われて選んだとか、今はこういう時代だからこうだっていうと続かないかもしれませんから。


◆◆◆それで言うと、自分は映像を撮りたいって言っても、実は写真の方かもしれない、それを続けられる状況でなければ、それを続けられる状況に変えればいいというようなことですか?

------そうそう、そうです。
ただ、そのためには勉強とか準備とか必要になりますよ。
今は正社員になれるなんて簡単な時代ではないですから、やりたいということだけで職を変えることはなかなかできないと思いますけど、それでもやってみた方が10年、20年先を見たらいいことかもしれないし。


◆◆◆そうですね。大変かもしれませんけど、チャレンジすることもまず動く!ということも大切ですね。

------そう思ってます。

◆◆◆北川さんは3/22まで、北海道立近代美術館で「もうひとつの眺め―北海道発:8人の写真と映像」展にも作品をだされてるんですよね?

-------はい。今回は映像と写真を空間全体で見て欲しい展示です。この数年映像にまた力を
入れてきたので、「美術館で映像を発表する」というのが僕 にとって大事なトライでもありますし。

◆◆◆その空間で見てほしい作品なんですね。

-------あくまで今回はストレートな展示な仕方をしていて、他の写真などと合わせることによって新しい効果が生まれるんじゃないかって気持ちでやってます。それぞれ独立した作品ではなくて、全体で感じてくださいって思ってます。




◆◆◆最後に、映像作家としてのやりがいと大変なところはなんですか?

------やりがいは自分が参加したもの、自分の企画で撮ったもの、自分の技術が反映されたものが、見た人に伝わって反響が得られたりすること。
大変なところは…それ以外の全て笑

◆◆◆笑笑笑

------ほんとそれ以外は大変です笑
でも、これから映像の仕事をやろうとしている人は、大変なことを考えるよりも1ヶ月位徹底して好きな映像をやってみるのもいいかと思います。先が見えてきたらそれは可能性だし。
やってみて違うなって思えば清々するじゃないですか。それでいいんじゃないですかね。
やるなら徹底してみる。
それは20代じゃなくても、何歳でもできますから。



映像作家、写真家として様々な角度から自身の仕事を話してくれた北川さん。
業界問わず、全ての仕事をする人達、仕事を探している人達に共通することも多かったのではないでしょうか。

これからの活躍も期待しております!
北川さん、ありがとうございました!